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季節の言葉遊び  作者: ユズ(『ラジ裏』修正版・順次更新中)


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15/15

一瞬の……

瀬田が感じた、季節の移り変わりの瞬間。

『報道からBスタさん。速報を入れていただきたいので、今から原稿持っていきます』


生放送中のスタジオに、急に飛び込んできた音声。


今から?

番組、あと10分だぞ。


Qシート上の残りは1曲とエンディングだけだ。

もう、いっそのこと、次の番組に回してくれたらいいのに。


……まぁ、放送局の義務だからな。


思わずため息が漏れた。



とりあえず曲繋ぐか。

原稿来ても、IORIさん下読みしたいだろうし。


隣のミキサーにQを出して曲を繋いだ瞬間、タイミングを測ったかのように飛び込んでくる。



「原稿持ってきました。これ、お願いします」



報道から受け取った原稿を見て、赤ペンで線を引いていく。


「……もう、こんな時期か」


曲のリメインを確認してからブースに入った。

IORIさんに原稿を渡して指示を出すと、すぐに副調側に戻る。



「IORIさん、曲終わるんでいきますね。読み終わったらそのままエンディング行っちゃってください。BGは追っかけます」


トークバックで指示をして、Qを出す。



『気象情報をお伝えします。

××県南部に竜巻注意情報が発表されました。××県南部は現在、竜巻などの激しい突風が発生しやすい気象状況になっています。頑丈な建物へ避難するなどの安全を確保してください。

なお、この情報は〇〇時まで有効です。

以上、気象情報をお伝えしました。


さて、今日も2時間お送りしてきました〜……』



はぁ〜。


無事に速報を入れられて、ほっとした。

まだ番組が終わってないのに、背もたれにもたれ、ダラ〜っとする。


何度やっても、生放送中の速報は緊張するんだよ。


そんなことを考えてたら、番組が終わってた。


まぁ、無事に終わってよかった……よな。







空を見上げると、低い位置で黒い雲が蓋をしてるように見えた。


雲のすぐ下は青空。

なんか、変な天気だな。


5月になったのに風は冷たいし。

空気も、どこかひんやりして重い。


さっき竜巻注意情報が出てたから、まぁ、そうか……。


なんとなく、早く家に帰りたくなった。




「ただいま〜」


家に帰ったら「ただいま」って言いたくなるんだよ。もう、癖だな。




『パキッ。パツパツッ』


うん?


雨の音……じゃない?


それよりももっと硬いというか、軽いというか……。


慌ててリビングの窓に近づく。



「え?マジで?」



思わずベランダに飛び出した。


「これ、霰?雹?」


小さな白い塊が降ってくる。


「え?本当に氷なんだ!すごい!なんか面白いんだけど」


落ちている小さな塊を手に取ると、すぐに溶けていく。


初めて見たかも。


「あっ、そうだ」


どうしても霰をキャッチしたくて、Tシャツの裾を両手で持って広げる。




あっという間だったけど、ずっとワクワクしてた。




「ただいま〜」


「久保さん、今日、霰降ったの知ってる?」


向かいで首を傾げてる。


そういえば、今日は気象情報をたくさん入れたな……とかぶつぶつ言ってるけど、どうやら霰は見てないみたいだ。


「久保さんに見せてあげたかったんだけど……」


「動画でも撮ったのか?」


「……頑張ってキャッチしようと思って」


「……うん?キャッチ?」


「……出来なかった」



しょぼんと肩を落とした瞬間、口に手を当てて笑いを堪えてる久保さんが目に入った。


笑うなんて最低だな。


机の下で、ボスッと久保さんの足を蹴った。



「……ごめん、あんまりにも瑞樹がかわいくて」


「かわいくない」


再び机の下で大きな音を出した。

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