迷惑が掛からない所まで 何とかかんとか済ませよう
この物語はフィクションです。
西暦1582年6月6日~12日
13時00分 近江国・安土城
「久太郎殿。遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
先程全ての手配が終わりました。」
「が、ガルベス殿。あの本当になんとお礼を言ったら良いのか・・・。
レンタイ国の日の本の資産を・・・全て織田家に譲渡とは。
ほ、本当に宜しかったので?。」
「もちろんです。最後のレンタイ国民である私が。
何時『別大陸行き』が発生して、居なくなるか分かったものではありません。
織田家が把握していない物があれば、他の勢力に渡ったりしたら申し訳ありませんから。」
「あの・・・他にも何もかもお骨折り頂き・・・正直言葉が出ません。」
「いえいえ大丈夫ですよ。あっ、後はこの資料に纏めています。
これ以上は私の力では如何ともし難い所ですので。
資料は全15ページで、表紙のページに概要と目次を強引に纏めています。
詳細は2ページから15ページまでに、分かる限り・出来る限り書きました。
いやぁ~、私も肩の荷が下りました。
これで何時私に『別大陸行き』が発生しても、織田様に迷惑が最小限に出来ます。」
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13時20分 同
私の名は堀久太郎秀政。
世間では『名人久太郎』と渾名されている者だ。
何でもどんな物事でも、卒なく上手くやり遂げる事が出来る等と、過大な評価を得てしまっている。
そして・・・怖ろしい事だが。本当に怖ろしい事だが。
レンタイ国消失の後始末を、世間には私が獅子奮迅の働きによって。
日の本の混乱を収めた上で、織田家とレンタイ国の関係を保った、大功労者として仕立て上げられてしまった。
それもこれも、目の前のガルベス殿が私に全ての功績を譲ったからだ。
私はガルベス殿にくっついて、レンタイ国消失の6月6日から今日までの8日間にとても考えられない仕事を、数多熟した事になっている。
実際にはガルベス殿におんぶにだっこ・・・、現地から現地に飛空魔法で飛んで飛んで。
織田の大殿の名代として各地で・・・ガルベス殿が後ろで糸を引いて。
私は操り人形になって各地で指示を出しただけに過ぎない。
大殿はそんな私を過大に持ち上げ、褒めたたえた。
無官位の私が今朝には正四位下・参議に任じられる事が内定した。
『久太郎は儂の蕭何(前漢の名宰相)じゃ。
皆も久太郎を見習って励め。』と仰せられた。
・・・、・・・、私は傀儡に過ぎないのだが。
黙って大功労者の席に座らざるを得ない。
おかしな事は言えない・・・黙ってこの件は収めよう。
時間が経てばこの事も流れて行くはずだ。皆自分の事で忙しいのだから。
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13時40分 同
・首都レンタイ跡地について、明智家臣の山本殿・多連田殿の領地から織田家直轄領として機密を守る。実際の管理は首都レンタイに行った経験がある、山本殿・多連田殿が行う。
・丹後国・田辺の超巨大港湾。造船所。養殖所の運営について、同じく織田家の直轄領(以下略)
・大坂城の建設については、本丸の土地(3層目)と総構えの城壁(高さ15m)と大水堀(幅10m・深さ30m)を。ガルベス殿が強引に8日間で完成させた。後の城本体は既にレイナ様がいないので、織田家で安土城の経験を生かして建築する。
・ガルベスが日の本にいる内は、大阪城本体の建築資材は本丸の土地まで密かに用意して持ってくる。
・首都レンタイが日の本各地で、勝手に土地を改良して農業をしていた分は。織田領以外は可能な限り収穫を行った。織田領は全て織田家直轄地として、各領主から割譲手続きを済ませた。
他にもまだまだ色々とガルベス殿は手配をしてくれた。
僅か8日間の間に東西南北を飛び回って、あれこれと全て道筋を付けてくれた。
この功績全てが他ならぬ私の一身に圧し掛かってくる。
怖ろしい事だが、負けてなるものか。私も一廉の武士なのだ。
自らの両脚で瘦せ我慢して立ち続けるしかない。
大殿に迷惑を掛ける事などあってはならないのだから。




