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不機嫌な大殿よりも上機嫌の大殿の方が怖ろしい

この物語はフィクションです。

 西暦1582年5月31日


11時00分  備中国・高松城付近


「青地からこの地の状況は聞いていたが。


流石は筑前守だ。堅城の備中高松城が手も足も出ぬ。


水攻めとは壮大な作戦よのぅ。感心してしまうわい。」



「ははぁ~、お褒めに預かり恐悦至極に存じます。」



「筑前守は武士の鑑。


儂の張良(前漢の代表的謀臣・前漢の三傑の一人)じゃ。


儂は筑前守の功績に報いたい。


和泉国の東より5万石を加増する。


合わせて宗三左文字(今川義元から奪った、特に愛用の刀)を授ける。


これからも宜しく頼むぞ。」



「ははぁ~。過分な褒賞を頂き、誠に有難く。」


(怖ぇよ。上機嫌の大殿様がよぅ。


いつもみたいに上から高圧的に、激ムズ仕事を投げてくれる方が安心するわ。


儂を褒めちぎった挙句に、和泉で5万石の恩賞。


宗三左文字はいくら上機嫌と言えども、家臣に渡す物じゃねぇーよ。)



「おう。美濃守(羽柴美濃守秀長)。官兵衛(黒田官兵衛孝高)。


お主達もよく働いてくれているなぁ。いつもありがとうな。


儂は果報者じゃ。優れた家臣に恵まれておる。


2人共に金大判50枚を与える。


2人の働きに対しては少ない報酬で申し訳ないがな。」



「「あ、有難き幸せにございまする~~。」」



「ぬぅ、そこにいるのは。蜂須賀(蜂須賀彦右衛門正勝)ではないか。


お主とも長いなぁ~・・・。


金大判40枚を・・・。」



(ずっとこの調子だ・・・。


羽柴軍の主だった武将に手当たり次第の声掛け。


過去の働きを一々挙げて改めて褒め、そして金大判のトッパライだ。


儂の子飼いの者達(神子田正治。尾藤知宣。仙石久秀。・・・、・・・)にも同じ。


更にはまだ若くて実績の少ない者(福島正則。加藤清正。石田三成。・・・、・・・)にまで行っている。


皆感動して固まっている。人目を憚らず号泣している者までいる。)



(大殿は優れた戦国大名だ。人の使い方はとても上手い。


だがいつもは怖ろしい・・・、その姿とこの姿は違う。


何なんだろう?。先程久太郎殿に大まかな話は聞いたのだが。


京で宙に浮く大蛇の上に乗った?。


今朝の未明には堺から備中国まで一気の船旅をした?、今はこの場まで1万人で到着?。)



(正直訳が分からない・・・。レンタイ国か。


今も大殿の背後で雪系・炭系の者達が大人しく控えているが。


こいつらが現れてから何もかもおかしい・・・。)



(・・・だが、儂は戦い続ける者・羽柴筑前守秀吉だ。


この状況も上手く乗りこなして生き残り。


そしてまた戦い続けるのだ。)



(儂なら出来る。儂なら出来るぞ。この不透明な状況だろうが。


儂ならば乗りこなせる。儂は戦い続けるのだ。)

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