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茶碗蒸し

この物語はフィクションです。

 西暦1582年5月29日


12時30分  近江国・安土城


 今日は僕とシロナさんが安土城に来ている。


織田の大殿様に料理を作っている方々に対して、レンタイ国の料理を教えて欲しいと要望があった為だ。


ただ、僕は大柄の炭系、195cm・120kgのスペックがある。


それに対して日の本の成人男性平均身長は約155cm・平均体重は約50kgだ。


・・・武士はもう少し大きい人が多いが、日の本の人と僕が並ぶと一目瞭然。


大人と子供ぐらい差がある。



 そこでシロナさんだ。シロナさんは日の本の人達に近い、象牙色の肌。


120cm・22kgのスペックだ。


彼女が相手ならば日の本の人々も緊張しないだろう。



「はぁ~、皆さん料理上手だよ。感心しちゃうねぇ~。


プロの・・・しかも織田の大殿様に出す料理作るってんだから、超エリート料理人を掴まえて。


失礼な物言いかもしれないけど、凄いよ皆。


料理人としてのレベルや情熱がさぁ~。


下町で総菜屋やってたアタシとは比べ物にならないねぇ~。」



「「「シロナ様、お褒めに預かり光栄にございます。」」」



「はぁ~、佐川殿。大田原殿。生井土殿。


アタシなんか相手に敬語なんか不要だよ。


アタシはさぁ、元はと言えばミスラ諸大陸の出身じゃないんだ。


生まれた所では奴隷同然の身分だったんだよ。」



「その後は風俗嬢をやって生きてた後に、色々あってガルベスが客として来て。


更にミスラ諸大陸に『別大陸行き』で行っちまって、今に至るって奴だ。


3人共に料理人としては名家の当主なんだろう。


ヨッポド凄いよ、そっちの方が。」



「とんでもございません。この様な未知の調理技法の数々。


我々が普段作っている料理を、この場の調理で直ぐに遥か優れた物に変えられる。


料理人としての力量が全然違いまする。」



「う~ん、それなんだけれどもねぇ。


アタシが作っている9割5分は、ガルベスから教えてもらった物なんだよ。


アタシがタヘイ島って所で、昔惣菜屋をやっていた時は結構繁盛していたし。


アタシは自分は料理の腕が有るって思っていたよ。


周りが褒めて喜んでくれてたからね。」



「でもねぇ、ミスラ諸大陸でガルベスから料理を色々教えてもらったら。


ただ単にタヘイ島のお客様がさぁ、旨い物を殆ど食った事が無いから。


当時のアタシの料理を旨いって思っていただけだったよ。


知らなかったんだよ、タヘイ島のお客様もアタシも。」



「それに比べりぁさあ、皆さんはアタシのタヘイ島の料理より遥かに繊細で。


高い技量を持った上で、情熱的に調理をしているよ。


そして実際に美味しい料理だとアタシは思うよ。


マジで凄いと素直に思うよ。


後はさ、アタシがアレコレ教えるから、そうすれば1ヵ月もあればさ。


アタシぐらいの料理はすぐ作れる様になるよ。」



~~~~~


13時00分  同


(上手いなぁ~、シロナさんは。


相手の料理長、3人は褒められて嬉しくなってるよ。


そしてシロナさんから調理を学ぼうと必死だ。


心理的抵抗が無く、シロナさんが言う事を何でも受け入れているよ。


僕が教えるとなると彼らも雑念が入るだろうしなぁ~。


うん、これは良い人選だったなぁ~、自画自賛だよ。)



「おい、ガルベス。日の本には醤油も味醂もソースも無いのかよ。」



「そうですね、一般的ではない・・・あるいは全く無いのかもしれません。」



「ならさぁ、首都レンタイの調味料の生産者を呼んで来てくれよ。


そんでこの地で生産出来る様に手配してくれよ。


そうしなきゃ、調味料無しじゃぁ別の料理になっちまうだろ。


さ、はよ手配しな。」



「分かりました。シロナさん。


首都レンタイに行って、ネゴ殿に話して手配をしますよ。」



「後は取り合えず、茶碗蒸しが年齢性別問わず人気だからさ。


カマボコの生産者とか、昆布とか、鰹節とか、養鶏とかさ、その他色々な生産もさ。


ここで出来る様に手配してよ。」



「そうですねぇ。美味しい茶碗蒸しが常時作れる。


安土城の名物になりそうですね。良いですね。良いですよぅ~。」



 相手の料理長3人は顏が真っ青だ。


多分武将として扱われている僕に対して、料理人のシロナさんがあれこれ要求する事が信じられないんだろう。


彼らの感覚的には理解の外側の事なんだろうなぁ。


ただ僕もレンタイ国のドドド・ド田舎のド庶民出身だ。


シロナさんのぞんざいな言葉遣い等、何にも気にならない。


それよりも各種の生産が出来る様に、生産技術者を連れてこよう。

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