岩壁の文字
暗器の雨は止んだ。
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谷に残ったのは沈黙だけだった。
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負傷者三名。
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死者なし。
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それだけでも奇跡だった。
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熊鉄山は酒を飲む。
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ゴク。
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ゴク。
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そして傷薬代わりに残りを傷口へかけた。
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「痛ぇな」
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「馬鹿だからです」
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高文秀が即答する。
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隊員たちが笑った。
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少しだけ空気が戻る。
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だが。
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柳青玄は笑っていなかった。
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まだ終わっていない。
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そう感じていた。
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「こっちだ」
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岳飛狼が声を上げる。
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岩壁の奥。
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先ほど男が視線で示していた場所。
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そこへ全員が集まる。
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血文字。
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『逃』
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そこまでは同じだった。
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だが。
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近づくと違った。
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文字の周囲。
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無数の傷。
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爪。
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いや。
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指だ。
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男は死ぬほど苦しみながら。
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必死に何かを書こうとしていた。
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「逃げろ」
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ではない。
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もっと長い。
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何かが削り取られている。
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誰かが消したのだ。
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死ぬ前に。
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あるいは。
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死なせる前に。
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その時。
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高文秀がしゃがんだ。
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地面を触る。
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土。
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砂。
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石。
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そして。
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何かを拾った。
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紙切れだった。
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濡れている。
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血も付いている。
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普通なら見落とす。
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だが。
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高文秀は見つけた。
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「字があります」
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全員が集まる。
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紙は破れている。
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残っていたのは数文字だけ。
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『天』
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『二』
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『会』
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意味不明だった。
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熊鉄山が首を傾げる。
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「何だこれ」
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誰も答えない。
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ただ一人。
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柳青玄だけが固まっていた。
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天。
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二。
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会。
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前世。
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聞いたことがある。
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いや。
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聞いただけではない。
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天下大乱の発端。
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最初の噂。
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最初の禁句。
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最初の都市伝説。
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天二会。
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誰も存在を証明できない組織。
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正派でもない。
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邪派でもない。
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魔教でもない。
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だが。
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江湖の裏に存在すると言われた影。
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そして。
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前世で柳青玄が気付いた時には。
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既に手遅れだった。
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「……あり得ない」
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岳飛狼が振り返る。
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「知ってるのか」
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柳青玄は首を振る。
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今は言えない。
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言ったところで信じない。
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なにより。
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前世でも存在が曖昧だった。
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そんな組織が。
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なぜ今。
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黒風商会なんかに関わっている。
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その時だった。
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ガラ。
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小さな音。
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全員が振り返る。
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先ほどの。
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岩壁へ縫い付けられていた男。
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指が動いている。
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生きていた。
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岳飛狼が駆け寄る。
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男の瞳が揺れる。
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必死に何かを伝えようとしている。
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「水だ!」
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隊員が水袋を持ってくる。
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男が飲む。
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咳き込む。
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血を吐く。
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それでも。
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男は喋ろうとした。
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「に……」
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全員が耳を寄せる。
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「逃……」
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違う。
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逃げろじゃない。
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男の目は柳青玄を見ていた。
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「逃げ……るな……」
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沈黙。
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男の瞳が大きく開く。
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「奴らを……」
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ゴボッ。
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血。
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そして。
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言葉が止まる。
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死んだ。
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完全に。
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谷を風が吹き抜ける。
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誰も喋らない。
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だが。
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柳青玄だけは気付いていた。
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男の最後の視線。
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恐怖ではなかった。
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怒りだった。
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何かを奪われた者の目。
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その時。
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谷のさらに奥。
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見えない場所。
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白衣の人物が立っていた。
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仮面。
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細い指。
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そして。
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唇だけが僅かに笑う。
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「天二会」
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その名を呟く。
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「まだ早いわ」
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風が吹く。
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白衣が揺れる。
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次の瞬間。
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姿は消えていた。
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まるで最初から存在しなかったかのように。




