第二話 国営ギルド本部 へようこそ
〈ギルド規定第八条 構成員が五名に満たない状態が百八十日継続した場合、自動解散とする〉
何度聞いても、以上が国営ギルドからの回答である。
決定は覆らない。
エルはなんとか弁明を試みる。
「エリナさん聞いてください。アクレスたちは行方不明になっているだけで、絶対に帰ってくる。」
「お帰りはいつですか?」
「わからない。」
「では、ダメですね。」
「出て行った仲間も帰ってくると言っている」
「お帰りはいつですか?」
「……いつか……そのうち……」
「話になりませんね。」
国営ギルド本部受付職員エリナ・フォークナーの眼鏡がキラリと光る。
「百八十日の猶予期間があるにも関わらず、メンバー確保ができていない。」
「それは、アクレス達が帰ってくると信じてたから!」
「パーティーメンバーが足りず、クエストを受注出来ていない。」
「それは……駆け出しだけじゃ相手にされなくて。」
「クエスト受注出来ず収入がないため、毎月の納税もここ三ヶ月遅れている。」
「バ、バイト代だけじゃ、食べるだけで精一杯で。」
「それでも……なんとかなりませんか?せめて解散時期を延期するとか。」
エルの必死の訴えに、エリナも面に出さないが心苦しい。少し俯いたあと、諭すように若者に現実を伝える。
「そもそも元A級ギルド【マグナ・アラエ】の館を無印等級のアステリア様、グラント様のお二人で運営維持するのは難しいのでは?」
エルは返す言葉が見つからなかった。
確かに、有力なギルドの大きな館は冒険者以外の管理運営する者がいるのが普通だ。
フリムの奮闘がなければ使用人を雇う金も無いギルドはとっくに廃墟と化していただろう。
「……それと。」
まだあるのか。
「先程、住民の方から冒険者同士が揉めていると通報がありました。まさか、アステリア様ではございませんよね。」
にっこり微笑むエリナさんが怖い。
「いや、あれはバッカスが絡んできて、つい。」
「つい?」
「つい手が出てしまって……ただ、すぐにライラさんが間に入ってくれて、それ以上はやってませんよ。」
「つい……じゃありません!都市内での冒険者同士の決闘は禁止されていますよ。」
「ごめんなさい、もう二度としません。」
無鉄砲な弟を叱る姉と化すエリナ。
エルは当初の目的も忘れて、謝ることしかできなくなっていた。
すっかり意気消沈したエルを見かねて、エリナは眼鏡をかけなおし、先程までの厳格職員モードから、冒険者サポートモードへと意識を切り替える。
「アステリア様。大切なギルドがなくなってしまうことは、心中お察しいたしますが、国営ギルド本部の決定は、覆ることはございません。」
落ち込むエルに優しく落ち着いた声で話を続ける。
「ですが、新しいギルドを作ることは可能です。」
「新しいギルド?それじゃ意味がないです。」
「本当にそうでしょうか?ストレイバー様たちの帰りを信じておられるのですよね。それならば、信頼できる仲間が迎えてくれる……帰る場所がある。ということが大切なことなのではないでしょうか?たとえギルド名が違っていたとしても。」
「……帰る、場所……。」
「そうです。このままでは、ストレイバー様たちが帰還されたとしても、安心して帰る場所がない…出迎えてくれる仲間がいない。それでは寂しいではありませんか。ですから、あなたが新しいギルドを作り、半強制でならされたギルドマスターではなく、真のギルドマスターとなって、立派な館でもって、厳しい旅を終え、帰ってきた彼らを、出迎えてあげればいいではないですか。」
「……」
エルはその場で考え事を始めた。
しばらくして、小さく頷いたかと思うとエリナに礼を言い、国営ギルド本部を後にした。
「アクレスたちが帰ってきた時、驚かせてやる!アクレスたちに負けない、最高の仲間を探して……オレが最高のギルドを作ってやる!!」
その瞳には、確かな光が灯っていた。
――国営ギルド本部・裏方――
「エリナ~〈あの件〉どうにかならないかな」
同僚の女性職員が以前から問題となっているある事案を相談してきた。
「あ~、〈あの件〉なら近いうちに解決出来そうだよ。」
「そっか。さすがエリナだね」
〈あの件〉
地方都市の田舎も田舎の村リナーカカイナ
その村唯一の冒険者ギルド【ゴコーレイ】が、在籍冒険者の高齢化による存続の危機を迎えており、後釜となるギルドを探していた。
その期限、残りわずか二か月。
人物紹介
エリナ・フォークナー
所属:国営ギルド本部
職業:受付
種族:エルフ
性別:女
身長:168
年齢:25
性格:真面目。
仕事には妥協がなく超厳しいが、冒険者のサポートはとっても優しくしてくれる?
~冒険者等級~
無 エル、フリム
鉛
青銅 キンギ&ヨノフ
鉄 バッカス
ーーー大きな壁ーーー
鋼
銅
銀 ライラ
金
白銀
ーーー大きな壁ーーー
ミスリル
アダマンタイト
オリハルコン




