ラストマン登場!
シーチバテリア。
ハイハイ選手権の副賞にチョコ塗れ。嬉しいような悲しいような。
ニャーと鳴いたと思ったら頬を舐められる。
「おいやめろって! くすぐったいだろう。それに恥ずかしい」
副賞と言うこともあって観客席からは大声援と拍手とたまにヤジ。
「ダーゲン止めてくれって! お前のネコだろう? 」
ほぼ罰ゲームの泥まみれのダーゲンに助けを求める。
「いや俺だって取り込み中だっての…… それにネコはネコでも…… 」
どうもダーゲンは何か隠してるんだよな。
まさかこの子は血統書付きのお高いキャット様では?
追い払おうとしてもシャーと威嚇する困ったネコ。
抵抗せずに舐め回してもらう。それはそれで悪くないなと思う今日この頃。
まさかこの子もオオカミやキツネみたいに喋れるのか?
「おーい。名前を教えてくれ」
「名前なんかないって! 俺は通称ネコで通ってるんだ」
思った通りネコが喋り出した。もう驚くこともない。この世界ではよくあること。
そう思わないとやってられない。
「まさか泥…… いやチョコを舐めさせてないよなうーざー? 」
「いや抵抗できずに舐め回されてる。ダーゲンもどう? 」
「それはまずいって! ネコはデリケートなんだ。チョコをあげたらどうなるか」
ダーゲンは脅すが虫歯になる程度だろう? それとも腰でも抜かすのか?
「そうだろネコ? 」
優しく撫でてから立ち上がる。そして抱き寄せる。
「そうかな…… 私の正体を知ればきっと驚くぞ」
何とこのネコはオスだったらしい。生意気なことを言いやがる。
ダーゲンも恐れていたようだけどこのネコがどうしたと言うのだろう?
「よしうーざー。ここは落ち着く為にも儀式を完成させる為にもポエムを頼む」
無茶を言うダーゲン。もう卒業し封印した夜のポエマーを再び復活させるのか?
それはあまりにいい加減。そもそもなぜネコとポエマー対決しないとならない?
大体儀式って何だよ? どうも巻き込まれてる気がする。
でも面白そうだから夜のポエマーを復活させるか?
「頼んだうーざー! このネコを止められるのはお前しかいない! 」
いい加減だがそう言われると答えない訳には行かない。
♪ヘイソコノネコ ドコイクノ ソッチジャナイーン
ペロペロベロチュ ナメンナヨ ネコネコニャーニャ
コネコケネコッコ ケネコッコ クネコキネコネココ
効果ありと思いきやネコは自由気ままにスタジアムを走り回る。
これは勝った? 負けた? それとも引き分け?
もうどっちなのかよく分からい。
ダイヤモンドを一周するその走力は並みの人間じゃない。
ネコはネコってことだろうな。
ではそろそろ帰るか。
「待ってくれうーざー! 置いて行かないでくれよ! 」
どうやらネコには感情があるらしい。当然か。
「初めまして。私はネコ王子。どうぞよろしく」
ネコは紳士に振る舞う。どうも胡散臭いな。ただのダーゲンの飼い猫じゃないの?
それとだと逆にダーゲンはこのネコ王子の使い魔と言うことになる。
「まるで人間みたいだな。ははは! 」
「はい。元々人間ですよ。おかしな男に人間にされてしまった。
元に戻してもらおうとチャンスを窺ってたのです。するとあなたから男の臭いが。
お忘れですかその男。私をネコへとしたその男のことを」
ネコは自分は人間だと言う。そしてダーゲンは酷い奴だと言う。
「おいおい俺は関係ないだろう! 」
泥まみれのダーゲンのチャレンジで訂正と。ダーゲンはたぶん関係ないと。
ネコにした男はどうやらダーゲンではないらしい。
そしてヘルド村の者でもないと。ただ顔が分かっても名前を知らないそう。
それでは捕まえることも連れ戻どすことも恐らく無理だろう。
どうする? もう俺ではどうすることもできない。
「一旦ヘルド村に戻りましょう」
ネコにすべてを任せる情けない俺たち。格好悪いな。
ヘルド村。
「お使いご苦労様。ほらリンゴでも食べて」
ツー爺に労ってもらう。もうリンゴは充分だけどね。どうせトノサキのだろう?
「そうだ。トノサキはどうしたんです? 」
「ああ喜んでくれ。実は森の妖精が戻って来るとさ。ようやく目途がついたんだ。
今トノサキが迎えに行ってる。お前たちは本当にご苦労だった。
これでレジェンドが勢ぞろいした。後は残り一人」
「思い出したんっすかツー爺」
「そうだダーゲン。ラストマンのネコを忘れていた。ついうっかりな。
もう儂も年だろうか? ははは! 」
「お久しぶりですツー爺! 」
「おお! ネコじゃないか? 探していたんだよ。どこにいたんだ? 」
ずっとダーゲンの横にいたのに。ネコの姿のままだけど。
「はい。いろいろとありまして」
「なあネコ。どうだまた山賊に戻らないか? 」
ツー爺の説得。いや元々ヘルド村にいてダーゲンに飼われていたネコだから。
どう考えても今更だろう。ツー爺の目は節穴か?
「喜んで! どうぞこの私を山賊の最後のピースに! 」
ネコだかネコ王子だかの紛らわしい存在。今は人間の姿を取り戻している。
だからもうネコ王子だが。親しまれたネコの愛称で呼ばれ本人も満更でもない様子。
うんうん人間らしさを取り戻した? でも待てよネコだからネコらしさか?
でもネコ王子は人間で。それでいてネコ。
ああもう混乱するな!
それから三日が経ちついにレジェンドも勢ぞろい。山賊復活を遂げた。
「うーん。もう一人いたような…… 」
ツー爺は長考。
「いい加減にしろ! 」
ダーゲンが突っ込む。俺の思っていることを代弁してくれるのが奴だ。
「まあいい。それでは皆揃った。残すは開幕を待つだけだ。野郎共行くぞ! 」
「おう! 」
「声が小さい! もう一回! 野郎共行くぞ! 」
「うおおお! 」
「山賊復活! さあ行くぞ! 」
「うおおお! 」
随分と気合が入っているツー爺と山賊たち。まさか人でも襲う気か?
「ありがとうございますうーざーさん。それでお礼をしたいのですが……
記憶を失っていたと言うので完全に記憶を取り戻すお手伝いをしようと。
そして元の世界に戻れるように尽力致します。
そこでラクエラにいる有名な占い師をご紹介します」
改まるツー爺。
これはラッキー! せっかくなので紹介してもらうことに。
好意は素直に受けるのがいい。
翌朝。
こうして俺たちは最後の旅に出かける。
お供にサルではなくダーゲンを。犬ではなくネコを。
キジではなくツー爺の代打の栗さんの代打のトノサキを。
ユーティリティートノサキ。
少々不安はあるがこれで準備万端。
ヘルド村を離れる。
目指すは有名占い師のいるラクエラへ!
続く




