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ゼグラーン戦記  作者: 椿
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新たな戦い

大広場では並列して並んだ大量の馬車が、物資の積み込みを完了したものから、順次出発している。


臨時に作られた屋外用の通信室と後方司令室は机と椅子を数十個、魔術液晶や魔力探知機などが置かれ、すぐに動ける用意だった。


手元にある補給物資に関する資料を、俺は眉を歪めて見ていた。


現在の状況で戦線が広がり、ゼグラーンがあの二国の戦争に介入するとなれば、必然的に軍は前進する。


そうなれば補給線が我が国の国土の倍以上に伸び、戦闘できる状態になれるとはとても思えない。


「やはり、俺たちはまだ小国だ」


誰にも聞こえないように、そう小声で呟くと、背後から声が聞こえた。


「同志中将、ユウヤ総司令官から電文であります」

「読んでくれ」

「はい!読みます」

「『王国軍と交戦した帝国軍から一部隊が戦線から離脱し、こちらに向かっている。急ぎ補給隊の到着を求む』とのことであります!」

「ありがとう、全部隊に作業を早めるように言ってくれ」

「了解いたしました」


そう命令したあと俺は再び装備品や食糧に関する採算にあたった。



最前線、第一防衛線 A地区


「この前平和になったばっかなのにまた戦争かよ、上はなにを考えてるんだ」


一人の兵士が背景とほぼ同化したトーチカ内でそう話し始めた。


「俺も戦争は反対だ。だが、街には家族がいる。お前もそうだろ?」

「ああ」


一人が話し始めると、それに応じて周りも口を開いた。


トーチカといっても中は広く、5人の人間が余裕を持って動けるスペースがあり。ランプも支給され、トーチカの穴にはカーテンもついており、一つの部屋のような感じだ。


このトーチカは全体の3分の2が地面に埋まっており、顔を出している部分は前面と後面だけで、前方からは人間を通さず、後ろは塹壕で横に長く伸びている。


そのトーチカの前50m先には、魔術有刺鉄線が二重で敷かれ、ゼグラーンを囲うように守っている。


攻撃よりも防御を重視したモデルに兵士も国民も自信があった。


「だが、これでわかるのは、ここは前から変わらぬ、戦闘区域だ。俺たちは国民の軍である以上、その国民が選んだトップの命令に従う義務がある」

「わかってる、わかってはいるが、今のこれは…」


ドンッ!!!!!!!


「!?」


その爆発音の瞬間、一同の目が変わりすぐさま一人がランプの火を息で消した。


1人が魔術機関銃を構え、他の兵士もそれぞれ小銃を手にした。


周りの友軍もそれに気づいたのだろう、一瞬で明かりを消し、眼光を鋭くした。


月灯りで照らされた森と平原は、美しほど不気味に映し出され、兵士たちは息の飲むんで敵の出現を待っていた。


馬が静かになると、これまで聞こえなかった虫や、草木の音が鮮明に聞こえ、兵士たちの鼓動を一層高めた。


兵士たちの視線の先に、一瞬光沢が見えた。いや見えたと言ってもほんのわずかな輝きだったため、気付かない者もいただろう。


前方から無数の矢が光の閃光と共に向かって来たのだ。


「伏せろ!」


その矢は凄まじく鋭く、速かった。


トーチカの中にまでその刃が侵入し、少し反応が遅れた者は重傷を負う羽目になった。


「攻撃開始!攻撃せよ!」


連隊長の大声で一斉に機関銃の火がついた。どこにいるのかわからない敵目がけて、暗い前方の森に向かって、各部隊が一心不乱に斉射した。


それと同時に、トーチカ群の後方に建設された通信室の兵士が、指令本部に現状を伝えた。


「こちら北12地区!!正体不明の敵軍と交戦中!繰り返します!正体不明の敵と交戦中!!」


その声は司令部に既に届いていた。


本部の通信部はすぐに返答を返した。


「現在、前線全てに援軍が向かっております。その場で持ちこたえてください」

「わかりました!しかし、いつまでもつか、わかりません!急ぎ支援を!」

「了解しました」


それを聞いていた別の兵士は移動中のユウヤたちに連絡を入れた。


「どうした?」

「はい、前線のトーチカ群で戦闘が発生しました!急ぎ支援が必要とのことです!」

「わかった、速度を上げる。ハルトに補給物資の輸送も早めるように言っておいてくれ」

「了解しました」


通信が切られた後、ユウヤ、シュウキが乗ったドラグーンはさらに速度を上げて、前線に向かって行った。


それと同時に、すでに北部に移動していたタケヒロは、高高度に飛んでいるドラグーンから彼の従者だけの部隊を落下傘をつけた状態で、上空から送り出していた。

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