悪夢再び
「ちゃんと全従業員に休憩は取らせているか?」
「もちろんです、御命令通りすべての工場労働者に毎週3日の休息を与えています」
「ならよかった。休息なくして生産量は上がらないからな」
工場内でそう話しながら、装甲車と戦車の開発を行なっている場所に着くと、真っ先に視界に入ったのは巨大な設計図だった。
だが、その横には何かを何度も何度も書き直した後があった。
「やはり、起動魔術と車輪の組み合わせがうまくいきませんか?」
エンジンの設計図を手に持っている主任にそう聞くと、主任はすぐに振り返り口を開いた。
「はい、この『エンジン』と呼ばれる中核部品が起動魔術と噛み合わず、後方の車輪を動かすことができません」
そう話しながら設計図に指を指し、詳しく話してくれた。
「産業局から送られてきたこの図によれば、そもそも、このエンジンを動かすための何かしらの天然資源などがいるのではないかと私は思います」
その通りだ、天然資源を魔術で代用できないかと考え、我々が出した結論だ。だが、やはり無理があったのだろう、この工場は融合魔術という、特殊で、もう二度と作ることのできない魔術を利用して作られたため、何時間でも、資源も要らず無限に稼働するが、装甲車や戦車では、それはは反映されないようだ。
「わかりました。至急資源のに関する条例を作成いたします。それまで装甲車及び戦車の設計を一時的に中断していただけますか?」
「わかりました。よろしくお願いします」
ポケットに入った手帳にメモを書き、一礼した後に工場を出た。
「資源の確保、新装備の充足率、農業生産量の増加。か…」
産業大臣として、やることの多さに驚いていたが、自分で選んだ以上、やり遂げて見せると、自身に言い聞かせていた。
一人で歩きながら、司令部に向かっていると、後ろから馬車の音が聞こえた。
轢かれないように横にずれると、馬車は俺のすぐそばで止まった。
「中将〜」
聞き覚えのある声に自然と顔がその方向へ向く。そこには部下の佐々木とアキトがいた。
「中将閣下、どうぞお乗りください」
馬車からいち早く降りてきたアキトが俺に敬礼を向け、左手で馬車に手を向けた。
「お、ええんか。入らせてもらうで」
「どうぞ!」
俺が乗り込んだ後にアキトも馬車に乗り、2頭の馬が走り出した。
「いやぁ、司令部まで結構距離あるから助かったわ」
4つある席に3人の男たちが座り、会話をしていると、外の窓から突然音が聞こえた。
それは人間のノックだった。
窓にかかっているカーテンを開くと、そこには馬に乗ったツバキさんの姿があった。
彼女の表情は、とても怖く、焦りを感じているような顔だった。
それにすぐさま反応し、窓を開けた。
「何かあった!?」
「はい!帝国が王国領内に進軍を開始しました!!」
それを聞いた俺、アキト、佐々木は顔を青ざめ、息を飲んだ。
そう、戦争が始まったのだ。
融合魔術 一つの国に3つまで使用できる強力な魔術で一度選択すれば二度と使えない魔術である。ゼグラーンは、工場、ドラグーン格納庫、大病院をこれを使って建設した。




