内務方針会議
「さ、じゃあ始めるぞ」
ユウヤの一言でゼグラーンの幹部全員が集合した、内務方針会議が始まった。
場所は司令本部の地下に作られた会議室だ。
まず、第一書記長のユウヤ、第二書記長のシュウキ、第三書記長及び航空幕僚長のタケヒロ、産業及び工業大臣の俺が大学の講堂のような場所の一番前に座り、それに向かい合うように、多くの部門のトップが並んでいる。
今まで中途半端になっていた各部門を全て整理し、指揮系統も変更した。
大きく分けて、部門は3つだ。
政治局、軍事局、産業局に分けそれからさらに細かく分かれている。
政治局は、トップをユウヤとし、その副官としてシュウキがおり、さらにユリ、リュウキ、リン、カスミが配属されている。
これを人民省とし、国家方針を決める部門だ。
次は軍事局だ、国防軍がトップにあり、その下に陸軍省、海軍省、空軍省、魔術機動軍、国境警備隊、治安維持部隊に分かれている。海軍については未だ編成中で、まともな船もなく、動かせる状況ではないが、その他にはしっかりと兵が配属されている。
陸軍15129人、空軍2301人、魔術機動部隊1298人、国境警備隊754人、治安維持部隊342人だ。
陸軍の最高司令官はユウヤ、タケヒロは空軍の最高司令官だ。魔術機動部隊はツバキさんが最高司令官。国境警備隊及び治安維持部隊はシュウキの指揮下だ。
現在は志願兵のみだが、大きな戦争になれば法が変わるようにも制定しなければならない。
そして、前回も議題になった士官の育成だ。俺たち4人の従者たちは戦闘に直接参加してもらうことが多いので、指揮を出せる状況にないことが問題だった。ゆえに士官の新たな育成は絶対に必要なのだ。
すでに23人の第1期生の士官候補たちが、士官学校に入学している。彼らが後の頭脳となることを期待している。
そして俺の所属する産業局はツバキさんがトップであり、国内の全ての産業を管理する局だ。
産業局はさらに3つに分けられ、農業、工業、商業になる。それぞれ大臣をすでに決定しており、俺が工業大臣、スミレが農業大臣、アキトが商業大臣に選ばれた。
俺と俺の従者はほとんどが政治職についているが、同時に魔術機動軍に属する者もいる。召喚師としての腕は皆一流なので、そちらも同時に行ってもらっている。
いずれ、政治職には、国民から選ばれた者たちにやってもらいたいと俺は考えている。
こうした全ての部門の幹部が終結しているこの会議では、今後の方針についての議論が始まった。
「それでは内務方針会議を始めます」
司会の声と共に、拍手が起きる。ようやくまともに内政に携われると、皆が実感していた。
「ではまず、今後の我が連邦の方針についてですが、食料自給率の100%越えと労働条件の改善を第一の目標に置いて行動します」
現在のゼグラーンの食料自給率は39%だ、もしまた戦争などが起きでもしたら、後ろ盾なしでとても生き残れるとは思えない。
そのために食料の確保は最優先であり、絶対的に必要な課題だ。
その議論が開始されて、すぐに一人の代表が手を挙げた。
「書記長、発言をお許しください」
「意見があるなら言ってくれて構わない」
「ありがとうございます」
その人物はシュウキの従者の、神宮寺だった。おっさんの風貌をしているが、とても優秀な魔術師で、シュウキがもっとも手をかけたと言っても過言ではないほどの男だ。
「食料の問題は確かに重要ですが、やはり現在の状況を見る限り、もう少しばかり、軍事費を増やしてはいただけないでしょうか?」
それはもちろん、ユウヤや俺も理解はしていた。
「…ああ、それは俺も考えた。だがこれ以上予算を軍事費に回すと、社会システムが維持できない危険が出る」
「その通りだ。現状の俺たちははっきり言って弱い。今大国に襲われたら俺たち書記長が前線に行こう。だが、まずは人間である以上、食料の確保が重要なんだ。歴史を見ても食糧不足がもっとも争いが起きやすい原因だと書いてある」
タケヒロがユウヤを庇うように言葉を並べる。
「…わかりました。発言を許可いただきありがとうございます」
「すまない、いずれ軍事費も国力の増加と共に上げていく予定だ。それまで少しだけ待っていてくれ」
神宮寺はゆっくりと席に座り会議が続く。
話が進むにつれ、やはり軍事に関する議題が増えていった。
「じゃあハルト、現在の新装備の充足率を言ってくれ」
話しているうちにいつのまにか俺の番が回ってきていた。
「わかった」
立ち上がり、全員の視線が俺に集中する。
この感じ、高校や中学とかの発表みたいで、嫌だなぁ。
そう感じながらも自分のやるべきことをこなした。
目の前の新装備に関する書類を右手で持ち、話した。
「現在の新装備は、陸軍に優先して配備しています。おおよそ、その半分がすでに新装備を装備しており、万全の状態です。残りもあと三週間で全てが揃う予定です」
「ですが、その分、少しの間、鉄や火薬といった資源が不足しています。合成工場がまだありますが、ほとんどの物資を、前いた森に置いてきたので、その分不足が激しいです」
ここでユウヤが口を開いた。
「それについてだが、新しく外交部門を立ち上げた。これからは外交の戦いで勝敗が決すると俺は思っている」
さらにその場にいたものたちの表情が厳しくなる。
この時、まだ先の分からぬ未来を考え、窓の外を見上げていた。
綺麗な青空だった。




