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ゼグラーン戦記  作者: 椿
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戦争終結

皆静かに、ダルンケスト大通りでタケヒロの帰りを待つ。あいつに限って死ぬことはないと思うが、こちらの提案を受け入れてくれたかどうか、不安はそちらの方が大きかった。


もう夜だ。街灯がまだ半数も完成していないので、この大通りにたいまつを置いて視界を保っている。がやはりまだ暗く。改善すべき点が多そうだ。


「見えた!航空幕僚長のドラグーンだ!」


一人の兵士の言葉で場が一気に騒然とする。暗くて見えにくいが、たしかにドラグーンだ。


「リュウキ、あれは敵ではないな?」

「はい、発せられている魔力反応は間違いなく航空幕僚長のドラグーンのものです」

「ありがとう」


ユウヤが部下に安否を尋ね、一安心したときにドラグーンに乗ったタケヒロが、通りに降りる。


顔は笑っていた。その場にいたものはタケヒロが空に目掛けてあげた手に、一枚の紙があることがわかった。


「元帥…もしや…」


タケヒロの従者、奥川がそう聞くと。


「ああ、条約は締結された。戦争終結だ」


その言葉を聞いた者は、一斉に飛び上がり、歓喜の声を上げた。

踊り出すものや、叫ぶもの、用意していた酒を飲み合い、大通りはお祭り騒ぎになった。


「やりましたね元帥!」

「さすがです!」

「ここまで来れたのは全員の団結があったからだ。これはみんなの力だ」


活気に溢れたゼグラーンを見て俺は気が抜けてしまった。その場に座り込み、一息ついた。


「中将?大丈夫ですか?」


ツバキさんが心配そうに俺にそう問いかけてくる。


「うん、大丈夫」


俺の笑みを確認したツバキさんは、続くようにこう言った。


「これでようやく、内政に集中できますね」

「ああ、その通りだ。命をかけてこの国を守ってくれた同志たちのためにも、この国をより強くしないといけない」

「じゃあツバキさん、俺は完成した司令本部へ行くけど…」


そうツバキさんに言うと、すぐに召喚獣を場に出して準備した。


「私も参ります」


同じような影に纏われた馬の召喚獣をツバキさんも出し、本部へ行く用意ができた。


「じゃ、行こっか」

「はい」


影の馬が音を立てずに走り出す。


歓喜に湧く大通りを見渡しながら、暗い裏口に回る。先ほどの歓喜の声は消え、静かな道に入る。


「中将」

「ん?」

「もし次にまた戦闘があれば、次は勝てません。こちらの総戦力を理解したうえで来ることを考えれば、明らかに負けるのは時間の問題になります」


急に深刻な話を突きつけてきたツバキさんに俺は試されてるのかと疑問を自分に当てた。だが、先に動いたのは口だった。


「わかっている。そのための新装備と士官育成に今は力を注ぐしかない。魔術榴弾砲もさらに種類を増やして小型化にも成功していると報告も来た。今現在我々ができるのは防衛力の強化だ。それしか今はできない」


ゆっくりと馬を歩かせ、横並びで司令部までの道のりを進む。


「はい…ですが中将、私は不安です。この大陸は古い時代から戦争が絶えなかったのだとティダロフェルの書物から学びました。私たちも今その波乱の時代にいるのではないでしょうか?」

「それを最低限まで防ぐのが俺たち幹部の仕事だ。着いた、降りよう」

「はい」


会話が終わり、馬を腕の術式に戻して、司令本部へ入っていく。


「その議題は、これからこの司令部で決める」

「最高会議も設立しないとな…」


小さくそう呟いて、ゼグラーンの赤い星が3つつけられた豪華な扉を、軽い力で開いた。


戦争は終結したが、俺たちの戦いはまだ終わってはいない。











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