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ゼグラーン戦記  作者: 椿
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交差する思惑

「カーン大将、それがどういうことを意味するかわかっているのか?我が王国が小さな小国相手に弱腰になって逃げたと捉えられてもおかしくはありませんぞ」


カーン以外の幹部たちは揃って国民や他国からの評価を気にしていた。


それに対し、カーンは淡々と述べた。


「今回のゼグラーンの出現は確かに急で不明な点が多いですが、あの東側に出現した国と友好的な関係になれれば後々にも効果的に意味があると私は感じます」


続けて話す。


「しかしながら、それはティダロフェルも黙ってはいないでしょう」

「王国と帝国が古来より戦争が絶えない原因に種族の違い、文化、風俗の違いもあります。ましてや1個体で300年や500年生きるエルフに我々は圧倒的に不利です。運良く先の大戦では防衛戦に徹した我らが勝利を収めましたが、彼らも敗北の屈辱は忘れていないでしょう」

「だから、この大陸を刺激するような行動をとるなと?それは王国軍人として逃げているのではないのか?」


カーンと同じ上級大将のダリーダ・フェルギラントが彼の意見に反対した。


フェルギラントは他民族を差別しやすく過小評価することが多い人物でカーンとは全くの正反対な人物なのである。ゆえにこの二人が合うはずもなく、同じ作戦に参加すると進行がよく遅れることが有名であった。


「しかしフェルギラント閣下、このまま東側の国家との戦闘は無駄な犠牲を増やすばかりです。ゼグラーンとは平和的に戦闘を終結させ、フェルブラント大将の捜索を優先すべきだと」

「それはゼグラーンを降伏に追いやってからでも遅くはないだろう!」


机を叩き大きな声でそういうフェルギラントの意見も悪いものではなかった。ゼグラーンに対して圧倒的に有利な王国側は、いつでもゼグラーンを滅ぼすことができた。


だが、カーンはそれよりもティダロフェルの動きに不安を感じていた。このタイミングで帝国が侵攻してくるとなると、間違いなく、大きな戦争に発展しかねないからだ。


それはなんとしても避けたい。戦争しないことが最も良い方法なのだが、それはこちらの理屈だ、相手、いや敵はそうは思ってはいないだろう。


そうして議論が重ねられる作戦会議室にもう一度兵士が声を上げて入ってきた。


「大変です!フェルブラント上級大将とその部下が敵に拘束されて現れました!!!それも数十体のドラグーンと共にです!!」

「なんだと!?」

「!?」


それはカーンでさえ予測しなかった事態だった。ゼグラーン連邦のタケヒロは捕虜を解放するという手段に出たのだ。





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