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ゼグラーン戦記  作者: 椿
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始まりの戦い

オリガステル王国、王都シャルデ・バランの中心に位置する大広場に大軍が綺麗に整列している。その前には十天創元のメンバーも数人、他の将軍たちと共に並んでいる。


「総員傾注!!」


その広場で声が響く、若い女性の声である。だが、その声を知っているものはすぐに背筋が伸びて、聞く姿勢に自然となる。


「今回の作戦に選ばれた全員に言っておく、敵は未知の要素を多く含む、決して自分たちを過大評価せす敵を過小評価するな。心に留めておけ」


それを聞くと全員の表情が強固なものになり、出陣の準備が整った。


「あとは頼む、ガディア」

「わかった」


そう言うと次に現れたのはいかにも育ちの良さそうな顔をしたガディア・オーレンスという男だった。


「今作戦は夜襲を基本とした戦闘で部隊を4つに分けての計画とする」

 

兵士達の前に出された大きな地図に作戦の概要が詳しく書かれていた。


「俺の第1軍、ミフィーナの第2軍、デイヴィスの第3軍がそれぞれ別の方向から攻撃する。」

「北側、西側、東側から攻撃して敵の兵力をこの3つに集中させる、その間に残りの部隊はさらに東南側まで回り込んで、敵の後ろを突く、これが今回の作戦だ」


ガディアの説明が終わり、全部隊が武器を手に立ち上がる。


「いよいよだな」

「ああ、どんな奴がいるのか楽しみだ」


ガディアとデイヴィスが陽気に喋っている時もミフィーナは警戒していた。噂によれば異世界から来たとか、到底信じられる話ではないが、そのことに彼女は警戒心を強めていた。



暗い夜。虫や動物が蠢いている森が闇に照らされ一層不気味に見えた。


「来そうやな」

「なにが?」

「敵だよ」


城壁に椅子を置いて座っていると、横にいたタケヒロがそう言った。自分自身も暗い森を見ながら不気味と感じていたが、まさか王国軍が攻めてくるとは思ってもいなかった。


「今攻めても敵にメリットなくない?」


俺がそう聞くとタケヒロは森を見ながら話した。


「今日は月に似た星の光が弱い、夜襲には1番の日や、最大限の警戒を…」


その時、戦闘警報が街中に鳴り響いた、それと同時に非難を呼びかけるアナウンスも流れた。


『総員に次ぐ、防衛体制を取れ!演習ではない!繰り返す、演習ではない!!』

『連邦市民の皆様は速やかに第一地下塹壕やアルステル大病院に非難を!』


「うせやろ!?」

「ほんとだよぉ!!!」


そう叫ぶとタケヒロは城壁から飛び降りて、すぐさまドラグーンを召喚した。


「また後で!」


一瞬にして何処かへ飛んでいったタケヒロを見て、唖然としているときに通信が入った。


「中将!御命令を」


俺も動揺していたが、今はそんなことしている余裕すらない。すぐに戦闘指示を俺の全従者に出した。


「全員戦闘に入れるものは集団になって戦ってくれ、出来るだけ近接戦は避けるように!!伝えて!!」

『了解!!」』


なんとかこれで指示は伝わっただろう、次にすることは敵の戦力を知ることと、侵攻を妨害することだ。すぐに術式を唱える。


「召喚術式、剛岩石の巨兵!!」


詠唱と共に、空中に巨大な魔法陣が現れ、その中からゴーレムが一体召喚された。

大地を破壊しながら着地すると地面が大きく揺れた。


「あの森からこちら側に入ってきた敵の侵攻を阻止してくれ!」

「…………………………」


無言のまま、指差した方向へ走っていくゴーレムに少し不安な感じもしたが、気には止めなかった。


「それと索敵だな」


そう思い、もう一度召喚獣を出そうとしたとき、東の方向から一本の光の矢が俺目掛けて飛んできた。

それが視界に入った瞬間、避けれないと確信し、目を瞑った。


あれ?生きてる?

顔を両腕で隠した俺が隙間から見たのはユウヤとシュウキだった。


「大丈夫かハルト!」


助かった、ひとときの安堵が俺を包んだが、東の方向から、黒い影が蠢いているのが俺たちには見えた。

オリガステル王国とティダロフェル帝国を繋ぐ巨大な湖は両国間の相互ラグー湖不可侵条約によって戦争目的での使用が一切禁じられている

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