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ゼグラーン戦記  作者: 椿
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十天創元

「見えてきたな」

「ああ、あれが王国軍か」


タケヒロとユウヤは自らが出した召喚獣に乗りながら、王国と帝国の国境線近くまで来た。

そこには明らかに目立つ服を着た連中が大勢で立っていた。

その者たちに近づき、召喚獣から降りて徒歩で王国軍お場所まで行く


乾いた大地をユウヤとタケヒロ、そして数人のエルフの軍人と共に歩き、自分たちの倍入るであろう王国軍の前まできた


「なんだ貴様らは、なぜエルフと共にいるのだ」


軍の隊長らしき人物が、腰に手を当てたまま、自分たちに向かってそう言ってきた


「お初にお目にかかります、王国軍の皆様」

「私は帝国軍大尉、シェルフ・ラードリッヒと申します。」


シェルフが先に口を開き、王国の軍人に自分たちに戦闘の意思はないということと、ドラグーンを使用したのはこの二人の在籍するゼグラーンという国家であるということを説明した


「人間がドラグーンを扱えるはずがなかろう、見えすいた嘘を堂々と言うとは、帝国も腐ったものよ。かの不敗の七英雄たちも恥ずかしかろう」


その言葉に王国の軍人たちはクスクスと笑い始め、シェルフの表情が見たことのないほど眼光を鋭くしていた


「いかに他国の人間であろうと、我らの偉大な先人である七英雄を侮辱することは許しません。」


ニヤッと笑いながら、ザデックという王国の軍人は人差し指でシェルフたちを指し


「このものたちを拘束せよ」


と命令を出した

その時、タケヒロがシェルフの前に出て発言をした


「ドラグーンを見せれば信じてもらえるのか?」


まだ言うかと馬鹿にした顔でナザックは指を下ろした


「ああ、出せるものなら出してみろ」

「わかった」


そう言ってタケヒロは服の袖をまくり、右手にびっしりと書かれた術式を前に突き出して詠唱を開始した


「召喚術式 ヴァデッサルドラグーン」


その瞬間上空に巨大な魔法陣が出現し、ドラグーンが一体現れた


体長は30mはあるであろうドラグーンの出現に場にいた兵士たちは信じられないという目をし、ドラグーンを見つめていた


「降りて来い」


タケヒロの言葉に従い地面が揺れるほどの振動を響かせながら、ドラグーンは地上に降り立った


「これで信じてもらえましたか?ドラグーンを森で使用したのは俺です。」


ドラグーンに呆気を取られていたナザックはタケヒロを指差し震えたような声で言葉を投げかけた


「ありえん!!ドラグーンを召喚し、まして手懐けているなど!!人間にできるものか!!!」


少し錯乱しているようなその表情に、タケヒロはさらに追い討ちをかけた


「これで今回の進行理由はなくなるはずです。そちらの司令官に伝えてください」


歯を食いしばり、悔しそうな表情でナザックは部下の兵士にこう告げた


「今すぐ早馬に乗って大将閣下に報告だ!!全軍レアックスまで撤退だ!!」


そう言うと、その場にいた兵士たちはあっという間に駆け出していった

だが、数人だけ残っている者たちがいた


「君の国家、ゼグラーンという国家はどのあたりにあるんだい?」


魔術師らしき赤い髪の男が馴れ馴れしく話しかけてくる


「マルティの森と言われた場所に存在する。」


ユウヤが突然喋り出し、赤い髪の男と会話を始めた


「ふーん、君たちのような国は聞いたことがないけど、どうして?」


煽っているかのような口調で話しかけてくる男にユウヤは少し苛立ちを覚えていた


「色々ありましてね、領土を得たんです」


その態度が癇に触ったのか、男はいきなり剣を出して、タケヒロに向けた


「お待ち下さい!!軍は引き上げました。あなた方も撤退なさってはどうなのです!?」


シェルフが俺たちを庇うように、赤い髪の男に言った


「僕たちはね、十天創元なんだよ、国王陛下直轄の部隊であり、あいつらとは指揮系統が違うんだよ」

「十天創元!?」


シェルフがその言葉を聞いた途端、足が揺れ始め、後退りを始めた


「十天創元とはなんでありますか、シェルフ殿」


ユウヤが冷静にシェルフに対して質問を投げかけた


「じゅ、十天創元とは王国に存在する最強の魔術師や、剣士を集めた、精鋭中の精鋭です。我が帝国の国家魔導騎士並みの強さだと聞いております」

「なるほど」


ユウヤはこの時どれくらいの強さかは、理解してはいなかったが、国王直属の部隊ということは理解し、”強い”という単純な言葉に収めていた


「でさでさ、ドラグーン使いの君に決闘申し込みたいんだけどいいかな?」


赤い髪の男がタケヒロに矛先を向けて言い放った

その問いに対し、タケヒロは冷静な回答を出した


「それを行なってなんの意味があるんですか?」

「はぁ?力を教えてあげたいんだよ、決闘は相手が戦闘不能な状態になるまで勝負だから、死ぬことはないから、十分力の差を教えてあげれると思うんだよね」

「そうすればその生意気な口を聞けなくしてあげれるじゃん?」


ケラケラと笑いながら決闘の申し込みをしてきた男に対し、タケヒロの回答は決まった


「やりましょう、戦闘不能になるまで」

「そうこなくちゃあ!!!おいリリーア!!時間計ってね!」


十天創元の一人であろう少女が怯えながら、服の中から時計のような器具を出し、準備が整った


「本気かタケヒロ?相手はかなり戦闘に慣れてるぞ、いくら魔法ができても近接武器相手じゃ無理があるやろ、お前が詠唱中に時間稼いでくれる従者も今ここにはいない」

「大丈夫や、まぁ見ててや」


タケヒロはその時、少し笑っていたような気がした


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