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ゼグラーン戦記  作者: 椿
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タケヒロvs十天創元


荒れた荒野で、二人の影は目立っている


十天創元と呼ばれる赤髪の剣士と、タケヒロだ


「それじゃあ、あれの合図で始めよっか」


指を刺した方向には、赤髪の言動にビクビクしながら立っている魔術師らしき女性だった


「了解だが、一つ聞いておきたいことがあります」

「なにぃ?」

「あなたのお名前です」


剣を一度下ろし、頭をポリポリ書いた状態で赤髪の男は言った


「ベリウス」

「わかりました」


秒で返事を返したタケヒロはくすんだ大地をゆっくりと歩き、ベリウスという男と距離を取る


「このぐらいですか?」

「おっけい〜」


イラつく笑顔をタケヒロに見せながら両者の準備が整った


「では、は、始めてください…」


震えた少女が鈴を鳴らした


その瞬間、ベリウスという男は一瞬にしてタケヒロの前まできて、剣を突き刺そうとしていた


「!!!」


タケヒロは、相手の一撃目を容易に交わし、ベリウスの剣を手で弾いた


剣は見事に地に落ち、ベリウスがそれを拾おうとした瞬間


「召喚術式ドラグーン」


囁くような声で詠唱を読んだ。するとタケヒロの腕に描かれている術式が紫色に輝き


空に巨大な魔法陣が現れる


しかもそれは一つではない、10や20といった数だった


「…………」


無言でタケヒロは指をベリウスに向けた


空を切り裂くような豪風と共に大量のドラグーンがベリウスを襲おうとしていた


「くっ!……」


ベリウスは剣をすでに手に握っていたが、数が違いすぎた


その時だった


「そこまでだ!!双方武器を収めよ!!」


それにいち早く反応したのはタケヒロだった


ドラグーンを即座に停止させ、地上にゆっくりと降ろさせた


声が発せられた方向をシェルフとユウヤが顔を向ける。

そこには荒野には似合わないほどの清楚という言葉がふさわしい黒髪の女性がいた


「剣を収めよベリウス、命令無視による勝手な行動は許さん。たとえお前でもな」


さっきまでムカつく言葉を並べていたベリウスはあっさりとその女性の言う通りに従った


コツコツと靴の音を鳴らし、ユウヤたち3人の前まできた


「部下が無礼を働いたようだ、謝罪しよう」


そのすべての行動の美しさに、呆気にとられていたユウヤだったがすぐにいつもの自分に戻ったようだった


「いえ、こちらこそ。国境付近での無許可な決闘。申し訳ありません」

「それよりも、あなたは?」


ユウヤの問いに、落ちてきた髪を耳の後ろに巻きながら、美しい口調で言い放った


「オリガステル王国、十天創元統帥長のミフィーナ・フェルブラントだ」


そう言った彼女からはベリウスとはまるで違うオーラを感じた。”本物の軍人”とでも言うのだろうか、その時のユウヤは、氷のように冷たい彼女の目に必死に足の震えを我慢していた


違う、明かに他の十天創元とは空気そのものが違う


場にいたシェルフ、ユウヤ、タケヒロはこの空気に、このオーラに心臓が凍りそうだった

十天創元 王国から選別された十人の選りすぐりの軍人たち、多くの困難な戦局を幾度も打開してきた精鋭中の精鋭である

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