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EP11

町は活気に溢れ、そこらじゅうから威勢のいい声が聞こえている。


「ちょっと!そこのお兄さん!見てっておくれ。今日採れたての新鮮なアブールだよ!今買わないと後悔するよ!!」

「らっしゃい、らっしゃい!メギョが安いよ~、今もっとも脂が乗ってておいしい時期!そこのお兄さん!買ってかないか?」

どうやらこの通りは露店が多いようで、そこらで客引きの声が聞こえてくる。俺も見たい衝動にかられるが目的を果たさなければならない。


「ダガー、武具屋を知らないか?俺はさっぱりわからないんだが。」

俺は露店を横目で見つつ、ダガーに話しかける。


『いい武具屋を知っている。潰れてなければの話だが…次の次の角を右に曲がる。』

案内してくれるのはいいんだが、どんどん人気もなくなり、雰囲気もさびれていく。その途中…


「おにぃさぁ~ん、遊んでかない?とぉってもキモチいいことしようよぉ~。」

大きく胸元をはだけさせ、妖艶な足を見せている女性が話しかけてくる。エロが服着てる感じだ。


俺だって健全な男子高校生だ。興味がないわけがない。っていうか、めっちゃ興味ある!あぁ、ここで俺の純潔は捧げられるのか。さらば童貞。


「あ、ぜひお願いし…」

言いかけた時だった。ダガーからツッコミが入る。


『救いようのないばか者だな、身包み剥がれるぞ。』


「と言いたいところだけど、俺まだ子供なんで遠慮しときます。」


「あらぁ~、そぅなのぉ?とっても残念。おねぇさん、すごいんだけどな?」


なんか身包み剥がれてもいい気がしてきた。そこをなんとか理性で押さえ込む。なるべく見ないようにして足早にその場を後にする。


『泣くな、ほら、そこだ。』


「泣いてなどない!………。えーと、ダガーさん道間違ってるんじゃないですか?勘弁してくださいよ。ここ絶対人とか住んでないじゃないですか。さて、戻ろ…」

明らかにボロボロの小屋だ。こういってはなんだが、火をつけたら気持ちいいぐらい盛大に燃えそうだ。


『間違ってなどないぞ。さっさと入れ。』

おそるおそる扉を開ける、と同時に男の子の声がする。


「お爺ちゃんは留守でいない。だから借金は返せないぞ。」

黒髪の日に焼けた活発そうな男の子が俺を睨みつけるように見上げていた。うわっ、きっと将来イケメンになるんだろうなと予感させるような子だ。


「いや、俺は借金取りじゃなくて、武具を買いに来たんだけど…」

そういうや否や、子供の表情はパッと明るくなった。そして奥の方へ向かって嬉しそうに声をかける。


「お爺ちゃん!客が来たよ!」


「あぁ?セシル、なんだって?」

奥の方からしわがれた声が聞こえてくる。


「だから!客だって!カモが来たよ!カモが!!」

おいおい、カモって…と思っていると奥からひげ面のいかにも武具屋です!って感じの爺がのっそり出てきた。うわっ、酒くさ。俺は思いっきり顔をしかめる。そして小声でダガーに話しかける。


「これマジで大丈夫なのか?ヤバい雰囲気しかしないんだが。」


『あぁ。ここは見かけはこうだが、品だけは良いからな。心配するな。』


「カモってのは小僧、お前か。で?何が欲しいんだ?」

爺が酒を飲みながら尋ねてくる。俺は迷わず答える。


「ガッチリした鎧!」


『お前はアホか!!アサシン(暗殺者)が鎧つけてどうやって機敏に動くんだ。』

ずっこけたようにダガーからツッコミが入る。


「は?アサシン(暗殺者)?俺は騎士になりたいんだぞ。こう、敵をバッタバッタとなぎ倒すような。」

何言ってんだ?このアホ(ダガー)は。


その時、急に爺がでかい声で叫ぶ。


「おめぇ、まさか!!その腰のやつ見せてみろ。こいつは…そういうことなら下手なの売れねぇな。セシル!奥からアレ持ってきな!」

爺は一人で納得している。お!わかってくれたか。さてさてどんなすげぇ鎧が出てくるのか・・・と期待に胸を膨らませていた俺の希望はあっさり打ち砕かれた。あの男の子が持ってきたのは、俺の期待しているような聖騎士のような白い鎧でも、いかにも強そうな黒の鎧でもなく地味な黒のシャツとゲートル、それに黒いブーツだった。俺の落胆を全く気にせず、爺が口を開く。


「これは、ガランシャツとガランゲートル、そしてこっちがサイレントブーツ。アサシン専用のこの店で一番、いやこの町で一番の装備だ。これを持ってけ。代金はそうだな、お前の手持ちの9割でいい。」


「いや、ちょっと待て、9割ってほぼ全額だろ。まだ色々揃えるものもあるし、何より俺は鎧が…」

俺は思わず抗議の声を上げたが、爺がさらに続ける。


「そんな伝説の武器持って鎧なんか着たら、おめぇバチあたるぞ。さっきからブツブツ言ってるってことは話せてるんだろ?使いこなせてるってことだろ。なら、これにしとけ。最低限の物はサービスでつけてやる。」


結局、俺は押し切られる形でそれを購入し、装備した。おまけに小汚く小さい巾着袋のような白いものをゲートルにつけられて地図、薬品のような小瓶を10個貰った。爺の説明が続く。


「その袋は小さいが魔法がかけられていて何でも収納出来る。試しに地図を入れてみろ。」


おぉ!マジだ。大きさ的に絶対入らないと思ったのに入った。それに、全く重さを感じない。驚く俺をニヤリと笑い、さらに続ける。


「そして、その小瓶だが、それはポーションだ。青い方が傷を治すHPポーション。赤い方がMPを回復するMPポーション。それも袋に入れていくといい。お前がなぜその腰のモノを扱えてるか知らんが、また何かあったらここへ寄れ。」


「わかった。爺さん、あんまり酒飲まないほうがいいぞ。じゃあまた寄らせてもらう。」

そういって俺は武具屋を後にし、宿に戻った。




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