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EP12

本来なら露店巡りなどの町を散策し堪能してから宿に戻る予定だったのだが、それよりも大事なことができたのでさっさと宿へ戻る。そのせいか宿へ戻った時はまだせいぜい2時半といったところだ。宿のおばさんに宿代を支払い、同じ部屋へ入る。そして、俺はどかっとベッドに腰を下ろしてから詰問を始めた。


「おい!この世界のことを聞く前に、まず、アサシン(暗殺者)ってどういうことなんだ?【隠密】は確かに一人でモンスターを狩るときや、町中などで役に立つのはわかるが戦場では役に立たないだろう。さっきも言ったが俺は騎士になりたいんだぞ。これの後はソードマスタリーを上げていくつもりなんだが?」


………数秒の間があってダガーが答える。


『すまない、お前にソードマスタリーは無理だ。私を装備した以上他の武器マスタリーを覚えることはできない。それが伝説の武器を装備した者のペナルティなのだ。だからお前は騎士にはなれん。』


ものすごい驚愕の事実を聞き、俺は言葉が出てこない。ダガーが続ける。


『だが、アサシンそうも悪くはないぞ。使い勝手は抜群だ。それにダガーマスタリーを上げてるヤツがほぼいないんだ。対処法が確立されていないどころかスキル内容もほぼ割れてはいない。それに【圧】があるから戦場で敵を倒すことも可能だ。』


「動かない相手を斬ってもな…狩りの時ならそれでもいいが。」


『………すまない。』


「ふぅ~。まぁ無理なものを悩んでも仕方ないな。それにあの時(武器を選ぶ時)に時間が無かったのも事実だしな。前向きに行こうか。冷静に考えたらアサシンもそこまで悪くない。遊び人って職業があるかどうかは知らんが、それと比べたら随分マシだ。」


ふぅ~と一息つくのは癖だ。一息つくことによって落ち着く。そして冷静にものごとを考え、対処することができる。気を取り直し、次の話題へ俺は武具屋の爺を思い出しながら言う。


「で、このガラン一式とサイレントブーツはいい装備なのか?あの爺は自信満々にこの町で一番の装備だとか言ってたが。まぁ、悪い爺じゃないのはわかるんだが、なんせ酔っ払いの言うことだからな。いまいち信憑性に欠ける。」


『あぁ、それは安心していい。というか本来ならあんな持ち金じゃ買えないBグレード装備だ。説明しておくか。装備にはF~Sグレードまでの装備が存在する。当然Fが一番下でSが一番上だ。グレードが上がるごとに防御力、魔法耐性はもちろん、付与スキルも大きく違ってくる。ありえないたとえ話だが、仮にレベルが1でもSグレードを装備していればレベルがそうだな10ぐらい離れていても負けないってことさ。』

実に簡単な話じゃないか。


「要するに、レベルやスキルと同様に装備も重要ですよってお話だろ。わかるよ、RPGでも普通だからな。」


俺は向こうの世界でゲーム、特にRPGはずいぶんやっている。


『RPGってのが何か知らんが、理解できたならそれでいい。話を続けよう。私はSグレード武器だ。他にもSグレード武器は存在するが、現在装備し、それを使いこなしている者はいない。理由は簡単。単純にマスタリーが99になっていないからだ。』


そこで、俺は誰もが思う当然の疑問を口にした。


「なぜ言い切れる?他に使いこなしている者がいないと。」


『Sグレード武器はその全てが伝説の武器だ。そして、精神というかそういうものが繋がっている。よって、今私を使いこなす者が現れたことを他のヤツら(武器)も知っている。だから言い切れる。』


つまり、誰か伝説のソードを使いこなす者が現れて装備すればダガーはそれを知ることができるってことか。しかし、それではマスタリーが99になっていないことにはならないはずだ。その思いを読んだかのようにダガーが続ける。


『確かにそれだけではマスタリーが99になっていないことにはならないだろう。だが、もし誰かが99になっていればその人物は英雄として称えられているだけでなく、戦場でも鬼神のごとき強さを発揮し、戦況を大きく変えている。実際そういう人物が王国にいれば、異世界から召喚する必要もないわけだからな。』


いつの間にか日は傾き、外の声も聞こえなくなっている。まだまだ今日は眠れそうにないな、と思いながら情報を胸に刻んでいくのだった。




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