幼女と見知らぬ部屋
「知らない天井だ」
言ってみたかったから言った。
知らないというのも本当だ。
どこだろう?
俺が知るのはノユたんの家の天井くらいだけど。
どの部屋かって?
言わせるな!
冗談はさて置き。
ここは違う。
首を回して周囲に目をやる。
白い清潔感のある部屋だ。
白いシーツの敷かれたベッド。
白いカーテン・・・etc
窓は開いていて風がカーテンを揺らしている。
それに合わせて陽光が形を変える。
ガチャリと音がする。
ドアの開いた音だろう。
衝立があってドアの方は見えない。
でも、たぶん。
「あっ、良かった。・・・おはよう」
「うん。おはよう」
現れたのはやっぱり彼女だった。
俺の耳はノユたんの声と足音を的確に捉えるのだよ?
笑顔で声を掛けた彼女の目には薄っすらと涙が浮かんでいる。
ああ、俺はなんて軽率なんだろう?
彼女のにこれほど心配を掛けるなんて。
守るために強くなろうとして、結果がこれでは本末転倒というヤツだ。
「おかえり」
「ただいま」
そのまま彼女は俺を優しく抱きしめる。
温かくて柔らかで優しい。
そして。
良い匂いがする。
良い香りがする!
俺は今世界で最も幸せだろう。
どんな金持ちだってこんな至福は味わえまい。
「先生呼んでくるね」
「うん」
この短時間であっても十分に、いやそれ以上に俺は満たされた。
「よう、嬢ちゃん。目、覚めたみたいだな」
余韻を楽しんでいたのに、空気を読んでよねっ。
「ノユのやつずっと心配してたんだぜ?俺も町の皆もだ」
「うん。ごめん」
「あんまり、心配掛けんなよ。また、一人に――」
ガチャン。
「ちょっと容体を診ますね」
「じゃあな、嬢ちゃん」
「バイバイ」
「お見舞いありがとうございます」
「おう、またな」
おっさんは去った。
しかし、何か言おうとしていたようだったけど。
何だったんだろう?
”一人で”とか言ってたかな。
これからは単独行動は避けたほうが良いってことかな。
確かに幼女一人で人気のない所へ行くのは危ない。
今回も助けがなければ危なかった。
・・・そう言えば誰だったんだろう?
確か、そう、白っぽい。
白かったんだよな。
この町では見かけたことはない、はずだ。
俺もこの町に来て日が浅いから、断言はできないけど。
後でそれとなく探りを入れるか?
そんなことしなくても後で教えてくれるかも?
ま、後で良いか。
それにしても。
女医さん、か。
白衣が眩しいです!
美女と美少女に囲まれて・・・
まるで天国のようだ。
あれ?
もしかして、ホントに死んだとか?
「あれ?顔色が悪いね」
「だ、大丈夫!?」
あ、天使や〜。
女神様まで〜。
ははは、ははは〜♪




