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タイムリミットは2分

全員(伏見以外)が2杯目のビールを手にし、石田を祝福する乾杯の声を上げた。


「いやぁ、にしても本当に驚いたや!誠が一番に結婚するなんて。俺としてはこの中だったら俺が一番にできると思ってたのにな~。」

にやにやしながら言う石田の大学時代の部活仲間でもある内山が言った。


「いやいや、どう考えてもお前よりは石田の方が先だろ。責任感だってあるし、頼れるし、婚約したことで彼女も相当安心できたんじゃない?」

翔の言葉に石田は照れたように苦笑した。


「あれ?ていうか、うっちー彼女いたっけ?」

伏見の何気ない質問にしばらくの沈黙の後、内山は小さく呟いた。

「…れた。」


「え?何?何て言ったの?」


「別れたって言ったんだよ!!振られたんだよ!!浮気されてたんだよ!!知らなかったよ!!出くわしたよ偶然!!気まずいんだよ!!向こうも気まずいかと思ったら、何でもないような顔して『あ~あ、バレちゃった(笑)言っておくけどあんたが浮気相手だからね』だってよ!!くそっ!!」


大声で告白し、ジョッキのビールを一気にあおる内山に、柴田が声をかける。

「まぁまぁ、でも早い段階で分かって良かったじゃねぇか。な?」

「俺だってな…俺だってあんな性悪女嫌だっつぅの!!」

「そうだな、とりあえず水でも飲むか?」

「くそー!!超絶イケメンになって見返してやりてぇー!!!!」

「めっちゃ未練あんのかよ!!なんだお前!!」

「紀仁~!!俺もう女なんていらない!!仲間でわいわいできたらそれで良い!!あーっ!!もうっ!!彼女欲しーっ!!」

「どっちなんだよお前!!酔い過ぎだ馬鹿!!」

「誠~!!お前だけ幸せになるなよ~!!俺にもお裾分けしろよこの野郎ー!!」

石田に向かって両手を伸ばす内山の手を柴田がはたき落とす。

「こら!石田に絡むな!!」

「うぅぅぅぅ…。あぁ…もう駄目…。」


散々騒いだ後で、テーブルに突っ伏し動かなくなった内山。自他共に認める下戸である。


「ありがとな、翔。」

「ん?何が?」

突然の石田の感謝の言葉の意味が理解できず、ジョッキについた泡を箸でつつきながら聞く。

「いやぁ、やっぱりさ、この歳でって言ってもまぁ俺らより若い奴らで結婚して既に子供もいる奴っているけど、それでも社会人としてまだ一人前にもなってないのに結婚なんて馬鹿かって言われると思ってたからさ。」

「えー、誠ちゃーん。俺たちそんなに性格悪くないって!」

即座に伏見が突っ込む。

「ははっ。悪い悪い。」

「ん~…伏見が言うように、仲間の幸せを素直に祝えないほど俺ら腐ってないよ?まぁ内山に関してはタイミングが悪かっただけだし。それに俺、石田には大学時代散々世話になってるし、遅かれ早かれ良い父親になると思うよ俺は。」

いまだに箸で泡と格闘している翔の言葉に伏見も付け加える。

「あー、それ分かる。俺たまに誠のこと父ちゃんて呼びそうになるもん。」

「…お前ら…。」

「「ん?」」

「良い奴らだな本当!!」

「「まぁな。/当たり前じゃーん!!」」


3人で“男同士の友情ってやっぱりプライスレスだよね”モードに浸っているといつの間にこちらの話に参加していたのか緒方が伏見の肩を組んで言う。

「なーに青春してんだお前ら。あれ見てみろよ。内山の奴今日の集まりがよっぽど嬉しかったのか誠の結婚がショックで酒が進んだのか分かんねぇけど、普段のあいつからは考えられない速さでジョッキ空けたせいでグロッキーになってんぞ(笑)」

緒方が指す方を見れば、元彼女の名前を呼びながら柴田に抱き着く内山がいた。

助けを求める柴田に手を貸そうと向かい側の席から内山の腕を引きはがそうとする小宮にも絡みつこうとしている。カオスである。


「げ。やっぱあいつ飲むべきじゃなかったな。」

「社会人になって飲めるようになったとか言ってたのは多分見栄だったんだな。」

冷静に内山観察をする石田と緒方の会話を聞きながら翔は箸を置いて注文用タブレットへと手を伸ばす。

「とりあえず、水頼むわ。皆他になんか飲む?」

「お~い、紀仁!!翔が何か追加の注文ないかってさ。」

内山の手と格闘しながら柴田が答える。

「いや、お前らもこれどうにかしろよ!とりあえず水とビール!!」

「小宮んは?」

「あ、じゃあ俺もビールで。」

「だってさ。」

「ん。じゃあ、柴田小宮のビールと内山の水と、俺は梅酒ロックにしよっかな。

柴田と緒方は?」

「俺はまだ残ってるから後でにするわ。」

「じゃあ俺はジントニックで。」

「オーケー。伏見は?」

「俺はウーロン茶もう1杯。」

「了解。あ、唐揚げうまそう。これも注文しよっと。」

「翔たこ唐ある?」

「ん~?あ、ある。」

「じゃあそれも!!」

「うぃ。他なんか皆食いたいもんない?」

「あ、俺刺身食いたい。」

「俺ピザ。」

「これ、1回での注文個数限られてんの使いにくい。何回同じページに戻れば良いんだよ。」

「店員がパニックになるからじゃない?」

「あぁ…なるほど。他には…あいつらの分は…まあなんか適当に頼めば食うだろ。じゃあ、唐揚げにたこ唐、ピザと、刺身盛り合わせに、焼き鳥盛り合わせ、チャンジャ、揚げ出し豆腐っと。送信。」

「翔そんだけ食える?」

「いや、もう内山には飲ません。そんかわり食わせる。んで、俺も食う。3日分食っておく。」

「なぁ。」

「なんだよ緒方。」

「とりあえず店員来るまでにあいつらどうにかしねぇ?俺変な勘違いされんの嫌だ。」

「「「同感。」」」


6人がかりで内山を引きはがしにかかる。

店員が追加の飲み物を持ってくるまで後2分。




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