垣間見える成長に動揺
「らっしゃーせー!!お客様何名様でしょうかー!!!?」
「今日7時から予約を入れていた柴田です。」
「少々お待ちください、はい、柴田様ですねー!!ただいまお席にご案内致しますっ!!
ご予約のお客様ご案内でーす!!!!では、こちらにどうぞー!!」
やたらと声のでかい店員に案内されて、一つの個室に入った。
男7人で入るには少し狭めだが、仕方ない。
「よっしゃー、お前ら詰めて座れよー。」
柴田に声をかけられるままに、翔は壁側の奥へと押しやられた。
座った時に視界に入る注文用のタブレットを見て、(くそ、してやられた)と思ったのは、必然的に自分が注文係になったことに気が付いたからである。
右隣には石田誠が座り、目の前には伏見が座った。
「お客様7名様お揃いですので、さっそくコースの方始めさせて頂きますー!!本日は食べ飲み放題のコースをご予約いただきありがとうございまっす!!ご注文ですが、そちら奥にございますタブレットをご利用くださいませっ!!なお、グラスは交換制になっておりますので、ご注文の際ご注意くださいませっ!!」
「うぃー。」
「では、本日はお時間3時間ご利用とのことですので、30分前に食事のラストオーダー、20分前に飲み物のラストオーダーとなりますのでー、そちらもご注意くださいませっ!」
「はい、了解です。」
「では、初めの1杯のご注文からお時間スタートさせていただきまっす!!何かございましたら店員呼び出しボタンを押してお知らせくださいませっ!では失礼いたしますっ!!」
店員が去り、翔は自分の本日の役割を遂行すべく全員に問う。
「全員ビールで良いかー?」
「「「「「おーうっ!!」」」」」
可愛さの欠片もない男共のユニゾンに苦笑いしながら飲み物のカテゴリからビールを7杯注文しようとする。
「あ、ちょい待って。俺今日アルコール駄目だからウーロン茶頼むわ。」
小さく挙手しながら伏見が言う。
「え?お前今日飲まないの?」
「悪い。俺もめっちゃ飲みたいんだけどさ、明日朝からお客さんとこに顔出さなきゃいけねぇんだわ。」
心底残念そうである。
「明日の朝っつってもそんなに飲まなかったら大丈夫なんじゃねぇの?寝るし、歯も磨くだろ?飲み過ぎなかったらいけるだろ。」
と石田が突っ込むも、
「そうできたら良いんだけどさ、そのお客さんアルコールの臭いにすげぇ敏感な人で、ちょっとでも臭うと機嫌悪くなるんだよな~。だから悪いけどっ、俺はウーロン茶で。」
「なんだよ~全員でやんやできると思ったのによ~。」
「まあ、伏見は飲んでなくても酔っぱらってるようなテンションの奴だし、問題ねぇだろ(笑)」
「ひでぇな翔っ!!(笑)まぁ、そんなわけでよろしく。」
「うぃー。じゃあ、ビール6にウーロン1な。そーうしんっ!!」
自分の欲望に忠実で、思うようにいかないとすぐに拗ねる伏見の社会人としての一面を見て、内心動揺しながらも平静を装って液晶画面を見つめる翔であった。




