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焦り


「……くそ、眠れねえ」


 自分の他には誰もいない自室で、琉衣夜は小さな苛立ちの声を上げていた。

 敵の居場所はある程度つかめている。琉衣夜と瑠奈の間には魔力の経路が通っているため、それを辿れば大体の位置どりはつかむことができるのだ。

 瑠奈の居場所は、街のど真ん中にあるタワーだった。

 正式名は覚えていないが、この街の名物として周囲には認知されていた、はずだ。ただ、今はメンテだか何かで客が中に入れないようになっている。

 人目につかないようにする方法なんていくらでも知っている魔導師からすれば、儀式場にしやすいことこの上ない場所だというわけだ。おまけにこのタワーの下には二つの地脈が走っており、儀式場にするにはさらにうってつけの場所ときている。

 そこに“大天使”が加われば、何をされるかわかったものではない。

 では、なぜ琉衣夜がまだ救出に向かっていないのか?

 単純に、相手の情報がまだ出揃っていないのだ。

 一度タワーへ司と二人で急行したはいいものの、凄まじい量の魔力が貯蔵されており、このまま何の情報もないまま突っ込むと瑠奈を救出できずに二人とも殺される可能性が高いと判断し、一度撤退をすることになった。

 無論、琉衣夜としては不服にもほどがある決定だったが、近付くだけでビリビリと感じられる魔力の量を見て、さすがに一人でどうにかできるレベルではないと判断し、従っている。

 今は、司と美咲を中心にあのタワーの攻略法を考えているところのはずだ。

 琉衣夜のような素人魔導師にできることはないため、策が出揃うまでは自宅で休憩待機を命じられている。

 だが。


(くそ、まだか……。まだ、準備はできないのか……)


 “黒”を使った直後であること。

 そして、瑠奈が敵地に囚われているということ。

 この二点が琉衣夜の心を苛立たせ、容易には眠らせてくれない。実際何度もベッドに入っては目をつぶっているのだが、十分もすれば体が早く動けと言わんばかりにうずき出してしまう。

 結局、五分程度のうたた寝とも言えないような短時間しか眠れずにいた。

 目を閉じ、ふと開いて時計を見てみればまだ五分しか経っていないことに気付いて落胆し、わずかな希望をかけて携帯を見てみるが、何も連絡が入っていないことに気を落として再び目を閉じる。

 そんなサイクルを、何度繰り返しただろうか。

 帰って来たときは深夜だったのに、気付けばいつの間にか日が昇っていた。

 体の方は多少マシになったものの、精神の方はあいも変わらずささくれ立ったままだ。待機するしかないとわかっているのに、その状況にすらイライラが募っていく。

 

(何か腹に入れるか……?)


 考えて見たら、昨日の夜出かける前に食事を取ってから何も食べていない。

 麻痺していて何も感じていないが、胃の中は完全に空っぽのはずだ。いっぱいに詰め込んでやれば、多少なりとマシになるかもしれない。

 そう考え、立ち上がる。

 チャイムの音が鳴ったのは、その時だった。


(……誰だ?)


 玄関まで足音を殺したまま向かう。

 新聞勧誘ならば無視したままで何の問題もないが、これが敵のメッセンジャーだったりすると放置しておくと面倒なことになりかねない。


(魔力の乱れは……ないな)


 右目に“黒”を集中させ、この部屋一帯の魔力を確認する。

 罠の類は仕掛けられていないようだ。……少なくとも、今の時点では。

 “黒”を引っ込めて、覗き穴から外を確認する。


 外に立っていたのは、美咲だった。


「よう。どうした」


 扉を開けると、美咲がぺこりと頭を下げてくる。その手には、近くのコンビニの袋を二つ持っていた。


「おはようございます。朝ごはんはもう食べましたか?」

「……いや、まだだけど」

「よかった。では、一緒に食べませんか?」

「……まあ、とりあえず中に入れよ」


 招き入れると、美咲は「お邪魔します」と一言告げてから上がってくる。

 リビングに入り、「座れよ」と椅子を指差した。冷蔵庫の方へ向かいながらさらに声をかける。


「お茶で大丈夫か」

「はい、お願いします」


 二つコップを取り出して麦茶を注ぐ。

 テーブルに置いて美咲に差し出すと、美咲はにっこりと微笑みながらコンビニの袋からいくつかのおにぎりと弁当、それに菓子パン数個取り出した。


「何が好みかわからないので、とりあえずいくつか買ってきました。好きなのを選んでくださいね。余っても大丈夫なので」

「選んでくださいね、ってもよ……」

「食べていないんでしょう?」

「……まあな」

「食べて眠らないと、人は万全の力を出し切れないものです。私とあなたに今できることはありません。なら、せめて戦いに臨む時に万全でいられるようにしておくことが必要でしょう?」

「…………」


 やんわりと微笑みながら、こちらに食べ物を渡してくる美咲。

 その笑顔にほだされて、とりあえず一番近くにあったおにぎりを手に取る。袋を開けると、空腹で過敏になった鼻が海苔の香りを嗅ぎ分けた。

 途端、今まで空っぽのままでいたことを抗議するように、琉衣夜の腹が鳴る。

 それを聞いて、美咲がくすくすと笑った。


「ほら。心は大丈夫と思っていても、体は案外そうでもないものですよ」

「……らしいな。ありがとう」

「いえいえ。このくらいは構いませんよ」


 笑いながら、自分は菓子パンの封を開ける美咲。案外食べる方なのか、「いただきます」と一言呟くと同時に思いっきりかぶりついていた。

 その食べっぷりに琉衣夜もほんの少し笑い、自分のおにぎりに口をつける。十二時間ぶりに胃の中に入っていく食べ物は、やたらと美味しく感じられた。


 おにぎりを三つとお茶を腹に収めると、ようやく人心地ついた。

 ふう、と一息吐いた途端、頭がふらりと揺れるのを感じる。どうやら、満腹になったことで、ようやく眠気が訪れたらしい。

 ぐしぐしと目をこする琉衣夜に、二つ目の弁当を開けた美咲が微笑みかける。


「寝ていても大丈夫ですよ。何か連絡があったら、私が起こしますから」

「……いいのか?」

「構いません。まだもう少しかかるでしょうし」

「……悪いな。なんか、色々と世話になってしまって」

「気にしないでください。そのために私はきたんですから」


 微笑みながら弁当に箸をつける美咲に、「ゴミ箱はそっちな」とだけ教えて寝室に向かう。

 いつも自分が使っている布団に入ろうとしたが、少しだけ考えてベッドに入ることにする。

 美咲の言う通り、今彼にできることは体を万全の体制に整えておくことだ。

 普段は瑠奈が寝ているから彼が床で寝ているが、今は違う。少しでも体力を戻しておくために、いい環境で寝たほうがいいのは明白だ。

 掛け布団をかぶると、ふわりと瑠奈の香りがするのを感じた。


(……早く、助けに行って、やらないと、な)


 そんなことを考えている間に、思考がまどろみの底に落ちていく。

 いつのまにか、彼の意識は眠りの中に沈んでいった。どうしてか、この時は悪夢を見ることはなかったという。



 次に彼の意識が覚めたのは、ベッドに入ってから十時間近く経過した後だった。まどろみに沈んでいたのは朝になったばかりの頃だったのに、ベッドから体を起こした時には、すでに日が沈んでいた。

 若干寝すぎたのか、頭が軋むような痛みを発する。

 何度か瞬きをすることで、ようやく暗さに目が慣れた。


「栗原、は……?」


 ベッドから降りてググッと伸びをすると、久しぶりに長時間睡眠をしたためか全身からグキグキと音がする。

 隣で動いている気配がないのを訝しみながら、扉を開けた。


「あら、起きましたか」

「ああ。準備はまだできていないのか」

「ええ。もうそろそろ連絡があってもおかしくない頃だと思うのですが……」


 席についたまま読んでいた本から顔を上げる美咲。

 琉衣夜も寝ている間ポケットに入れたままの携帯を取り出して確認するが、メールも着信も届いていなかった。

 小さく舌打ちをする琉衣夜に、美咲は苦笑しながら本を机に置く。


「体調はどうですか? 寝る前は相当疲労が溜まっていたようですけど」

「……だいぶ抜けたよ。すまないな、気をかけさせてしまって」

「大丈夫ですよ。瑠奈も結構自分の体を顧みないタイプの子でしたから」


 くすくすと微笑みながら、美咲は冷蔵庫の方を指差す。


「先ほど買ってきた食べ物は冷蔵庫に入れてあります。私はもう先にいただいていますので、好きに食べてくださいね」

「悪いな。いくらくらいかかった?」

「気にしないでください。私は結構使わないで貯め込んでるタイプなので」


 そう言って、美咲は再び机の上に置いていた本を手に取る。

 読み始めると没頭してしまうタイプなのか、こちらの動きには全く頓着していない。

 「ありがとうな」ともう一度声だけかけて、冷蔵庫の扉を開ける。

 菓子パンやおにぎり、弁当が一つ残っていた。これから長時間外に出て戦うかもしれないことを考えると、胃にしっかりと物を入れておいたほうがいいだろう。弁当と麦茶の入ったプラポットを取り出す。


「栗原、お茶飲むか?」

「すみません、お願いします」


 かけた声に顔を上げて答える美咲。それに「了解」と小さく答えてから、弁当を電子レンジに放り込んで加熱する。

 加熱している間にコップを二つ取り出し、注いでからテーブルへと運ぶ。


「どうぞ。本、濡らさないようにな」

「ありがとうございます」


 礼を言ってくる美咲に小さく手を振り、自分のコップから麦茶を煽る。

 冷たい液体が一気に喉から腹までを駆け巡り、まだ覚醒しきれていなかった意識を無理やり現実へと引き戻す。

 そんなことをしている間に、レンジの加熱が終わったらしく軽快な電子音が鳴り響いた。引き出しから箸を取り、レンジから弁当を取り出して机に戻る。


「それじゃあ、いただきます」


 一言美咲に声をかけてから、弁当に手をつける。

 二口三口食べてから顔を上げると、美咲が物珍しそうな顔でこちらを見ていた。


「……どうした?」

「いえ、そこまで礼を言われるとは思わなくて」

「……最低限しか話していないとはいえ、礼儀は外してないつもりなんだがな」


 苦笑しながら、もう一口頬張る。

 とはいえ、琉衣夜と美咲は敵対していた時からほとんど顔をあわせることがなく、二人で会話をしたこともほとんど無い。

 仕事上の事務的な会話は何度かしたものの、眠気で絶賛イライラ中だった琉衣夜はそこまで気を配る余裕はなかった。

 

「いくら他人と絡むのが好きじゃないと言っても、自分のために何かしてくれた人に対して失礼をかますほど恩知らずじゃ無いつもりだぞ」

「……まあ、そうかもしれないですが。意外だったもので」

「司とかはどうなんだ? あいつも結構他人とのコミュニケーションをしたがらないタイプに見えるけど」

「……否定はしません」

「やっぱり?」


 おどけたように言う琉衣夜に、くすくすと笑う美咲。

 この少年は必要な場面以外は全く喋らないタイプの人間だと思っていたのだが、こうして普通に話ができるのがどうしてか面白かった。


「そういえばさ、あんた達と一緒にいた時の瑠奈はどんな子供だったんだ?」

「どんな、と言いますと?」

「俺があいつに会ったのは、俺が七歳の時だ。それから十年、あいつがどうやって生きてきたのか、未だによくわかってない。他のやつから見た瑠奈は、どんな人間だったのかな、なんて気になったんだ」

「瑠奈の子供の頃、ですか」


 そうですね、と再び本を置いて顎に手をやる美咲。

 その間に弁当を次々と胃の中に流し込み、最後の唐揚げを口に入れた時ちょうど美咲の考えがまとまったらしい。


「何と言うんでしょうか……他者に対して全く心を開かない子でした。口では笑っていても、全く感情が動いていない。話をしていても、何を考えているのかわからない。……そんな子でした」

「……あいつが、か?」

「ええ。何度も魔導師相手に裏切られ続けてきたせいでしょうね。魔導師という存在そのものを信用しないようになっていたようです。……実際、彼女が心を許してくれたのは、一年共に過ごした最後の一ヶ月くらいでしたし」


 そう悲しそうな、寂しそうな声で美咲は語る。そんな彼女の反応に、琉衣夜も瑠奈の記憶を思い返しながら相槌を返した。

 確かに、七歳の頃の記憶を見ただけでも瑠奈の魔導師に対する不信感は相当なものだった。あの状態で司と美咲に出会っても、自分を懐柔するために同年代の魔導師を連れてきただけだと判断して邪険に扱いかねない。

 というか、それだけ冷ややかな態度を取られていたにも関わらず、瑠奈に惹かれていった司はもしかしたらドMなんじゃないだろうか。

 美咲にしても、よくそんな状態の瑠奈と一緒に入られたものだと感心してしまう。


「瑠奈は魔導師に対して、すごい嫌悪感を抱いてたみたいだからな。その状態から、よく友好関係まで持って行けたな」

「私たち二人も任務で一緒にいたとはいえ、同じ危険をくぐり抜けた仲でしたから……。それに、瑠奈も一人では寂しかったんだと思います」

「あいつ、意外と寂しがりやだしな」


 瑠奈は、言葉や態度はツンツンしているが、内心では孤独に怯えている節がある。少なくとも、過去の記憶で見た少女の瑠奈はそんな感じがした。

 何度も裏切られた末に心を閉ざしているものの、心の奥では友人を求めている。そんな普通の少女に過ぎない。

 同じ危地を乗り越えてなお敵だと警戒し続けるのは、瑠奈の精神上難しいことだったのだろう。


「んで、その寂しがり屋を助けに行かないといけないんだが……今回は俺とあんたか?」

「司も来る予定ではありますが、難しいでしょうね。彼も日頃のハードワークが祟って、本来の実力が発揮できる状況ではありませんから」

「……“罪咎の巣”の運営は大丈夫なのか。入ったばかりの俺が心配することじゃ無いのかもしれないが、何人かに仕事を割り振りすぎなんじゃないか」

「…………」


 そっと目をそらされてしまう。

 “罪咎の巣”に所属しているのが少し心配になってきた琉衣夜であった。

 閑話休題。


「んじゃ、俺とあんたの二人でどうにかしないといけない訳だ。あんたの形質、『超えし者』だったか。それ以外は何ができるんだ?」

「私は基本白兵戦闘特化です。普通の魔導は一通りこなせますが、専門的な魔導はからっきしですね」

「つまり脳筋と。罠だの結界だのは、俺が担当した方が良いって事だな」

「……バッサリ言われると、悲しくなりますね」


 自分でもわかっているのかしょぼんとした顔になる美咲。

 だが、そちらを気にする余裕は琉衣夜には無い。

 司と同じ役割をこなさないといけないとなると、いつも通りの動きではカバーしきれないかもしれない。“黒”も全力で使っていかないと間に合わないだろう。


「罠だの敵の魔導に関しては、俺の“黒”でどうにかするとして……あと思いつく事、何かあるか?」

「というより、あなたの形質でカバーできない状況というのが予想しづらいのですが……」

「天使レベルの魔力量でごり押しされたらどうにもならない。それに、魔導も“黒”の解析頼みで応用できるだけの知識はない。キャンセルするか、自爆させるかが関の山だな」

「天使レベルの力を持ってこられたら対応できないのは、私も同じですよ。十分すぎるほどの力です」


 琉衣夜の言葉に、呆れたような声を出す美咲。

 そもそも天使レベルの力量を自由に操れる魔導師など、全世界から注視されることになる。だからこそ、素人同然の状態で天使とまともに渡り合った琉衣夜を“罪咎の巣”は即座に確保しようとしたのだ。

 個人で天使と対等に戦える魔導師など、いないに等しい。実際に琉衣夜達が天使と戦うことができたのも、対天使用の結界を攻撃に転用できたことが大きい。それがなければ、彼らとて今生きてはいなかっただろう。

 それを思えば、琉衣夜の言葉は常識外れとしか言いようがない。

 ……彼の場合、近くにいる瑠奈が最も常識はずれの魔導師のため、仕方がないとも言えるのかもしれないが。


「とはいえ、あれだけでかいタワーを丸々魔導用の儀式場にしようとしているんだろう?」

「しかし、かの魔導師が実際に作業を開始したのは昨日です。司ですら、一部屋規模の対天使結界を作るのに一週間かかったのですよ?」

「魔導師が一人だけって保証がどこにあるんだよ。それに、術式を書くだけなら魔導師じゃなくてもできるんだろう? あの塔には、修理のために働いてる人間がいたはずだ。その人間達を軒並み操作されていたりでもしたら、予想以上に早く魔導陣ができてもおかしくないだろ」


 美咲が言っているのは、あくまで司が一人で作業した場合の話だ。

 術式を書き込んでいく作業に関しては、人の手を分散させればいくらでも短縮できるはずだ。魔力を通す作業は魔導師じゃなければできないだろうが、それにしたって人数次第でどうにでもなりそうな気がする。

 そんな琉衣夜の言葉に、美咲はふむ、と考え込む。


「しかし、それにしても作業し始めて一日程度。その程度の時間では、大した儀式場は作れないようにも思いますが……」

「だから、実際どうなのかなんて俺はわからないさ。ただ、その程度の時間であれだけの魔力を貯蔵できるんだ。こっちの予想を超える何かをやってきそうだな、くらいは考えるさ」

「……なるほど」


 琉衣夜も美咲も、結界や儀式場といった物を使用する魔導は使用しない類の魔導師だ。琉衣夜は言うに及ばず、美咲も自身の形質が強力であることから白兵戦に特化しており、専門外の魔導に対する知識はほとんど無い。

 そう考えると、琉衣夜の現場を見てから最悪なパターンを想定し続ける思考は間違っていないのかもしれない。

 美咲は美咲で、これまで解決してきた事件の進行速度などからある程度の予測は立てているものの、今回の現場をまだ見ていない。

 互いに持っている情報が足りないため、結局のところ予想する以上のことができない。そこが歯がゆいところであった。

 かと言って、下手に近づくと魔力を感知されて戦闘体制に入られる可能性がある。偵察すらもろくに行えない現状があるため、余計に焦燥感に駆られてしまう。

 瑠奈が人質に取られている以上、余計だ。

 ああでもない、こうでもないと話を続けていると、軽快な電子音と共に二人の携帯がメールを受信する。


「来たか」

「来ましたね」


 二人してポツリと言い合い、即座に携帯を確認する。

 予想通り、司からの連絡だった。


「んじゃ、行きますか」

「ええ」


 空になった弁当箱をゴミ箱に放り捨て、もう一度伸びをする琉衣夜。

 同じように立ち上がり、傍らに置いていた刀入りの袋を取る美咲。

 それだけで、戦う準備は整った。

 互いに視線を交わし合い、二人は玄関へと足を進める。

 向かう先は戦場。囚われの姫を救い出す時が来た。


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