律
誰が、いつまで、サッカーをやっていいのかを決めるのは誰なんだ?
俺は、さっきからタブレットで同じページばかり表示してる。
気になってるってことだよなー
そうなんだよ。認める。
気になってるんだ。
そうだよ。
俺だってサッカープレイヤーだもん。試合したいよ。
自分の仕事上のチーム運営に四苦八苦してるのにさぁ。できるの?俺?
動けるの?俺?
チーム作れんのか?
とりあえず、1人目。
鈴は一緒にやってくれるだろう。
でも、実は鈴に言うのが1番、恥ずい・・・
俺をゲーマーだと思ってるからな。
俺は「普通」にサッカーを楽しんできた。ジュニアユースにはセレクションで落ちて、クラブチームではレギュラーがとれず。試合がしたくて、中学では部活に入ってレギュラーになった。
トレセンは地区止まり。それでも、試合は楽しかったな。ユースは当然のように落ちるし、サッカー特待の話もない。普通に高校で部活サッカーをやろうと思ってた。
でも、
その道を歩んだからこそ、あいつに出会えた。
俺の入った高校は、野球部が強くてグラウンドの優先権は野球部にある。
サッカー部も勿論使えるが、野球ボールが練習中に飛んでくる。
野球部は、帽子を取って一礼して
「すいません!」とボールを取りにくるが、こちらこそ「すいません」な感じで、ぺこっとしてしまう。野球部が先に上がると、綺麗にかけられたトンボの後をサッカーボールが転がっていくと(やっちまった)って気持ちになる。
だから、昼休みは思いっきりサッカーを楽しめる時間だった。
昼休みには、野球部もサッカー部もなく、サッカーを好きな奴が集まって、チーム分けもポジションもじゃんけんで決める。その中に、プロクラブのユースチームのメンバーがいた。すげー上手かった。プロになるって、こーゆーことなんだと、思い知らされた。一人でガツガツ抜いていって、じゃんけんに負けてゴールキーパーをやってるだけの素人高校生に、「2度とキーパーなんかやんねーよ」と言わせるくらいのプレイができるくせに、ちゃんとじゃんけんして、どんなポジションでも周囲と連携して試合をした。
俺は、あいつと絡むポジションになると楽しくて仕方なかった。多分、みんなそう思ってた。
「りーーーーん!」呼ばなくたって、あいつは俺を確認してる。
「律!決めろ!」
キレイなパスからゴールを決めた時。
「お前止めたら、俺もユース入れる?」
「負けねーよ!」
あいつとの駆け引き。
止めた時のあいつの悔しそうな顔。
「サッカーって楽しいだろ?」って教えてくれたんだ。
だから、あいつの葬儀には、高校の時の昼休みサッカーのメンバーがほぼ全員集まった。みんな、それぞれが、あいつと絡んだプレイを持っていて、大切な思い出にしていた。あのサッカーを知らなかったら、俺もここまでサッカーにこだわった人生じゃなかったよなー。
あいつはいない。
けど、あんなサッカーをしたい。
それは、いつも追いかけていたものだ。
そこに鈴が現れたんだ。
サッカーネームは、あいつと同じ「りん」。
上手さも、サッカーへの入り方も、正反対。
なのに、こいつも俺に「サッカーって楽しいだろ?」って言ってくる。
「諦めるのは早い」と言ってくる。
だから、気になっちゃったんだろうな。
「O40(オーバー40)」大会のインフォメーション。
鈴のプレイを見ていて、チーム練習をしていて、ゴールをされると「悔しい」とか、パスが通った時の「高揚感」とか、なんかぐずぐずしてきた。
俺がやってもいいんだよな?
ピッチの中の人になっていいんだよな?
とりあえず・・・鈴に話してみよう。
それが、1歩目だ。ダメならやめればいい。
「鈴、こんなんあるけど参加してみる?」
鈴にタブレットの画面を見せた。
案の定、目が輝いた。
「俺も参加しようと思ってる」
「へ?律も参加するの?」
なんだよ。俺だってまだ、プレイヤーだぜ?
これでもサッカーコーチだし、経験はお前よりある。
まぁ、これで2人。
ここからスタートだ。
俺はまず、大会の日から逆算して、練習内容と練習場所、時間の確保を調整した。今は2人だけど、「サッカーやってた」「サッカーが好き」は必ずいる、だから。集まる。で、思い出した奴がいた。
「もしも〜し!おぅ、律。どうした?」
「あー頼みがあって電話した」
「金ならね〜ぞ」
「暇があるやつ探してるんだわ」
「暇もね〜よ!ばか律!」
「でもさ。サッカーは好きだろ?」
・・・・
「なんだそりゃ?」
「サッカーは好きだろ?」
「好きに決まってんだろうが!一生好きだわ」
「一緒にやろうや」
「俺がか?」
「そう、俺とお前で得点取ろうや。あの頃みたいに」
「りんがいないのにか?」
「うん。りんが教えてくれたサッカーの楽しさを思い出そうぜ」
「やべーこと言うな、ばか律」
「俺はばかだからな。そ〜ゆ〜こと言っちゃうわけよ」
「変わんね〜な〜!」
「そ。俺は一生サッカー好きのサッカーばかなんで」
「YouTube見てるけどさ。忙しいんじゃないの?」
「忙しいけどさ。好きに勝るもんなしでしょ?」
「やろーよーなぁ?」
・・・・
「もう、やる気にはなってるんだけどさ。暇じゃねーから調整させてくれ」
「うん。そうだよな。お前んとこ、いつも混んでるもんな」
「俺に言えよ。予約入れてやるから」
「これから、お前が必要になるんじゃね?整体師さんw」
「かもな。とりあえず、走るか!」
「付き合うぜ」
「頼むわ」
高校時代の昼休みサッカーの仲間であり、サッカー部の仲間。高校卒業後、スポーツトレーナーを目指し専門学校に行って、地元で整体院を開業している。
こいつも、りんの葬儀で号泣していた。りんとサッカーをする楽しさにやられたやつだ。鈴の次に誘いたかった友人。
鈴が集めた3人。鈴と俺。それにこいつ。これで6人。
まだ、大会にはエントリーできないな。
チラシでも作るか。
まずは、サッカー教室の掲示板にチラシを貼り、HPに募集ページを作った。
さぁ、こい。サッカーバカな大人たち!




