↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/22

瑛

練習試合。

1試合目は、梶が以前に所属していたチーム。

以前、律のサッカー教室生の時に対戦したことがある。

若い10番の選手を中心にしているチームだ。

決定力はあるんだけど、そのためのパス供給をしていた梶が今はこちらのチームにいる。

さっき、ちょっと聞こえてきちゃったんだけど・・・


「おっさん、あっちのチームに行ったんだな」

「俺、おっさんのパス、好きだったんだけど」

「大丈夫だよ。ボールは全部、お前に集めるのは変わらないから」

「あっちは、おっさん、おばさんチームだし」


おっさん。

梶、そう呼ばれてたんだ。

なんか、ちょっとむかついたけど、ちょっと笑っちゃった。

(あーこれって、律の作戦にハマっちゃうヤツだ)って。

それにあの10番、俺様かと思ったら、ちゃんと梶のいいとこ分かってたんだって。

でもね。悪いけど10番、梶はただのパサーじゃないからね。

君らが勝手にそう思ってただけで、君らの「おっさん」はただの「おっさん」じゃないことを思い知ることになるよ。


そう。

おばさんだってさ。

1対1じゃ負けるけど、チームプレイだからこそできることあるし、君らよりチーム練習してるからね。


私はというと、パントキックの練習後は、ひたすら動き出し、飛び出しからの浮き球をダイレクトシュートする練習。私にトラップはいらないらしい。

グラウンダーのボールもワンタッチでゴール前に出す練習をひたすらやった。


「ゴール前にパスを出す気になるな。常に全力シュート。人は見ない。ゴールだけ見てな」

これが律からの指令。

試合経験の少ない私には、気持ちいいくらいわかりやすい。

動きから見ても初心者の私は、相手チームにマークはされない。

ボールが動いてからでも間に合うと思われてる。

でも、私はトラップはしない。

それもゴール方向にしか蹴らない。

飛び出してダイレクトで蹴る。

(嘘だろ?)ってプレイしかしない。


それで私は、なんと本日1アシスト1ゴールしたのだ!

アシストはこんな感じ。

ものすごく単純なんだけど、10番に攻め込まれたボールを鈴が右を切って左に蹴らせた。それを航がインターセプト。縦に律を使うと思わせてDFを左に集めたところで、サイドチェンジして私にロングキックを蹴ってきた。

DFがそれを見てズレる。

私はそれをトラップせずにゴールへ蹴る。

(嘘だろ?)のプレイだけど、これ、何度も練習したヤツ。

でも、当たり損ねた。

律のすごいとこは、そこまで計算に入ってるってとこ。

その変な浮いた球をゴール前で競り合っていたのは、なんと律と山だったw

結局、律の頭がゴールを決めて、私に初のアシストがついた。

おー!

そっか。私がゴールしか狙ってないから空振りしない限り、ゴール近辺にボールはくる。そこを律と山は狙ってたんだ。

私はダイレクトしか蹴らないから、2人の飛び出すタイミングは速い。オフサイドラインギリギリからゴールに向かえる。

たとえ、シュートが決まらなくてもシュートのつもりで蹴らせたのは、強めのパスにもなるからだ。

LSBの航が私に右手を挙げ親指を立てて見せた。

嬉しい!

でも、私が狙うのはシュートだ。


そして待望の初ゴールはRMF仲のカットインからのパスだった。

仲は強めのグラウンダーのパスを落とす。

それは、練習の時から私と鈴にパスを出すときに限っていた。

その力を使ってキックをすることで、速く強く重いシュートになる。

振り切ったボールがゴールに向かう。

なんか、そこだけスローモーションだった。

ゴールネットが揺れた。

え?

入った?

「瑛ーーー!」

みんなが走ってくる。

入ったんだ。

私のシュート。

すっごいかっこよかった!

仲のおかげだ。

いや、私のできること、できないことを受け入れて練習を組んでくれた律のおかげ。そして、信じてくれた仲間のおかげだ。


結果5−0圧勝だ。


「おっさん、ひどいじゃん!コテンパンじゃん!」

「あんなにゴール決められるなら、うちでもやってくんなきゃ!」

終わってから梶さんが、相手チームにもみくちゃにされていた。

10番が言った。

「梶さん、大会終わったら必ず戻ってきてよ」

梶は笑っていたけど(無理だな)と思った。

だって。私だって律のサッカーの楽しさ知って中毒になってる。

3点もとった梶は、私より重症なはずだ。

「おばさん、ナイスゴール」

相手チームのゴールキーパーに言われた。

私は笑った。

「おばさんじゃないよ」

胸の番号を指さす。

「私は、瑛」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。