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18/22

圭&仲

サッカーって思ってた以上に、体に感覚って残ってる。

「あの頃みたいに走れない」

それは覚悟してた。

クリスティアーノ・ロナウドやメッシと比較しちゃいけないけど、40過ぎたってできるんだよね、サッカーって。

圭

仲と一緒に律を見つけて、俺たちはFC1999のメンバーになった。

俺たちは、あの軽い律からは想像できない思いが「1999」にあることを知って、ギアを1つ上げてしまった。

「りんさん」の存在は知ってた。

同年代でプロに近い選手が近くにいれば、噂になる。

律とりんの高校は、クラブの練習場の近くで、俺と仲の高校はスタジアムの近くだった。1年の時はボールボーイをやったこともある。

あのスタジアムのボールボーイは、選手のタイミングよくボールを出すことで有名だったので、緊張するんだ。うまくいけばSNSで褒められる。

りんは1年上の学年で、そのクラブのユース。

憧れの位置にいる存在だ。

りんさんに会ったのは県のトレセンだった。

自慢なんだけど、俺と仲は県のトレセンに入ってたんだ。

サッカー王国って言われてる県で、トレセンに入るのは結構大変なんだけどね。高校サッカーで全国大会出てもプロになるのは一握り。

県のトレセンからナショナルトレセンまで上がれば、プロへの道は開ける。

俺ら結構上手かったんですよ。でも上には化け物がいた(笑)

そこで出会っちゃうわけですよ。

りんさんレベルの人たち、天才たちに。

完全に自分がモブキャラであることを思い知らされるわけ。

サッカー強豪校の1年からレギュラーですよ、俺と仲は。

サッカー好きだってだけでやってきたけど、これで生きていくって人たちは、何段階も上にいるんだなって思い知らされたんです。

そんな時、律のサッカーに出会って

「こんなサッカーしたい」って思ったんです。

その後、りんさんの訃報は「消えたサッカー界の星」って報道されて。

俺たちにはないものをあんなに持っていたのに、

消えてなくなってしまうことがあるって事実と、人の命の儚さと、理不尽な思い、怒りかもしれないな。

そんなに知ってるわけじゃないけど、でも、俺たちにとっては身近な憧れだったんです。

仲

りんさんは知ってました。直近でプレー見てましたから。俺なんかザクザク抜かれてた。後で監督に怒られましたけど、あれは無理だってw格が違う。

打ちのめされた帰り道、圭と話しました。

「俺たちは俺たちの勝負をしよう」って。

遊びではしたくない。本気の勝負をしたいんです。

でも、それは自分のフィールドでってねw

東高は県代表にこそなれなかったけど、4強には入っていた。これが俺たちの本気でした。限界だとは今でも思ってませんよ。あと、少しってことでした。

「りんが死んだ」って話は、ふわって舞い降りるみたいに伝わってきました。あの年の浦和は最悪だったんですよ。

レッズは降格するし、これから代表で活躍するはずだったりんを失うし。

全て悪い夢だったってことにしてほしい年でした。

りんさんは1つ上だから、そんなに早く結婚してて子どもがいるなんて知らなかったから、存在を知った時には驚きましたよ。

で、息子はゴールキーパーになって、よりによってレッドブルに入るなんてw

もっと驚いたのは嫁の「鈴」の存在。

まさか、律とサッカーやってるなんてね。

律とりんさんが一緒にサッカーやってるのは見たことないし、律と鈴のサッカーは全く違うだろうけど、なんかしっくりくるのは俺のフィルターのせいかな。

俺は近い位置で、鈴とは連携するけど勘がいいし、サッカーをよく知ってる。俺の勝負しやすい距離までじっくり計って罠を仕掛けてくれる。俺は、そこを狩って前線にボールを送る。スピードのある選手じゃないが、クレバーなプレーだ。プレーヤーとしての考え方や基礎は、律から学んだからだろうな。

律は「ばかばか」言われてるけど、決して「ばか」だけじゃない。

これって、とりあえず「ばか」であることは認めてる?

ひとりひとりへの練習プランは的確だ。

試合の組み立てもやってみてわかるんだけど「すげー!」って思う。

あの人、自分がコーチ向きだってわかってて、今の仕事してるんだろうな。

俺たちは、律より上手かったけど、サッカーを仕事にはできなかったw

「ばか」って、自分の持ってる能力を活かせない人を言うんだと思う。

そうなると律は、1000%活かしてる天才かもな。

で、そんな律に40過ぎてもう一回捕まった俺たちは――

たぶん、ばかなんだと思うw

でもさ。

昔みたいには走れない。

昔みたいには蹴れない。

それでも、ボールが来ると身体は覚えてる。

まだ、俺たちのサッカーは残ってた。

だったら、もう一回やるしかないじゃん。

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