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帰省準備。

第47章

 タクシン・ヴァイオレットが、ヴァイオレット家に、誕生してから、王都の復興は、早まり、アイシン宰相は、意欲的にどんどん、街を整備して行った。


 「アイシン宰相、ガス灯の設置要請が、多数来ていますが、王都の街では、どのように進めるおつもりですか?」


 「それは、利権に関わらず、先ずは、病院の近くや、危険個所から整備して行きましょう」


 「本来なら、電気の方が安全ですが、この国の電気の供給は、まだまだです。しかし、夜に少しでも灯りが灯れば、多少は、安全が保たれます」


 「はい、後は、川の整備が整えば、船で、市民の移動を可能にすると言う案は、進んでいますか?」


 「はい、我が国は、川が多く、馬などよりも、川で移動が可能になれば、遠くの領土にも訪れる事が出来、王都も地方も繫栄する」


 アイシン宰相の担当する案件には、賛成してくれる貴族が多く、物事は、スムーズに進んでいるように思えた。



 「アイシン宰相、国王陛下がお見えです」


 「ご苦労。どうだね。仕事は上手く行っているか?」

 「はい、陛下、みんなの力で、どうにか出来そうです」

 「話があるから、少しいいか?」

 「はい」



 国王陛下の執務室に二人は向かい、ゆっくりと話す。

 「ミルク王女から聞いたのだが、この夏、タクシンを連れてオリザナダ領に帰省する事にしたのか?」


 「はい、タクシンもすでに2歳になります。2歳の誕生日は、両親と共に迎えさせたいです」


 「しかし、ナツ皇子の離宮の建設は、何とか横やりを入れて、完成を遅らせているが、心配でならない」


 「ありがとうございます。陛下・・・、これは、秘密ですが、今回、川で移動します。幸い、陛下のお力添えもあり、ヴァイオレット家の近くの川を、手に入れる事が出来ましたので、あの川を使います」


 「ああ、タクシンの誕生祝いに何がいいかと、ジュリエールに聞いたら、川と言われたので、あの川を贈ったが、まさかあの川を使うのか?・・はい、タクシン川です」


 「はい、今、プラスムス公は、息子や孫の為に、造船に力を入れています。タクシン川は、調べて見たら、オリザナダ領の途中まで続いていて、その先は、3つに分かれますが流れも静かで、川幅を広げる整備が完成しました。タクシン川のように、どんどん川の整備が進んで、この王都から各領土や、遠い国へも行くことが出来る様になれば、それは素晴らしい事でしょう」


 「壮大な夢だな・・・」


 「ええ、本当に夢です」


 「今回、タクシン川を使い途中まで使い、ひっそりとオリザナダ領へ、向かう事が出来ましたら、安全性は高まります」


 「うん、何よりも安全性が一番だからな・・。頼むから無事にまた王都へ戻って来てくれ」


 「勿論です。でも、今回、ガス灯の事は、ナツ皇子に任せて大丈夫でしょうか?」


 「勿論、大丈夫だろう。それに、ここで、シッポを出してくれた方がいい。しかし、彼は、兄弟の中で一番、頭がいい、このような事で、失脚する訳がない。必ず、結果を残し、今後の継承者の争いに、この実績を持ってくる。私は、そう思っている」


 「国王陛下・・、そのように、ナツ皇子を考えずに、いい方向に考えましょう」


 「アイシン宰相、君は、国中がすべて火に包まれる光景を、見たことがないからそのように言える。自分の無力さを、この目で見ることほど、辛い事はない。ましてや、自分の息子だ」


 「私は本当に、ただ、この美しい国を守りたい。子供を作らなければよかったと、思いたくない! 」


 「どうか、どうか、彼らが今の生活に満足できるように、案じるだけだ」


 その頃、ヴァイオレット邸では、出発の準備が、粛々と進められている。ミオとタクシンは、楽しく荷物をえらんでいた。


 「タクシン、こっちのおもちゃは、持って行きますか?」


 「はい、持って行きます」


 今回、船での帰省に参加するのは、プラスムス夫妻とホウライン、ヴァイオレット家の3人と、ジュリエール、フィージア、トハルト、トナカリ、ダルマルが船での移動になる。その二日後に、残りの使用人達と、クランとマロンが、馬車での移動で、オリザナダ領にやって来る。


 使用人たちの馬車は、前回の5台の馬車がダミーとしてしようされ、船を降りてからは、ヴァイオレット男爵の鍛え上げた護衛が、ミオ達を、ピックアップして、道を急ぐことにしてある。


 ジュリエールは、タクシンとミオに言う。


 「大方の物は、この2年で揃っています。本当に、お気に入りの物だけをお持ち下さい」


 「そうなの?前の家の物も、あるのかしら・・・。お気に入りだった品物は、国に取り上げられたのでは・・・?」


 「大丈夫です。すべてではありませんが、多少の物は、新しい屋敷内に保管してあります」



 アイシンとミオを、見送ってからのヴァイオレット家の変貌は、この国一番の変貌と言っても過言ではない。貧乏男爵の家は、天下一の屋敷へと変わった。


 最初の変貌は、当然の事ながら、プラスムスが置いてきた財産で、その後、ヴァイオレット家を頼りに集まったオリザナダ領の人達による、自警団と言う軍隊が出来上がった。


 そして、アイシン宰相の給金によって、道や畑が整備され、ヴァイオレット家の周りは、美しく安全な町へと生まれ変わった。そんなアイシン宰相の帰省に、何かあっては、一大事になる。


 「オリザナダ領の人たちは、前回のプラスムス様の事件を教訓にしていまして、又、アイシン宰相に何かあったら、本当に、自分たちは生きて行けないと、感じています。大丈夫です。彼らは、きっと、皆さんを守り抜きます」


 「ヴァイオレット家は、あのままの屋敷を使っていらして、その後ろに、お父様の屋敷を建設に、2年も使いました。一体、どのようなお屋敷なのでしょうか?」


 「ご本人も、一度も訪ねた事がない屋敷で、ガムシャとロックが、お父様のご意向を伝えて、現地に人達に頼み建築したお屋敷です」


 「当然ですが、使用人たちの部屋も多くあり、みんなも、のんびりと過ごせるといいですね」


 「それにしても、同行するダルマルは、何をしているのですか?」


 「ホウライン様とタクシン様とご一緒に、池に向かいました」


 「あの3人・・、本当に、池が好きですね」


 「はい、ダルマルは、毎日、船の構造を研究していて、船を作っては、お二人を乗せています」


 「明日の朝、職人たちが作った船に乗って出かける事は、本当に嬉しそうで・・・」


 「しかし、ミルク王女が、ダルマルの1ケ月の夏休みに関して、納得されていませんでした」


 「そうなの?」


 「はい、とても寂しそうで、ミルク王女のメイドさん達からは、早めに戻って来て、王宮で、ご一緒に勉強される事を、すすめられていました」


 「でも、ダルマルが帰ってしまうと、あのわんぱくな二人を見るのは大変になります」


 「そうなのです。ジュリエール様だけでは、彼らも委縮してしまい、ダルマルがクッションになっているからこそ、上手く回っています」


 「マロンは、今回は、ダルマルと一緒でなくていいのかしら?」


 「はい、マロンは、ダルマルと離れる事を嫌がりますが、それ以上に船を怖がります」


 「ーーーそのことについては、本当に申し訳ないと思っています。ホウラインとタクシンが、マロンの乗っていた船を、強引に奪いに行こうとして、水に落としてから、絶対に、池には近づかない様になってしまいました。可哀そうなに・・・・。ダルマルの妹なのに、船嫌いで・・・」


 「奥様、後・・・ミルク王女は、マロンが馬車で向かう事も気にしてました・・・・」


 「ーーーーーー」


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