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美しい凱旋

第40章

 クミン国を訪ねるのは、モクカツ皇子と数人の仲間達、アイシン男爵とブーメン子爵とその従者たちが、クミン国に入国が許された。


 クミン国は、ラミベース国と、似た雰囲気があるが、多民族国家でもあった。その多民族の中に、モクカツ皇子の恋人も暮らしていた。


 クミン国にとって、一つの民族が抜けるという事は、大きな出来事で、もしかしたら、他の民族たちも、追随するかも知れない危険を伴っていた。そうした危険を犯してまでも、今回、許可してくれるのは、お義父様の功績が大きいと思われる。


 トナカリが、

 「クミン国のどこかの民族は、昔、ミオ様を誘拐しようとして、プラスムス様の怒りを買い、クミン国は、再起不能な程の食糧難に陥りました」と、途中で、アイシン男爵に囁いた。


 「だから、この交渉は、絶対に、上手く行きます。大丈夫です」


 「なんと・・、誘拐事件の犯人は、クミン国・・・・」


 ラミベース国一行は、クミン国の王宮に通されただけで、歓迎されているのがわかった。


 クミン国の国王、自ら、出迎え、アイシン男爵を歓迎する。


 「クミン国国王、こちらがモクカツ皇子です」


 「ああ、話は聞いている。今回の建国の話は、私としては、賛成する以外の道はないのであろう?」


 モクカツ皇子が、

 「これから、アイシン男爵が、この建国がいかに相乗効果をもたらすかを、説明しますので、お返事はその後で、大丈夫です。我々としては、国王陛下に心から納得して頂いて、国造りを進めていきたいと、考えています」


 「こちら、プラスムス公の娘婿のアイシン男爵です」


 「クミン国王、初めまして、お噂は、かねがね、伺っております」


 「お待ちしていました」



 その後の、アイシン男爵のプレゼンテーションは、完璧で、クミン国立ち合いの人々も、段々、モクカツ国が出来る事を、いい事のように思える様になり、最後に、本当に立ち上がり、握手をして、調印までも終了し、その夜は、歓迎の宴まで、開かれた。


 クミン国王側近が、近くにやって来て、改めて、会談の予定を求められた。


 「明日、国王陛下とご同行をお願いします。プラスムス公へのお土産もあります」


 「はい、わかりました」


 クミン国の国王が、アイシン男爵を連れて行ってくれたのは、巨大な農園だった。


 「この土地は、痩せた土地で、作物を植えても、植えても育ちませんでした。そんな時に、プラスムス公は、違う国から、痩せた土地でも、主食になる作物の苗を、大量に、持って来てくださいました」


 「ーー私は、一度、彼を裏切っています。彼の宝物を誘拐して、ダンピングを迫り、彼のこの国にある資産を、横取りする事を考えた。卑怯な男です」


 「しかし、その女の子は、偽物で、彼は、私のする事を知っていたのです」


 「ミオの誘拐の事ですね。知っています」


 「その後、彼は、この国から、彼のお金をすべて引き上げ、その後、3年間は、酷い干ばつに見舞われ、多くの国民も亡くなり、滅亡の一歩手前で、再び、彼が現れ、この苗を送ってくれました」


 「その時、初めて、多民族で、協力し合い、助け合い、生きて行く意味を知ったと思っていた・・・。しかし、私は、また、同じ過ちをしそうになっていました。彼女の村を、彼女たちの土地を、返します。どうか・・・・、私達、クミン国は、いつも、反省していると、スワルトイ公に伝えてくれませんか?」


 「そして、誰よりもミオ様の幸せを願っています」


 「後、アチラの山から向こうは、すべてプラスムス領になっています。聞く所によりますと、彼にも嫡子が産まれたと・・・。しかし、成長するまでは、すべて、ミオ様の物です」


 「今回、両国の争いの中、彼は、あの山の中に、沢山の武器、弾薬を送ってくれました」


 「ーーどういう事でしょうか?」


 「彼は、私たちを信じ、母国を信じていないと言う事です」


 「あなたのお命に何かあった場合は、私たちは出陣しなければなりませんでした。本当に良かったです。くれぐれも、お命を大切になさってください。出陣に比べれば、一つの村を、第2皇子のモクカツ皇子に渡す事など、大した事ありません。それに、あの子は、私の娘です。この上なくいい事です」


 「こんなにいい事はありません。そして、アイシン男爵が、話して下さった綿花の産業も始めようと思っています。美しい布が出来上がりましたら、ヴァイオレット邸にお届けいたします」


 「ありがとうございます。私も、これで、ミオの元に帰れます。随分と待たせました」


 そして、アイシン男爵の高級馬車には、沢山のお土産が積まれ、馬が可哀そうだと言う事で、馬も2頭、追加された。


 「さぁ、戻ろう。ミオ達が待っている」



 王都のヴァイオレット邸には、いつの間にか夏がやって来ていた。ミオのお腹は、大きくなり、アイシン男爵の帰りを、毎日、毎日、待っていた。


 「姉上、明日は、池に水が入りますか?」


 「ホウライン、今日から水を入れます。水が入って、船を浮かべて、みんなで遊びたいのでしょう?」


 「うん、遊びたい。マロンは、毎日、水がないのに入っている」


 「マロンは、ダルマルのお手伝いをしたいのよ。どんなに邪魔にされても、マロンは、ダルマルの側を離れないから・・・」


 「昔の、ダルマルを見るようで、兄弟って、似るのかしら?」


 「でも、僕は、野菜が食べられる・・・、似ていない! 」


 「フフフフ・・・」


 「今日から、水を入れて、明日、旦那様が、戻られた頃には、キレイな水が池に溜まっています」


 「本当?」


 「本当よ」


 「ヤッター!! お父様に船が出来上がったか、聞いてきます」


 アイシン男爵から、沢山のお土産を頂いて、クミン国を発ったと連絡があったのは、1ヶ月前。


 ヴァイオレット邸の人達の喜びは、大きなもので、池の工事を集中的に行い、アイシン男爵の凱旋までには、間に合うように、死ぬほど頑張って、石を並べ、絶対に、安全だと確認が取れるまでは、水を入れずに、毎日、みんなが、裸足になり、寝転び、点検を重ね、今日、すごく綺麗な、透明感溢れる、水が入る。


 「奥様、池に、もうすぐ、水が入ります。立ち合いますか?」


 「ええ、大丈夫です。池の側に、グランピング形式のテントも、数か所、出来上がったようです。そこで、様子を見ながら、お父様たちもお呼びして、お茶を頂きましょう」


 ミオの周りには、常に、ジュリエールが付き添い。フィージアは、ジュリエールの一挙一動を、見逃さないように、ミオを守る事だけを考えて、毎日を過ごしていた。


 「奥様、足元が見えますか?大丈夫でしょうか?」


 「大丈夫、みんなが頑張ってくれたお蔭で、この庭には、段差がなくなって、びっくりする程、平坦な道が続いています」


 「ええ、今は、草もはえていません。彼らは、本当に凄いと思います。そして、ダルマルは、あんなに小さいのに、ぐすん・・。あのような美しい池を、遂に作りました。本当に凄いです」


 フィージアは、ダルマルの池を見て、感動している。


 ダルマルが、池の中に、描いた模様は、ヴァイオレット家の紋章と、プラスムス家の紋章が重なった模様だった。


 それは、四方の角から、ダルマルが取り掛かったので、最後まで、どのような模様になるか不明だったが、最後に出来上がった時には、ジュリエールでさえ、ダルマルを褒め、たくさんの美味しい物をご馳走した。


 ヴァイオレット家の全員が、立ち合い、山から水の出る合図が放たれ、全員で、水の到着を待っている時に、その時が、訪れた。


 門が開き、小さめの馬に乗って、アイシン男爵が、ミオ達の前に現われた。


 「あなた・・・・」


 「ミオ、ただ今!! 」


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