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敵国が見える場所

第38章

 アイシン男爵、モクカツ皇子から、返事が来ました。


 「ああ、スゴイね。返事をもらえると思っていなかったから・・・」


 「後、ジュリエール様からも・・・・」


 「ーーーーー、王都で何かあったのか・・?」


 アイシン男爵と、ロック、ガムシャ、トナカリは、モクカツ皇子の手紙より、王都から、秘密裏に送られて来たジュリエールの手紙をドキドキしながら、開封した。


 3人は、寒い中、手に汗を握り、アイシン男爵が手紙を読み終わるのを待っていた。


 「はぁ~~、大丈夫、ミオは、順調だそうだ。オリザナダ領から母も来てくれて、池の工事も再開して、僕たちの情報は、ミルク王女から得ているらしい・・・」


 「ミルク王女ですか?」


 「ああ、ダルマルが、王女に呼ばれて、遊び相手になっていると、書いてある。あちらも、ヴァイオレット邸の情報が欲しいのだろう・・・。お互い様だ」


 「後、サージ宰相が処刑され、その一族も、すべて処刑されたようだ。彼らは、今回の土砂崩れの首謀者と、認定され、貴族たちへの謝罪と賠償が、すでに始まったらしい・・」


 「王都では、共犯者は、既に、カレンジン軍長と認定されているが、この戦争が終結するまでは、その情報を、彼に流すことはしないらしい。・・、しかし、王都では、すでに戦死の発表が行われている」


 「怖い、こわい・・・・怖すぎる」


 「やはり、国王陛下は、情報操作を行っているのですね」


 「ああ、やはり、国王陛下は、ご立派な方だ」


 「ーーーーーー」


 「でも、その情報操作が行われている事を、アイシン男爵は、すでに、見破って、モクカツ皇子に伝えているのです。上には、上がいます。さすがです」



 その後、アイシン男爵は、モクカツ皇子の手紙を開けた。


 「・・・・、すでに、カレンジン軍長は、遺体で、到着したらしい・・・・」


 「それは、どのような事でしょうか?」


 「さぁ、僕たちの上を行く、人間が、もう一人、先方の軍隊には、存在するという事だ」


 「トナカリは、合同訓練で一緒だったロイとヒューガを覚えているか?」


 「はい、覚えています」


 「この道中、彼らには会ったか?」


 「発表された名簿を、確認した時点では、その名前は、見当たりませんでしたが、私が王都を一日、早く出発した時に、王都門の側で、見かけました」


 「彼らも、きっと、動いている。3人の皇子の中では、きっとナツ皇子が、一番優秀だろう。しかし、カレンジン軍長が、すでに、処刑された状態だったと、わかった時点で、モクカツ皇子も、ナツ皇子の存在を気にし始めているはずだ」


 「男爵様、誰が味方で、誰が敵なのでしょう?」


 「う~~~ん、今の段階では、何も言えない。今日ほど、ミオが羨ましいと思った事はないよ」


 「彼女も周りは、味方ばかりだ! 」


 「ええ、その通りです」と、3人は、キッパリと言う。


 「しかし、カレンジン軍長が、亡くなっているとすると、あの軍隊は、誰が指揮を執るのでしょうか?」


 「さぁ、わからないが、彼の次の人間が、先頭に立つのではないか?」



 ダルマルは、毎日が楽しくて仕方がない。池は、すでに、掘り終わっていて、美しく石を引いて行くだけになっている。水の方も、その断崖を横に掘り進め、石を組みながら、塩ビ管を通すように丸く掘り進め、水を探して行く作業をしている。両方の現場も、ダルマルにとっては、冒険の様な楽しさだ。


 「ダルマル、宮殿のミルク王女から、お誘いのお手紙が、来ました」


 「・・・・・・」


 春になり、職人たちは、忙しく、ダルマルも作業に加わり忙しくしていても、ミルク王女からのお誘いは、断る事が出来ない。


 ジュリエールが、

 「ダルマル、新しい服を新調しておきました。シャワーを浴びて来なさい」


 ダルマルは、モジモジして、ジュリエールを見るが、ジュリエールに対しての拒否権を持ち合わせていない。


 「はい・・・・」


 ダルマルは、ルフリーと一緒に、馬車に乗り、ガタガタと揺られ、王宮に向かう。王宮でも、ダルマルが、ミルク王女の所に来ることは、認識され始めて、スムーズに、通る事が出来る。


 「ダルマル様、お待ちしていました」と、ミルク王女のメイドが、迎え、立派な長い廊下を歩き、王室の為の、訓練場へと、連れて行かれる。


 「はぁ~~~」


 ダルマルを先導するメイド達も、ダルマルが可愛くて仕方がないのか、いつも、肩を震わせて、笑いを堪えて、前を向き、歩いている。


 「王女様が、お待ちです」


 「ダルマル、遅い! 待ちくたびれました」


 「ミルク王女、私には、仕事があり、急なお誘いには、この位、時間がかかります」


 「それでは、剣を持ち、訓練を始めましょう」


 最近のダルマルは、それでも腕を上げ、組手をしても、王女との組手なら対応する事が、出来る様になってきた。か弱い王女と鈍いダルマルは、本当に丁度いい練習相手と言える。


 その後は、ダンスのレッスン、歌等を終え、やっと、待望の昼食になる。ミルク王女のメイドが、


 「ダルマル様、もうすぐ、昼食のお時間です」


 ダルマルの顔は、パッと明るくなり、嬉しそうに、頷いた。


 その様子を見て、ミルク王女が、


 「ダルマルは、食事以外に好きな物はないの?例えば・・・・・・」


 「あります」


 「何?」

 「石です!! 」

 

 「・・・・・・」


 昼食を取りながら、ミルク王女に、今、作っているヴァイオレット邸の池の話をする。ダルマルの目は輝き、頬張りながらも、ずっと、ミルク王女に話をしている。


 最初は、つまらなかった話でも、ダルマルの話を聞いているうちに、イメージとしてミルク王女に伝わり、王女は、

 「それなら、夏になったら、ダルマルの作った池を見に行く事は出来るかしら?」と聞くと、


 「それは、無理だと思います。ヴァイオレットは、貴族や高貴なお方との交流はしていません」


 「・・・・・・」


 「しかし、お父様は、今、アイシン男爵は、戦場では、軍事ブレーンとして働き、相手国との交渉役を任されていると、言っていました。この交渉が上手く行ったら、アイシン男爵様は、一気に、英雄になり、そのような交際も必要になると、思いますが?いかがでしょうか?」


 「アイシン男爵様は、すでに英雄です。それに、身重の奥様の為に、誰も、あのヴァイオレット邸に入る事は出来ません。アイシン男爵が守りたいのは、ただ、奥様だけだと、母上は言っていました」


 「しかし、男爵なんて、身分が低いのに、どうして、軍事ブレーンなのでしょう?」


 「アイシン男爵は、誰の話でも聞いてくれます。僕たちみたいな労働者の願いもかなえてくれる、立派な貴族様です。アイシン男爵は、きっと、相手国の話を聞いて、戦争にならない様にして下さると、僕は思っています」


 「・・・ねぇ、戦争って、陣地取りの様なものだと、お父様がおっしゃるの、陣地取りのゲームしない?」


 「僕に教えて下さるのですか?」


 「そうよ、簡単だから、教えてあげる」


 その日から、ミルク王女は、そのゲームをすることは無くなって、ダルマルは、そのゲームを応用して、ミオの池の中に再現していった。



 その頃、やっと、越境の地、国境を挟んで、クミン国が望める場所まで、アイシン男爵は、到着した。

 

 「アイシン男爵、お待ちしていました。モクカツ皇子が、お待ちかねです」


 「・・・・・・」


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