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「なぜって言われてもな。ここに入れられて暇だったんだ。
私が過ごしやすいように調整もするさ」
「もうロゼはここで好きにして良いよ……」
なぜだろう。話をしているはずなのにどこか噛み合っていない気がしてくる。
彼女がわざと微妙に話をそらしてくるのがわかったので、冬夜は話題を変えることにする。
「そういえば、勝ちたいかってなんのことだ?
ここに来るときに聞こえた気がしたんだけど」
「言葉の通りの意味だが。
冬夜。お前はあの赤髪に勝ちたいのか?」
どうやって知ったかなど今更気に留める必要もないだろう。
彼女はどうにかして今の冬夜の戦いを見ていたのだ。
あの状況を見た上で赤髪。雄二に勝ちたいのか聞いてきているのだ。
誰が見ても勝敗が明らかな状態であるにもかかわらず。
「それはもちろん勝ちたいさ。でも、そんなこと聞いてどうするんだよ。
正直自分で言うのもなんだけど、だいぶ絶望的だと思うんだけど……」
「ふっ。何を言い出すかと思えば。勝たせてやるさ。」
彼女のその言葉は冗談でも、虚言でもなさそうだ。
そう思えるほどにその言葉には自身が溢れていた。
だがやはり、疑念は払拭できない。
その言葉を正しいとする根拠が見えないからだ。
「さあ、どうなんだ?勝ちたいのか?それとも戦いごっこをしたいだけなのか?」
「……勝ちたい。ロゼ、俺を勝たせてくれ」
「了解だ。お前の望みを叶えてやろう。
ただし、私の願いも叶えてもらうがな……」
そんな交換条件聞いてないぞと反論したいところであったが、それはかなわない。
ロゼが指を鳴らすと辺りは白く輝き、冬夜の視界を奪っていったからだ。
更に辺りの輝きは視界だけでなく、冬夜の意識さえも奪っていった。
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