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「さ、冬夜、美琴行くわよ。遅れて行ったらまた何言われるかわからないしね」
「雄二くんは良いんです?」
「構わないわよ。どうせすぐ動き出すわ」
そう言うと陽菜さっさと教室を出て行ってしまう。
美琴は陽菜と雄二を交互に見た後、雄二に手を合わせ走っていく。
「おーい、柊?生きてるかー」
「と、当然だぜ……
でも、俺じゃなかったら分からなかったぜ?」
雄二は自力で壁を抜け出すと肩などに付いたホコリを払う。
見たところ特に大きなダメージを負っている様子はない。
それどころか、全く受けてないんじゃないかと思える程だ。
「柊って頑丈なんだな」
「おう!それだけが取柄だぜ!
あと、柊じゃなくて雄二でいいぜ?」
「分かったよ雄二」
二人は再び握手をすると急いで、陽菜たちを追いかける。
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「皐月くんたちで最後ですかね」
「た、多分そうです」
冬夜と雄二は息を切らせながら、目的の場所へと辿り着く。
なぜ二人がこんな目にあっているかと言うと主に陽菜と雄二のせいである。
二人が教室を出た頃、既に廊下に陽菜の姿はなかったのだ。
冬夜は別にゆっくり行けばいいと思っていたのだが、そこで雄二が謎のこだわりを見せ何としても追いつくと言い始めたのだ。
その結果、追い付くために全力疾走をさせられたというわけであった。
「あら?二人ともそんなに疲れてこれから大丈夫なのかしら」
「ひ、陽菜が早すぎだよ……」
「全くだぜ……陽菜ちゃん筋肉の割に早すぎだぜ……」
「まともに走るバカと一緒にしないで欲しいわね」
そんな事を話していると神崎のそれでは始めますよという号令がかかる。
組み合わせは事前に決めてあるらしいが、発表されることはなくその場でいきなり言われるみたいだ。
一組呼ばれ試合が始まる。
陽菜以外の魔術師を見ていない冬夜にとって、ほかの人の試合はとても新鮮だ。




