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先に動いたのは冬夜の方だ。
先ほどとは違い速さが目に見えて違う。
魔力で相当な強化をされているのだろう。
「さっきとは流石に違うわね。さて、冬夜に破れるかしら?」
陽菜は相も変わらず、レイピアで遊んでいる。
破られない自信の表れと言うよりも冬夜の実力を考えれば妥当な行動だろう。
『破れるか破れないかじゃない。ここで破らなきゃここから先、一生破れない。
大丈夫だ。今ならやれるはず……』
冬夜は更に加速をする。
彼の今の速さは一般人が軽くたどり着ける領域のものではなくなっている。
しかし、明らかにそれは限度を越えての強化だとわかる。
「行くぞ、陽菜。第三秘剣【雷切】!」
彼の現状出せる最大の技を繰り出す。
冬夜が秘密兵器として用意していたものだ。
目に見えないほどの速さで刀を振るう。
その一刀は陽菜の作った風の壁を容易に切り裂く。
「あら?ちょっと予想外」
「その余裕が命取りだったな」
切り裂いた壁を強引に抜けると目の前にはレイピアで遊んでいるだけの陽菜がいるだけだ。
勝ちを確信した冬夜は彼女の懐まで入ることが出来たが、ここで自分の間違いに気がつく。
「よくわかってるじゃない。その余裕が命取りになるのよ冬夜」
陽菜はそう言って一歩下がる。
先程まで彼女が居た場所には風の刃が四方に出現していた。
自分の間違いに気づいたときには全て手遅れだった。
次の瞬間には風の刃が冬夜を襲う。




