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細かく精度良く繰り出される攻撃にどうすることも出来ず、防戦一方を強いられる。
ここで、冬夜は自分が大きな勘違いをしていたことに気付かされる。
『こんなの、魔術うんぬん以前の問題じゃんか……使われなくても実戦経験のない俺が太刀打ちできるわけなかっただろ』
実力不足を痛感させられる。
魔術さえなければなんとかなると思っていた自分を殴り倒してやりたい。そう思えるほどだ。
雨のような攻撃をしてきた陽菜だが、一瞬攻撃が大振りになる。
そのチャンスを見逃すこと無く、冬夜は大きく横に飛ぶ。
「今の見えてたのね。流石に露骨過ぎたかしら?」
「まぁ俺に見えるレベルなんだ。露骨だったんだろうよ」
なんとか言葉を返すものの、一瞬の判断で行ったことのためそこまで考えてる余地は無かった。
ヘッドスライディングが如く飛び、射程から抜けることしかできなかったのだ。
「ま、仕切り直しと行きましょ。冬夜の目もだいぶ慣れてきた頃じゃないかしら?」
「お、おう。当然だろ」
改めて刀を構え直す。
陽菜にはそう答えたものの、実際には今は見える程度だ。
彼女がわざと大振りにしたということは、今の速さも本気では無いのだろう。
それに何より、陽菜はまだ魔術を使っていない。
『陽菜には非効率って言われてるけど、手段を選んでる暇はないしな』
冬夜は深呼吸をすると全身に魔力を巡らせる。
身体能力を強化すれば、先程よりは陽菜と対等になれるだろうという考えだ。
「もう準備運動は終わり?私もちょっとだけさっきより本気だすわよ」
「できれば、俺が優位になるくらいまで手を抜いてくれると助かるんだけどな」




