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「着いたわよ。ここがそうよ」
「普通の体育館くらいを想像してたんだけど、だいぶ大きいな」
陽菜に連れられて来た修練場は、並の体育館の数倍はあろう大きさであった。
ここは3階建で、1階は学部のイベントなどで使用する大広場になっているそうだ。
2階から3階はそれぞれ持ち主の決まってる個人スペースになっているらしい。
「ここの2階にアイツの管理してる場所があるわ」
「なるほどな。ところで、なんで陽菜あんなに来たく無さそうだったんだ?」
別に場所が遠いわけでも無く、内装はわからないが、外観からはボロボロということも無さそうだ。
立地、設備の面では嫌がる理由は特に無いと思われる。
そもそも、冬夜の相手をするのがめんどくさいという理由であれば、どうしようも無いがおそらくそれはないはずだ。
「あー……私、あんまりここの管理人と会いたくないのよね。昔、ちょっとしたことがあってから絡まれるようになってめんどくさいのよ」
「そうだったのか。ま、今は休み中だしその人も居ないだろ。さっさと行こうぜ」
冬夜の言葉に陽菜もそれもそうねと答え、中へと入っていく。
内装は学校の体育館と言うよりは、スポーツセンターのような見た目をしている。
「誰もいないじゃんか」
「うちの学部は余りこういったことに熱心な方じゃないからある意味妥当ね」
利用者はほとんど居ないのか何かをしているような音は聞こえてこない。
代わりに聞こえてくるのは誰かが近づいてくる足音だ。
「あ?なんでクソガキがこんなとこにいやがんだよ」
近づいて来た足音は陽菜の方を見ながらそう告げる。
声の方に目を向けると、長髪の男がそこには立っていた。
身長は冬夜より少し高いくらいだ。学生には見えないので、おそらく彼が陽菜の言う管理人なのだろう。




