-5-
「な、なぁ陽菜!なんで、今、全力疾走しなきゃいけないんだよ!!」
「仕方ないじゃない!と、途中で電車が止まると思わなかったんだから!」
2人は学園の最寄り駅に着くなり、全力で学園に向かって走っている。
家を出た時間は悪くは無かった。なにも無ければ余裕を持って学園に着けたはずだった。
道中、電車が止まったりしなければ。
「だからって走ることはないだろ!?」
「なら、冬夜は歩けばいいわ。私はあいつになに言われるかわからないから走るけど!」
陽菜はそう言うと更に加速をしていく。
彼女の言うとおり、昨日ですら神崎に遅刻の事はつっこまれたのだ。
二日連続ともなると、今度はどれだけ言われるかわかったものではない。
それを考えると遅れるわけには行かず、冬夜も陽菜に着いていくよう加速をする。
「あら?冬夜、結構足速いのね。正直着いてこれないと思ってたわ」
「多少は身体は動かせるからな。これくらいならまだ行ける」
「じゃあ、冬夜にテストしてあげる。今から更に上げてくから頑張って着いてきてね」
一瞬陽菜の足が白っぽく輝いたような気がすると、目に見えて加速する。
その加速が自力のものでは無いのは誰が見ても明らかだ。
陽菜がテストと言ったから、魔術絡みのことではあるのはわかるが、如何せん方法が解らない。
「お、おい!陽菜!どうすりゃ良いんだよ!」
「ちょっと足に魔力込めるだけで行けるから。私は先に学園で待ってるわね」
陽菜はそう言うと走り去ってしまう。
その速さは完全に普通の女子高生が出せるものを超えている。
そんなものに追いつけるわけも無く、冬夜はドンドン距離を離されていく。
「ホントにおいてきやがった……なんとかして、陽菜の言うとおりにしなきゃいけないってことか」
冬夜は昨日の事を思い出し、自分へと集中する。
昨日の陽菜の薬が効いたのか、自分の中に今までには無かった感覚が確かにある。
そして、その感覚を足の方へと集中させていく。
すると、上手く行ったのか両足が軽くなったような感覚を冬夜は覚える。




