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「そう言えば冬夜、そのやたら長い袋は何なの?」
「ん?これか?これは昨日言ってた秘密兵器だよ」
「それが噂のねー。で、それ何なの?」
どうやら陽菜には、秘密と言う言葉の意味が通じないらしい。
ここで、断ったところで諦めてくれないのはわかっているので、冬夜はしばらく考えた後、諦めて話すことにする。
諦めの決め手になった点は彼女が妙に目を輝かせながらじっと見つめてくるからだ。
「わかったよ……どうせ、俺には秘密にしたくても学園に行ったらすぐバレることだしな」
冬夜は黒い袋から黒い刀を取り出す。
それはほとんど使われてはいなかったのだろう。傷一つ付いていなかった。
しかし、手入れはしていたようで新品の様に綺麗なままだ。
「どこでそんなものを手に入れたのよ。だいぶ大切にしていたみたいだけど」
「これも昔の道場で貰ったんだよ。『いつか使うときが来るまでちゃんと大切にするんだよ』って言われてな」
陽菜はなるほどねーと言うと冬夜の手にする刀をまじまじと見る。
「ね、冬夜。抜いてみてよ」
「は?ここでか?無理に決まってるだろ!」
いくら武器を携帯することが許されてるとは言え、街中でいきなり刀を抜くのは気が引ける。
それに加え、今はこの刀を使うときでは無いので更に気が引ける。
別に昔言われた言葉をここまで律儀に守る必要はないのだが、今までその言葉通りにしていた冬夜にしたら、そこそこの重みを占める約束となっていた。
「えー、ちょっとだけ!ちょっと見るだけにするから」
「ちょっとくらいなら別に……い、いや!ダメなものはダメだ!
ほら、そんなことよりそろそろ学園に行くぞ。今日も遅れたらなに言われるかわからないからな」
冬夜はそう言うと駅の方に走り去る。
陽菜には悪いが流石に気が進まないまま刀を抜く気にはなれなかった。
その後、彼女の頼みは駅に着くまで続いたが、電車に乗ったところで諦めが着いたのかそれ以上頼んでくることは無かった。




