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「はい。OK。電話しといたから玄関先に置いとけば持ってってくれるわ。それじゃ行きましょ?」
「へー。そんなもんで良いのか。あの学園もよくわからないな」
陽菜に言われたとおり、私服の入ったダンボールは玄関前に置く。
これから暫くは開けることも閉めることもなくなるであろう家に鍵を掛ける。
今まで何度も繰り返してきた行為ではあるが、当分やらなくなると思うと寂しさを覚えてしまう。
「これじゃ、姉さんが帰ってきても入れなくなっちゃうな」
「大丈夫よ。あの真冬さんが学園に冬夜が居るのに放置して実家に帰るわけ無いでしょ?」
「はは。それもそうだな」
冬夜は陽菜に言われ、真冬が過保護の域を超えて過保護なのを思い出す。
かすり傷程度でも怪我をすれば、身の回りのことを何でもしてしまい、困ったことがあれば全て解決してしまうのだ。
真冬自身が何でも出来てしまい困っている姿を冬夜は見たことがなかった。
それが少しコンプレックスになり、いつしかあまり真冬に物事を頼む事はなくなっていった。
「今思えばもっと姉さんを頼っとけばよかったな……」
「そうねと言いたいところだけど、『俺はそこまで子供じゃねー!』って言って真冬さんを頼らなくなったのは冬夜じゃない」
「そ、それは、まぁそうだけど……仕方ないだろ!あの頃の姉さんは四六時中一緒に居たんだから」
朝は学校まで真冬が送り、帰りも真冬が迎えに来てしまうのだ。
真冬が側に居なかったのは、学校にいる時間だけだった。
そんな毎日が続いたある日、冬夜は陽菜の言う言葉を叫んで真冬の過保護を断った。
「あの時はそれよりも、しばらく姉さんの元気が無くなったほうが困ったけどな……」
冬夜に拒絶された真冬は、それから数週間生きる屍とでも言えるレベルで無気力になってしまったのだ。
見てる方が辛くなるレベルであったが、冬夜は言い出した手前真冬に声をかけづらく関わることはしなかった。
この状態であっても、日常生活には支障が出ず、傍から見たらフラフラした人がテキパキ物事をこなしていく一種のホラー状態になっていた。




