-39-
「これからの学園生活乗り切れるか不安だったけど、ある程度身体動かせそうだし心配事が一つ減ったわ」
「身体動かせそうだから安心って、そんなに身体動かすような事するのか?」
「するわよ。例えばーーーー」
陽菜の説明によると魔術の授業は座学と実技に分かれており、座学は他の授業となにも変わらないものだ。
しかし、実技の方は多少問題があり、なんでも有りの実戦形式で行われる。
その為、怪我人が絶えない授業となる。
「だから、魔術も使えない、身体も動かせないとなると心配だったのよ」
「俺、急に学園生活が不安になってきたよ……」
冬夜は実際に魔術を使えてはいるものの、他の生徒に比べたら使えてないも同然だ。
"魔術使い"レベルでしか無い冬夜の実力では、実戦形式など到底無理だろう。
「まぁ大丈夫よ。魔術師は普通の人よりは丈夫だからそこまでの大怪我はしないと思うわ」
「怪我するのは確定かよ!」
「当然じゃない。冬夜じゃ私に指一本触れないわよ?」
陽菜は自身たっぷりにそう告げた。
これが虚勢ではないことくらい、冬夜にもわかる。
今日見た限り、陽菜は2種類の魔術が使えるようだ。
一つは火の魔術、学園で腕輪の説明の際に見たもの。
もう一つは風の魔術、気を失った冬夜を運ぶ際に使っていたらしい。
これらの魔術で出来ることは冬夜にはまだわからない。
しかし、使われたら近づけないことくらい容易に想像できる。
結果、遠距離からなにも出来ない冬夜にはおとなしく怪我をするしか無いということだ。
「それでもやれるだけの事はやるさ。それに、俺には秘密兵器もあるからな」
「え?なにそれ?教えなさいよ」
秘密兵器というワードに反応したのか、陽菜はやたらと食いついてくる。
しかも、目を輝かせながらだ。
「い、嫌だよ!言ったら秘密兵器にならないだろ?」
「ちょっとくらい良いじゃない!ケチ!」
陽菜はいくら言っても無駄だと判断したのかもう良いわよ、と言うと部屋に戻る。
「もう結構良い時間になるから、冬夜も早く寝なさい。明日も早いんだから」
「ありがと。もうちょっとやったら休むよ」




