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「そうなるようにも地道に練習してかなきゃな」
「そうね。と言うかどうしたの?そんな前向きに?」
もう部屋中氷漬けになる心配がなくなったので、冬夜はベッドに倒れ込む。
倒れ込んだかと思うとそんなことをつぶやいた。
先程まで溜息をついていた人の言葉とは思えない。
どうしたと言われても仕方ないだろう。
「これがやらなくて済むならこんなこと言わないよ。ただ、どんな理由であれ自分からやると言ったことに対して投げ出すのは嫌だなーって思ったからさ」
「驚いた。そんな考え方出来るのね。てっきり楽しいことしかしない昔のままかと思ったわ」
陽菜は関心しや表情で冬夜を見る。
見られてる側はと言うと、そこまで驚かれたり感心されたりするとと余り嬉しい気分ではない。
「俺だってちょっとくらい考え方も変わるさ」
「そうね。でも、冬夜のその考え方は素敵よ」
唐突に向けられる笑顔と褒め言葉に冬夜はたじろぐ。
予想外の行動にうつ伏せになり、顔を逸らすことくらいしかできなかった。
「とりあえず今日はもう休みましょう。明日もまたここから学園に行かなきゃ行けないんだから」
「そうだな……って陽菜はどうするんだよ?」
今から学園の方まで帰るとだいぶ遅い時間になってしまう。
陽菜は休むとは言っているものの場所が無いはずだ。
「どうするもなにも無いわよ。ここに泊まるに決まってるじゃない?」
「……は?」
冬夜としてもある程度は予想していた。
むしろ帰ると言うなら時間的にも部屋数的にも泊めるつもりだった。
そのため、陽菜が泊まっていくのはある意味予想の範疇と言える。
予想外のことと言えば、自分からさも当然の様に言い出したところだろう。
驚きの余りベッドから飛び起きる程だ。
「なによ?まさか今から学園まで帰れって言うの?か弱い女の子1人、この時間に?」
「いやいや、言わないし、それ以外にも突っ込みたいところがあるんだけどさ!」
冬夜は諦め、好きにしてくれと言うとまたベッドに倒れる。
「じゃあ、お言葉に甘えて。あ、冬夜シャワー借りるわね」
「勝手にどうぞ……」




