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「なるほどな。でも、ちょっと待ってくれ。俺がさっきまでだるかったのは魔力切れなんだろ?そしたら魔力が固まってっていうのと矛盾しないか?」
「冬夜が最初氷の塊にしたあれは、無理矢理魔力を引き出すの。だから、全身に魔力が通ることはないわ。
ただし、今のは全身に魔力を通したの。そこの差が一番大きいんじゃないかしら?」
話終わり、陽菜はまだ聞きたいことはある?と言ってくれる。
冬夜も聞きたいことはもちろんあるのだが、質問がうまくまとまらない。
「あ、そうそう。冬夜が魔力切れっていうのは、正直誤解がある言い方だったわ」
「え?違うのか?」
「そもそも魔力が切れてたのに魔力が流れたせいで気を失ったっておかしな話じゃない?」
冬夜は陽菜の言葉に確かに、と同意をする。彼女の説明は更に続く。
本来、冬夜が使える魔力が10だとすると、先程切れたように見えたのは1〜2消費した程度であり、ほとんどは固まっている部分だったのだ。
身体は固まっている部分を使い切ったため、魔力切れと錯覚していた。
しかし、実際には使ったのは氷山の一角くらいでほとんどは、身体に残っていた。
そのため、先程のような状況になったということだ。
「なんだか、魔術って複雑なんだな……」
「冬夜がレアケースよ。普段はそうそうこんなこと無いわ」
現状の整理ができたことでようやく一息付くことが出来る。
整理は出来たものの、今ある問題が解決したわけではない。
先程から室温が下がってきているようで、肌寒く感じるレベルだ。
「冬夜、大きく深呼吸しながら、自分に集中しなさい。部屋中氷漬けにしたくなかったらね」
「わ、わかった」
冬夜は陽菜に言われたとおりにする。
すると、今まで感じることは無かったのだが、全身に何かが通っている感覚がすることに気がつく。
「この不思議な感じが魔力が通ってるってことなのか?」
「人によって感じ方は違うみたいだけど、今まで感じたこと無いのであればそれがそうね。
そのままその流れを利き手だけに集中させなさい」
言われるがまま、自分に向けていた集中を今度は左手だけにする。
今まで全身で感じていた通る感覚はなくなり、左腕にだけ感じるようになる。
「いい調子よ。最後、それを自分の中に戻しなさい」
「自分の中に戻すってどうやって?」
「あくまで、例えよ。そういう感覚としか言えないわ。私は冬夜じゃないもの」
陽菜の無茶振りとも言えるこの言葉を今は信じるしか無い。
他にこの状況を乗り切る方法は無いからだ。
冬夜は身体の中心に中心にと集中する。
左腕にあった感覚は段々と薄れていき、最後にはなくなっていった。
「よくやったわね、冬夜。上手く制御出来たじゃない」
「あれで出来てたのか?なんかよくわからなかった上にすごく手間なんだな……」
これが毎回必要になると思うと魔術を使うのだけで一苦労だ。
冬夜はそれを思うとため息しか出ない。
「まぁ大変なのは最初だけよ。そのうち慣れて自然にできるようになるから」




