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「な、なんだこれ……?」
「なんだもなにも冬夜の魔術でしょ」
陽菜は当然と言った言い方であるが、冬夜には理解できない。
自分の魔術が氷であることは昼間聞いているので、それはわかる。
みかんが氷の塊に変わったのだ。自分の魔術によって変化したと言うならそうなのだろう。
ただ、冬夜にはどうやったのかがわからない。
どうやってやったのかわからないものに対して理解しろと言ってもそれは仕方のないことだ。
「そうだとしても、俺は今なにもやってないぞ?どうして勝手にこうなるんだよ?」
「勝手にじゃないわよ。多分、冬夜は無意識に魔力を垂れ流してるのよ」
一応確認するわね、と言うと陽菜はポッケからメガネを取り出し、それを掛けると冬夜を見る。
このくらいのことであれば普段ならなにも気にすることはない。
しかし、露骨に見られてると思うと複雑な気分になる。
「やっぱりね。冬夜、魔力が漏れてる状態よ。何か一点に集中すると凍ると思うから気を付けてね」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。それだけ言われたってどうすればいいとか、なんでこうなったとか説明してくれよ!」
いきなり魔力が漏れてるだの、集中すると凍るだの言われ、冬夜は困惑する。
陽菜はわかってるわよと言いながらメガネをしまうと説明をしてくれる。
陽菜の説明はまず、最初に冬夜の魔力が通っていないところから始まる。
魔術師であれば誰でも魔力が全身に通っているのが普通だそうだ。
しかし、冬夜は魔術師として素質があるにも関わらず今まで魔術を使おうとすることがなかった。
そのため、魔力が固まってしまって流れなくなっていたとのことだった。
次に説明してくれたのは冬夜が気を失った理由についてだが、それは陽菜が飲ませたものがそれをほぐす薬だったそうだ。
今まで流れていなかった魔力が全身に一気に流れたため、あのようなことになってしまったらしい。
最後に魔力が漏れている状況についてだが、それは先程の薬が原因とのことだ。
「ホントはね。ここまで効果が出ると思わなかったのよ」
陽菜はごめんねと言うと説明を終える。
冬夜はこれまでの説明で一応は状況を理解する。




