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魔術使いの成長譚  作者: 水無瀬
Episode1-魔術学園-
36/114

-31-

「そこに座れ。茶でも入れてやろう」

「は、はぁ。どうも……」


通された部屋はダイニングキッチンのようだ。

室内にものはほとんど無く、あまり生活感を感じられない。

しかし、使われてないわけではないのだろう。ここもホコリなどがなく、掃除が行き届いているようだ。


「まぁ飲め」

「あ、ありがとうございます」


女性は冬夜に紅茶を渡すと自分も紅茶を注ぎ飲み始める。

冬夜は困惑しつつも女性が出してくれた紅茶を飲む。


「あ、あのー。なんで、ここに連れられて来てるんでしょうか?」


なんで、こんなことになっているか彼には全くわかっていない。

それも当然のことだ。勝手に入ってきた人に対し、追い出すわけでもなくまさかの歓迎ムードだ。

普通であればこんなことにはならないだろう。


「さっきも言っただろう?ここには滅多に人が来ないんだ。久しぶりに来た人を歓迎して何が悪い」


女性はそう言っているものの、紅茶を出してからは無言で紅茶を飲んでいる。

話しかけづらい雰囲気を出しているため、冬夜も無言で紅茶を飲むことしか出来ない。


「さて、いつまでも喋らないのはつまらないな。聞きたいことがあるんじゃないのか?」

「ま、まぁそりゃもちろん……」


しばらく無言で過ごした後、急にそんなことを言われる。

確かに聞きたいことはたくさんあるのだが、聞きたいことがありすぎる故に上手くまとまらない。


「じゃあ、一体ここはどこなんだ?俺は家で寝てたはずだけど」

「ここか?ここは、そうだな。遠いようで近い場所だな」


さも当然の様に女性はそう答える。

正直に言って得たい答えの1割の返答にもなっていない。

これでは謎が深まるばかりだ。


「えーっと。じゃあ次。お前は誰だ?」

「人に尋ねるにしては随分な聞き方だな」


女性は鼻で笑ったかと思うとそう答えた。

しかし、機嫌を悪くした様子はなく、笑顔で受け応えてくれる。

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