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魔術使いの成長譚  作者: 水無瀬
Episode1-魔術学園-
35/114

−30−

「ごめんくださーい!」


その建物には呼び鈴のようなものは無いので、仕方なくドアをドンドン叩きながら叫ぶ。

しかし、その叫びは虚しく何の反応もない。


「誰も居ないのかよ……どうするか」


そう言いながら、とりあえずドアノブを回すとどうやら鍵はかかっていないようだ。

ダメだと思いつつも仕方なくドアを開け中を覗く。


「おじゃましまーす……誰かいませんか?」


中は見た目通りの作りになっている。

正面には二階へ続く階段があり、右手と左手には扉がある。

玄関からは二階に扉が3つ見える。

室内は綺麗に掃除が行き届いており、どうやら無人の建物では無いようだ。


「誰だ?人の家に勝手に入ってくる礼儀知らずは」


声のした方を見ると、2階から降りてくる1人の女声と目があった。

彼女の見た目はとても特徴的だ。

腰まである長い銀髪にルビーの様に真っ赤な瞳を持っている。

それに彼女の整った容姿が加わり、冬夜はその女性に目を奪われる。


「ん?礼儀知らずなだけではなく、言葉も知らないのか?」

「す、すいません。ノックをしたんですけど返事がなかったので……」


気がつくと女性は冬夜の目の前に来ていた。

近づいて来たことで気づいたことだが、冬夜より少し背が高い。

そのまま顔を上げていると目が合ってしあうため、頭を下げ謝罪する。


「まぁ、良い。ここに人が来るのは久しぶりだからな」

「久しぶり、ですか?」

「あぁ。外を見ただろう?ここは周囲から隔絶されているからな。滅多なことでは人は来ない」


彼女はそう言うと着いてこい、と言うと右手の扉へと向かっていく。

ここで、1人にされては確実に露頭に迷うため大人しくその背を追う。


「今日はなんだ?女の人に着いていかないと露頭に迷う日なのか?」


誰に言うわけでも無く、そう呟きながら歩いて行く。

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