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「あ!そうだわ冬夜。貴方に上げようと思ってた物があるのよ」
「唐突にどうしたんだよ?」
笑顔の陽菜は唐突にそんなことを言い出す。
この笑顔は良くない。冬夜は直感的に沿う感じる。
警戒心を全面出したまま彼女に問う。
「冬夜の今後が楽になるものよ。口を開けなさい」
「え?ーーーー」
そう言ってからの陽菜の行動は早かった。
テーブルに身を乗り出し、冬夜の口に向けて何かを飛ばす。
驚いて固まっている冬夜にそれを避けるすべはなく、彼女の思惑通りに飛ばされた何かを飲み込んでしまう。
「ひ、な……何を……」
冬夜は身体を内側から焼かれるような痛みに襲われる。
一方この状況に追い込んだ陽菜の方はニコニコしながら彼のことを見ている。
「安心しなさい。悪いようにはしてないわ。それに放置もしたりしないから。」
「あ……とで……せつめい……しろよな……」
「当然よ。それじゃあ冬夜。また後でね」
陽菜とそんな会話をした冬夜は余りにもの激痛に意識を手放す。
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「ん?こ、ここは?」
冬夜が次に目を覚ますと全く知らない場所に居た。
先程まであった美味しい料理も無ければ陽菜もいない。
それどころかここは冬夜の家ですら無いし、室内ですら無い。
「え?放置しないって一体……」
冬夜が辺りを見回すとどうやらイングリッシュガーデンのようなところにいるようだ。
周りは色とりどりな植物に囲まれ、それが延々と続いていてどこまで続いているのか確認できない。
目の前にはティータイム用だろうか、テーブルと椅子がセットで置かれている。
更にその奥には、少し古めかしい洋風の建物がある。
「こんなとこ、家の周りには無かったと思うけど……とりあえず、あの家に行くしか無いか」
他に手がかりも無く、何も出来ない冬夜は洋風の建物に行くことにする。




