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「な……ね、姐さんがそんなこと!!!」
「落ち着きなさい冬夜。あくまで一つの意見よ。冬夜に自分の火の粉が降りかかるかもしれない、だけど自分は戻れない。と、なると少なくとも普通に生活するよりもここに居たほうが安全って話よ」
動揺を隠しきれない冬夜とは裏腹に陽菜はだいぶ落ち着いている。
冬夜が落ち着けないのも無理はない。目の前の彼女に姉が金で動く殺人マシンと言われているのも同然だ。
「陽菜の言うとおりだとしても、なんで姉さんは俺に直接言わないんだよ?今までだって姉さんからのコンタクトはなかったわけじゃないんだぞ?」
「だから、最初に言ったでしょ?私だって他人の考えはわからないのよ。なんで遠回しなことしたかなんてわからないわ」
冬夜はその言葉を聞いてごめん、と謝ることしかできなかった。
陽菜は別に答えを知っているわけじゃない。正解の一つかもしれないことを伝えただけなのだ。
それがわかっているからこそ、冬夜は謝ること以外何もできなかった。
それからは再び無言の時間が始まる。
陽菜は紅茶を飲みながら、外を見ている。冬夜はすっかり冷めきってしまったコーヒーを眺めたまま動かない。
気がつくと多少居たはずの生徒も全く居なくなっていた。
「で、冬夜。いつまでそうしてるつもり?考えても仕方ないでしょ。やれることをやりましょう?」
「やれることって言ったって、何をすれば良いんだよ……」
「とりあえず、あの教師のとこにでも戻って謝ったら?おまたせしました~って」
陽菜に言われて思い出す。
そもそもここに来たのはリフレッシュのため。何も先程の修行が終わってティータイムに来たわけじゃなかったのだ。休憩言うには時間が経ちすぎている。
冬夜は今日の朝、遅れたことを思い出す。ここでも遅れたとなると次はどうなるかわかったものでは無い。




