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ソウルプラネット  作者: ボコしますわよ
フウガ共和国編
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10/11

9 会議 1

続きです。よろしくお願いします。

 16時。センタービルジング最上階。会議室。

 いざ、監修を受けた宝星会ブローチの、操作テストの時間がやってきた。


「テスト! テスト! マナメ楽しみ〜!」

「ウス〜パチパチパチ」


 空気の澱んだスバルの謝罪会見時とは打って変わり、数時間の時を経て、その様子は6者6様であった。


「テーブルの弁償代だけで済んでよかったねいメタルク。トリプルペナルティって聞いた時は震えたぜい」

「かたじけない!! この通りである!!」

「やめろい! 君のそれは立派な頭突きなんだよい! 学んでくれい!」


 2人の漫談を尻目に、エイテンはシュウリに耳打ちをする。


「…………あの3人には言わんでくれん? ウチの後遺症の事」

「承知しました。安心してください。件のエイテンさんのブローチも、無事元通りです」

「頭上がらんわあ……」


 専門知識の賜物。

 切除された錆に加え、宝石と金が磨かれ、より神々しさを増した『宝星会ブローチ』。

 各々即座に左胸へ装着し、指定されたビル内の各部屋へ移動していく。

 会議室に留まったスバルが、第一声を放った。


「『あー、あー、こちらスバル。…………、聞こえるかい』」

 

 ………………。


 スバルの手が僅かに震える。

 一拍の間の後。


「『……こちらシュウリ。バッチリですよ』」


「『エイテン、聞こえております』」


「『メタルクです! 聞こえるである! ノイズひとつありませぬ!』」


「『きゃー!! これこれ!! 世紀の大発明じゃないですか!?』」


「『ヨキ! ダイセーコー!! ダイトーリョー!!』」


 まるで全員がその場に集まっているかのように、彼の声かけに呼応した。


「『っああ、ああ!! 本当だねい!! 大成功だねい!!』」


 6人の明朗な歓喜の声が、各ブローチを通して伝導していく。


「『では、次は僕が。あー、何がいいかな……。好きな食べ物なんですか』」

「『キャハハ! 先生お茶目かー! マナメは酸っぱい飴ちゃんです!』」

「『骨つき肉と、トリガラスープ!!』」

「『……氷菓』」

「『鉄板焼き…なんだこれは!! もっと訓練らしい事を言わぬか!!』」


 緩い5人の談笑が、スバルの元へ伝わってゆく。


「フ、フフ! 『俺様は…………君たちの笑顔さえあれば、メシなんていらないねい』」


 …。

 …。

 …。

 …。

 …。


「…………え。また壊れたかい?」


 その後も小一時間、ブローチのテストという名の交流は続いた。


───────


「『以上で検査は終了となります。皆さん、会議室へ戻りましょう』」

「『ウスーー! シュウリ逃げた!』」

「『貴様もどんな女性がタイプか言うである!』」

「『これはオモチャじゃないんです。それでは』…………うん。よし……よし!」


 人知れず、義手の拳はバシャバシャと高鳴った。


───────


 会議室。6つの色違いの席は全て埋まっている。


「全員揃ったねい! イチバンボシ!」


 各々、顔を見合わせて頷く。


「……それでは只今から、今後についてのミーティングに移らせてもらおう」


 一国の大統領の顔。それは、イチバンボシ全員の背筋を伸ばした。


「一つ目の議題。

『宝星会員の増員について』。

まずは、イチバンボシ:シュウリの功績により、通信問題は解消された。俺様の目標、『一人一人の負担を減らす』『連携を円滑に』。これはその大きな第一歩だ。心から礼を言わせてくれ」


 誇らしげに腕を組むシュウリと対象に、エイテンの表情は険しくなる。


「次に。君達には、若き逸材の他薦をお願いしたい。ソウル、現職種、年齢は不問。数年ぶりの『宝星会入会試験』を開催するのだ!!」


 張り詰めた空気が会議室を覆う。

 挙手したのはシュウリだった。

 

「失礼。『我々の他薦』のみに絞る必要は? 公募制の方がより人材が集まりませんか。他の職種も基本、従業員を随時募集しております」

「いい質問ありがとう。まず、現時点で公募は未定だ。理由は2つ。公募制にすれば、書類選考時点で、確実に応募数が1000は超える……そんな大勢に割く時間はない」

「確かに、僕ら講師も生徒の答案の採点だけで、膨大な時間がかかります……」


 シュウリは静かに手を下げた。


「もう一つ。『憧れ』『神秘性』『カリスマ』を保ちたい。……君達。一次試験で、かなり常人には厳しい試練を与えたのを、覚えてるかな」


 全員、ざわざわと顔を顰めだした。


「フッ、聞くまでもなさそうだ。そう、君達に与えた試練……名付けて!

『相性最悪ソウルの持ち主に勝て! 負けたらその場で即失格!? ハラハラドキドキ☆ウキウキワクワク☆バトル!』

だぜい!!」


「「「「「やめて下さい!!!」」」」」


 5人の満場一致の叫びで、ガラスの壁がビリビリと震え、各々頭を抱えだした。


(忘れもしない……マナメの『雷』。俺の全身の鋼が感電で悲鳴を上げた)


(エイテンさんの『氷』が雷魔法を通さなかった時は、めっちゃパニクったっけ……!)


(クク殿の『骨』に真正面から氷を砕かれたときゃあ、見た事ない星が見えたで)


(……オレ、シンプルにシュウリの『海』で溺れた。獣人族の恥……)


(メタルクさんの甲冑。注射針を射る隙間一つなかった。あれはデスゲームです)


「はっはっはっ!! みんないい顔してるぞい!! ま、これで分かってくれたよねい。腕が保証されてない各国の者達にソレをさせたら。俺様はきっと、世紀の大量殺人犯として処刑されるねい」


 5人の脳裏に、最悪の事態が容易に浮かび、皆苦い顔で言葉を謹んだ。

 スバルは咳払いをし、空気を戻した。


「────君達は"英雄"であり"信仰"なのだ。だから民が道を開ける。いるだけで民が安堵する。が、裏の苦渋を知った民は、続々と目を背けてゆく。特に試験の脱落者は、君達の顔も見たくなくなるだろう。そんな彼らが取る行動は、分かるね。………………。暗いねい君達、要は安売りしたくないんだよい」


 一般公募の提案は、満場一致で流れていった。


「勿論、我が国フウガ共和国の誇る自衛隊員には、対ヒトモドキ戦の訓練のカリキュラムを組ませる予定だ。……昨日の有様では、他国に顔向けできないからねい。と、話が逸れちまった」


 スバルは、意気揚々と席から立ち上がる。


「さあ、現時点で他薦したい人はいるかな? 肉体、精神共に伸び代のある者は」


 煌々とスバルを照らす巨大なシャンデリアが、室内の空気をも照らした。


次回!

一体、誰チッチと誰チクが推薦されるんだ!─────☆

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