屍の夜 2 side other
新キャラ登場(^-^)v 安曇 愁。 職業は無職!(´Д`)!
彼 ――安曇 愁がその公園へ足を寄せたのは、本当に偶々の事だった。
家は近いと言える場所にはあるが、この公園の傍らに彼が行くような店はない。 幼少時から、遊ぶのは公園よりも「自宅」である神社の境内が主で……。
言うなればこの公園は彼にとって、小さい頃からずっと「縁のない」場所だった。
今日は偶々ガールフレンドのひとりと遊びに出ていて、その人を送り届けた先が偶々自宅と公園の延長線上だった。
ただそれだけ。 全くの偶然であったのだ。
そして、怪しく蠢く「屍体」達を見た愁は一瞬たりとも迷う事なく首を突っ込んだのだ。 まあ、実際に突っ込んだのは足首 ――具体的には蹴りを咬ましたわけだが。
「――愁!?」
響の ――愁にとって数少ない友人の声。
見た目にも雰囲気的にも全く普通ではない屍体達と、それに囲まれている年若い友人の姿を確認し、
「何してンだ? こんな訳の分からんヤツらと」
駆け寄ってきた愁は、そうギロリとした目付きで尋ねた。
ちなみに目付きが悪いのは、彼のいうところの生まれつき。 ついでに口も良くなく、外見も服装も、どう見てもチンピラ風。
これでサングラスでも掛けていたら完璧にチンピラ、ヤクザではあるが、残念ながら今は夜である。 つまり裸眼だ。
そんな彼だが「悪い人間ではない」と師である厳十郎は評していたりするのは意外なのかそうでもないのか。
師範代という訳ではないのだが、道場ではよく年少者の相手をさせていたりする。
もっとも、そのチンピラ風の外見 ――服装もなのだ―― を治す気のない彼は、神学校を出たにも拘らず実家である神社を継がせてもらえないのだが……。
「――ん? っと……発作か?」
響の様子を見てすぐにそう思い至るのは友人ゆえだろう。 彼も、響の「病」の事は知っているのだ。
気遣う様子は極自然で、だからこその厳十郎の扱いなのだが、逆に言えば外見からは想像もつかないというヤツではある。
「ああ……。
それより、どうして……いや、どうやってここに?」
ここには神巫 香久夜の張った結界がある筈だ。
響自身はそれを認識していないが、事実のひとつとして、彼女が刃を振るう場に、響とひとつ以外の誰かが来た事は唯の一度もない。
今この場に彼女はいないが、彼女が近くに居る場合と居ない場合の異常・異質の発生率を考えると、どう考えてもどこか、近くに香久夜は居る筈なのだ。
「どうやって、という意味は解らンが、普通の状況じゃないな。
……お前さんが狙われてンか?」
言いつつ愁は寄って来る屍に、ポケットに手を突っ込んだまま蹴りを放つ。 その様はちょっとはカッコよく思えたりもするが、哀しいかな、チンピラが子どもでも苛めてる様にしか見えない。
というのも彼の蹴りは前蹴り ――いわゆるヤクザキックなんて呼ばれ方をするアレで、彼の風貌と相まって、ぶっちゃけそうとしか見えないのであった。
ちなみに彼が得意なのは蹴撃よりも拳撃。 下半身をむやみに動かさず、どっしり構えての一撃が凄まじいのだが、空手の型なら兎も角そんなモノは実戦ではそうそう使いようがないので、半ばボクサースタイルに矯正した経緯がある。
矯正したらしたで、その後のスタイルはひたすらに前のめりとなり、凄まじい目力と杭打ち機の様なストレートで屈強な男がマジ泣きするレベルとなった。
そんな彼にとって蹴りはむしろ手加減なのだ。
「……多分、違う」
響は友人の言葉を少し吟味してそう答えた。
違う、筈だ。 それが響の認識。
いつも能動的に襲われるのは神巫 香久夜、彼女だけ。 響はいつも巻き込まれたような襲われ方しかしていない。
そう、いつも、だ。
響が積極的に向かって行ったとしても、彼女が多少離れた場所に居たら、霊達は香久夜を最優先に襲い掛かる。
――こちらから手を出さなければ……。
狙われるのは彼女。 向かうのも彼女。
――右手を、握る。
握れる。 感覚は戻りつつある。 左足の痛みも引いてきている。
全力疾走、は今すぐには無理だろうが、走るという行為自体に支障は無さそうだ。 これなら動いていればそのうち回復出来る。
「………」
この屍体達は、言ってしまえば雑魚だ。 仮初めの肉体はただ弱く、なんの為にここへ出現したのか見当も付かない。
危ぶむべきは霊体だが、そちらは早めに切り伏せていた為もうその姿はない。
なら……。
「すまん、愁!
少し任せた!」
そう言い、響は走り出した。
屍達の向かっていた方向 ――広いこの公園の、林を挟んだ反対側だ―― へ向かって。
「………任せるったって……なあ」
わざとらしく溜め息を吐き、落ちていた響の小太刀を手にする。 何処からか感じる冷気に思わず手を離してしまいそうになるが、そうはせず、ぎゅっと握り締める。
日本神話に在る金属ヒヒイロカネは冷気を帯びる、などという供述がふと思い浮かぶのは、曲がりなりにも神学校を出た人間の矜持であろうか。
「さて、そういう時はこういう相手でも口上を述べるモンかねぇ…」
聞いている人間はおらず、いるのは無機質な表情とおどろおどろしい程有機的な肉体を持っている様に見える死者だけだが。
「紅の衝撃 ――安曇 愁! 義により……」
途中まで言っておいて、その言葉は止まった。
ゆっくりゆっくりと死者達が、死者の姿をした何かがその隙に近づいてくる。
愁はそんな周囲を気にせず……、いや、怖気が走ったかのようにその身を抱いた。
「今思うとさっむいセリフだねぇ…」
そういう事らしい。
ちなみに「紅の衝撃」とは不良学生だった頃のあだ名である。 彼が殴ると血飛沫が舞う事からつけられた単純なあだ名。
彼の杭打ちストレートは当時、恐怖の権化でもあったのだ。
昔を思い返し、苦笑しつつ後は黙って刀を振るう愁であった。
安曇 愁・・・響の友人その一。
4つ年上のプータローだが、実家は神社で一応神学校も出ている。
外見はいわゆるチンピラっぽい風貌ではあるが、内面はそれに反して意外と義理堅い。 もっとも、そんな外見を矯正しようとしないせいで、神社を継がせてもらえないのだが……。
◉一人称・・・オレ
◉ヘレティック・・・ストレングス、
◉ミュータント・・・なし、
◉クラス・・・剣術家、格闘家、禰宜、宗教家、




