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アカシャグマ、ワンマン当日。


開演は夕方からだから時間的にはまだまだ余裕だけど、緊張なのか嬉しさなのか通常通りに目が覚めた。

辺りを見ると今日も元気にみんなで雑魚寝で、昨晩に関しては尚典も泊まったので更なるカオスな空間になっている。

意外と大人7人でいけるんだな…足の踏み場が本気で無いけど。

何となくバスケ合宿を思い出した。こんな感じだったな。バンドの合宿は大雅の寝相が酷いを理由に一緒に寝る事が少ないからな(特に雷華が全否定)


「俺さ、こーいう合宿みたいなのをやった事なくてさ!何か楽しい!」

大世帯なせいで朝食班と身支度班と分けて今朝も早くからわいわいと過ごしている。

「ワイルドドックは合宿しないの?」

「ない。悠兎も辰治も社会人だからな。練習は当然するけど泊まりがけってないな。」

狭い洗面台で虎太郎君と尚典の会話を聞きながら歯磨きを進める。

前回の名古屋の件で虎太郎が素直に話せるのがチャダと尚典で、最近は俺とも話してくれる様になってくれてメールもやりとりが頻繁になったから今回泊まりに来てくれたんだけどね。

「例えば合同合宿とか出来たら良いよね。何時も自分達だけだから、別の人の意見を取り入れて制作するのも良い収穫がありそうだしね。」

「いいなあ!それ!」

「同じ目標を持った人同士が協力しあうと、目標が向上するって聞いた事があるからね。大雅や悠兎さんにも聞いてみようか?」

他のバンドは分からないけど、他人から意見を求めたり求められたりって確かに刺激になりそう。

1年間のブランクも手伝ってか、アカシャグマは仲の良いバンドが少ないので何時かそうなればいいな。なんて思いながら顔を洗い終わる。

部屋ではチャダ、大雅、雷華、悠兎さんが食事を終えたらしく食器の片付けに入っていた。

「あ、太郎君。辰治から連絡来ていて、午後には神奈川に着くそうだよ。」

「そうですか。良かったです。」

悠兎さんや虎太郎君の話だと普段は会社員で営業職で盆暮れ正月以外は仕事らしく、まるで狙ったかの様に先週から妙な案件が重なり昨晩までは行けるかどうかも分からなかったそうだ。

『絶対行く!調整何とかする!俺だけ仲間はずれは悲しいから!泣くぞ!20代半ばの大の大人が号泣だからな!』

そんなメールが届いてたな。一番年上なのに辰治さんのメールは何時も可愛らしいレスポンスなのだ。

「じゃあちゃちゃっと食べちゃお?」

身支度班だった俺と尚典と虎太郎君がテーブルに着きトーストと目玉焼き、インスタントのスープを並べる。

「そや、蕪木サン。チョコ食べると緊張に良いらしいよ。」

いただきますと瞬殺でトーストを1枚食べ切りながら2枚目へと手を伸ばす。

「チョコレートか。余り食べないな…」

「セロトニン生成ってヤツだね。そういや大雅用で置きっぱなしのチョコレートクリーム、つけて食べたら?」

「それで緊張緩和出来ると思う?眉唾じゃん?」

「もしかしたら蕪木サン初の緊張緩和になるかもしれんよ?」

何て言いながら尚典はいつの間にか大雅のチョコレートクリームを借りて新しいトーストに塗りたくる。

「眉唾でも何でも良いんじゃない?太郎と楽しく乗り越えたいとオイラは思うよ。折角此処まで来たんだしね。」

はい。と渡されたトーストは大雅には申し訳ない無いレベルで厚く塗られていて、多分尚典や虎太郎君の思いも重なってると思える程に甘ったるくて優しかった。

虎「俺もクリーム頂戴。」

雅「虎太郎にやるチョコクリームはねえ!」

虎「ケチ!」

尚「やめなさいって…(なんだかんだ仲良いよね)」

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