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今ある目標は初のワンマンライブだ。
先月リリースしたCDのレコ発も関係してるから気合いが充分に入る。これも販売状況は好調と迄は言い難いが悪くない滑り出しだと思う。
HPにアップした先日のエレクトリック⭐︎エコーの動画も評判が良く、アカシャグマの評価を手助けしてくれて援護射撃には充分な材料だ。
学業やバイトの傍ら、可能な限りの練習を重ねた。
セットリストもCDの曲をメインにと編成し、意見が割れる事無くすんなりと決まった。
オープニングアクトを置くか円堂さんにも聞かれたが、まだまだそこまでのレベルでは無いので正真正銘、アカシャグマだけのライブは気付けばもう明後日となっていた。
そして仰ぐ天井は高く、少しタイルが燻んで見えるのは古く歴史を重ねているからである。
聞いたら開店は昭和40年代らしい。俺の両親が生まれる前から街の中に存在しているのは感慨深い。
何時もの通りに閉店直近の銭湯に今日もやって来た。
此処を利用しているって事はみんな泊まりに来ている訳なんだけど………
「うお!これが関東スタイルかあ!初めて見た!」
「はしゃぐな。虎太郎。」
そう。今回のお客人は虎太郎君と悠兎さんだ。
「アレだよね。関西圏の銭湯は真ん中に湯船がどーん!ってあるよね。名古屋もそうなん?」
そしてお泊り固定メンバーの大雅は勿論今夜も参加してる。
「名古屋は丁度中間地点だからね。関東スタイルもあれば関西スタイルのもあるね。」
悠兎さんは元は関東住みだから珍しくも無いだろう。
虎太郎君はバババッと全身素早く洗い上げると湯船に突進して行った。
「本当、只のガキんちょだな。」
凄い冷めた目で雷華が見ているが、君は完全にチャダの護衛感覚で泊まりに来てるよね?別にいいけど。
幾ら虎太郎君でも天使と同じ生命体な事も承知している訳だから、チャダに何かをする様な事は無いと思うよ?だから俺は泊めてあげても良いと思ったんだから。
数日前に虎太郎君から「ワンマン行きたいが宿泊先が無い。何処かオススメは無いか?」とメールが来た。
どうやら都心部で有名アーティストが軒並みライブがあったらしく、カプセルホテルまで満室ばかりだったそうだ。
それならば狭いし大雅も高確率で居るが俺の部屋に泊まれば良いと誘ったら、保護者として悠兎さんも行くと話になったのでまぁ良いかな。と思ったらチャダの保護者として雷華までやって来てまさかの大世帯になったのだ。
少し広めとは言え、六畳間一間の住まいに大の男が5人と女の子風のチャダが1人の計6人は中々カオスである。
事前に大家さんに伝えておいて正解だったなぁ。
「蕪木さんは何時も丁寧に使ってくれてるし、お手伝いもしてくれるから数日位は良いわよ。」
そう菓子折りを持っていったら快諾してくれた。
このアパートの住人は少ないとは言え、静かに過ごすのは分かっているけど一応予防線は張っておいた。
そして意外だったのは林家の翔平君のお母さんだ。
「う…嘘…リアル悠兎じゃん…どうして……!」
悠兎さんの読者モデル時代を知っていた様で固まっていた。
虎太郎君達を迎えに行った帰りに翔平君と遭遇して先日のザリガニの話になったら何故か翔平君と悠兎さんがザリガニを釣りに行く話になり、荷物を置いて用水路へと行ってる最中に迎えに来てくれたお母さんが来て大層驚いてたそうで。
そりゃそうだろう。三久の話だと結構有名な読者モデルだった悠兎さんが、突然自分の息子と一緒にザリガニを釣ってるんだから。当然だわ。
釣果は無かったそうだが翔平君も悠兎さんも楽しかったらしいので良かった。
夕方過ぎると大雅と雷華もやって来て狭い中だが夕食を取り何時もの流れで布団だけを敷いて銭湯へ来て今に至る。本当長い一日だった。
「明日はどうするんだい?」
湯船に浸かりながら悠兎さんが聞いてきた
「明日はscreamに行って機材確認と、近所に雷華の実家があるから物販を取りにいって搬入しちゃいます。」
「いよいよだな。楽しみだな。アカシャグマのワンマン。」
俺はこうやって悠兎さん達が来てくれるだけで嬉しかった。
この期待を裏切らない様に騒がしい中、やり切ろうと心に誓った。
夜は勿論雑魚寝。ベッドにチャダ。残りのスペースに敷布団を敷き詰めて寝た。ちなみに虎太郎、悠兎は寝相がよい。勿論大雅は有事を考えて台所側。朝には台所まで転がって名古屋組にドン引きされる。




