side 14-3
可能な限り練習はした。
ドラムの音、雷華のベース音に全てを集中をしながら双子の折り重なるハーモニーに酔いしれる。
視線を会場にやるとエレクトリック⭐︎エコーの歌声にオーディエンスの歓声が混じって此処は立派はライブ会場になっていた。流石彼女達だな。
「今日は本当にありがとうございました!特に特別サポートに入って頂けたアカシャグマの雷華さん、太郎さんの力添え無しでは成功しませんでした。ありがとうございました!」
ラスト曲を歌いきり、ユミさんのMCで改めて俺達二人にエレクトリック⭐︎エコーのが頭を下げてた。
付け焼き刃なチームだったが持ち時間の30分をミス無くやれただけでも充分だったのにな。
暖かい拍手の中、ステージを後にする。
ステージ袖に控えていた楽器の持ち主達に返却をして完全燃焼を実感した。
「太郎!雷華!みんなもすっごい格好良かったあ!」
小さなミニカメラで記録係をしていたチャダもステージ袖へとやって来た。
今回の報奨としてエレクトリック⭐︎エコーのライブ画像をシェアして貰える様に録画協力をしていたのだ。
基本的に彼女達のライブは録画・録音禁止なので、恐らく雷華がアカシャグマのプロモーションに利用する為に提示した報奨だ。しっかりしている。
ミニカメラを持ち主のユミさんに手渡してチャダは俺と雷華の間に入った。
「本当にお二人には感謝しか言えません。ありがとうございました。」
改めてユミさんは此方を向くとゆっくりと頭を下げた。ついでミユちゃんも下げるから慌てて俺も下げる。
「いやいや!先ずは失敗しないで良かった。それに何だかんだワンマンの告知もさせて貰ったし…兎に角良かった…!」
「そうね。アカシャグマでもMCが少ないお二人のトークが聞けたのは私達もレアな体験だったわ。」
ユミさんとの会話もそこそこに、片付けがあるので彼女達は控室として使っていた先程の空き教室へと向かい別れた。
雷華の話だと動画もデータで送ってくれるらしい。
いやはや。突然すぎて緊張どころじゃ無かった。
「兄ちゃん!みんな〜!」
ステージから離れた場所で眞子ちゃんと合流する。
「お疲れ様!本当!このコラボは凄いよ!」
かなり興奮気味に眞子ちゃんは続けた。
「本当、みんな楽しそうに踊っていたよ!アタシ的にも満足だった!由紀恵さんや渚さんにも知らせたかったあ!」
「今日の動画の公開許可は貰ったから、データ貰ったらHPに上げるからな。」
「マ?兄ちゃんマ?」
仲良く歩く兄妹の姿を前に俺とチャダはついて行く。
「流石だね。太郎。」
「まぁ…俺は言われた通りにしか動いてないから、今回成功したのはアカシャグマの裏リーダーのお陰だよ。」
俺だったら提案する頭があってもここまで動けなかっただろう。
キュッとチャダが俺の左腕を引いて耳元で「それでもやっぱり格好よかったよ!」と優しく囁いた。
この後、ライブの評判が良くてドリンクを貰ったり、焼きそばやクレープ等の出店商品を行く先々で大盛りにして貰ったらしい。




