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「俺こういうの読まないから全然気付かなかった。」
「そうは言っても必要な時だけ呼ばれるから、実際年間で2〜3回位しか載らないよ。正式な所属モデルじゃないし、所詮読者モデルな訳だし。」
あれから人だかりを外れてから数分後に悠兎さんからメールが入り
『もう撤収だから、此処で待ち合わせで良い?』と添付されたURLへと先に移動しておいた。
指定先は中華街のメインストリートから一本入った小さな飲茶専門店で、分かりにくくて迷ったけど何とか辿り着く。
中に入ると片言の日本語で話す店員さんに待ち合わせである事を伝えて出入り口手前の席に通された。
「可愛らしいお店だね。」
「看板には飲茶専門店ってあったな。飲茶だけのお店って初めて入る…」
可愛いらしいと言うか賑やかというか、店の内装を吟味していると出入り口が開き。
「ああ太郎君、チャダも待たせたね。」
先程のイタリアンマフィアとは違う、アロハシャツとGパンと予想以上にラフな服装で入って来た。
「悠兎!こんちわ!」
「先日はありがとうございました!」
「アカシャグマのみんな元気にしてる?」
簡単な挨拶をして俺の隣に座わる。何時もの悠兎さんだ。
「はい!みんな用事があって来れませんでしたが…虎太郎君と辰治さんも元気ですか?」
「コッチも全員元気にしてるよ。特に虎太郎はもう単位がヤバくてね。後一歩の所で俺達に塩責めに合う所だったからね。」
うん。何時もの悠兎さんだ。で、塩責めって…一体何…?
「悠兎、さっき凄い格好良かったよ!みんなニコニコしてた!」
「バイトってモデルなんですね。本当格好良かったです!」
「ありがとう」と静かに笑って
「大した事は無いさ。俺にとっては数ある仕事の1つに過ぎないし。実際はこんな感じにしか掲載されないし。」
悠兎さんから渡されたスマホの写真ホルダー内の何枚か閲覧する。いやいや。それでも様々な服を格好良く着こなしてる姿を見ると、同性だけど溜息が出てしまう位に素敵だ。
「俺こういうの読まないから全然気付かなかった。」
そんな感じで冒頭に戻った訳で。
飲茶専門店は初心者の俺達なので悠兎さんの勧められるままにオーダーをお願いする。
最初に会った片言の店員さんに「我可以有这个吗」ってサラッとオーダーしていたけど中国語?何か悠兎さんって本当謎が多すぎる。
そりゃそうだよな。この間もチャダの話をしてからライブと打ち上げで俺達も帰っちゃったし、お互いに折り入った話も出来なかったから知らない事があって当然か。
「打ち上げ中の記憶だと2人共、苦手なのは無かったよね?」
「ないよ!」
「俺もないです…ってか悠兎さんって色々知ってるなぁって…お店とか…」
「ワイルド・ドックをやる前は関東に住んでたし、この店も撮影で知ったんだよ。余り人が来ない超穴場だけど大根餅と胡麻団子が美味いよ。」
「さっきの中国…語?」
「ああ。俺も日常会話程度しか分からないんだけどね。爺ちゃんが中国語を話せててね、手伝いで働く店にも中国からのお客さんが多いから…分かる範囲で。生粋の日本人なんだけど何かそう見えないらしいんだよね。最近また辰治に言われた。」
確かに。
今のラフな格好とこの店内。申し訳ないが今は中国マフィアの休日みたいな絵面に見えて来た。や!滅茶苦茶格好いいんだけど!
「この間はスケジュールもタイトだったし、明日の新幹線迄は俺も時間はあるからさ。今日は付き合ってよ。」
通路からカタカタと料理を乗せたワゴンの音に気がつく。
「先ずは食べながら近況報告としようか。」
こうしてGW最終日の飲茶が始まった。
帰宅してググったらモデル以外にもストリートスナップにも高頻度で採用されてるのを知って更にビビり入る太郎が居るとか居ないとか。
此処での塩責めはおやつが全て漬物祭り。(緑茶付き)




