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アカシャグマのアルバム制作は予定通り録音は1日で終えて、円堂さんがそのままの流れで微調整をしアレンジまでしてくれた。本来なら少しの手伝いのみな筈なのに。

「少し僕の手を加えてみたくてね。あくまでも僕のイメージだから。納得いかなかったら使わなくてもいいよ。」

なんて謙虚な事を言ってたが、そうは言っても業界にいた人だ。聞いてみたら想像を上回る出来で逆に俺達が引いた。

あの短い時間で全13曲を処理するとは。本当に業界退いた人なんだろうか?勿論採用させて頂いた。

全体的なデザインは雷華に一任した。

実際、アカシャグマのHPやフライヤー等は雷華がやってる。最近だと記憶に新しいのは名古屋遠征の物販だ。チャダの話だと缶バッジは早々に完売したそうだ。

餅は餅屋。矢張りちゃんと勉強して専門学校卒業した人間にお願いした方が間違いは無い。

印刷は商店街振興組合である何時もの印刷屋へ。

バックインレイと歌詞カードを今回も組合価格でやって頂ける事となった。

「そろそろアカシャグマも商店街振興組合に入るか…?」

今回は挨拶も兼ねて印刷屋さんに顔を出したけど、俺等より少し歳上位の若旦那さんは大雅のそんな呟きに笑ってくれた。

「山口さんの所には何時も世話になってるから良いんだよ。こういうのは持ちつ持たれつだし。」

その代わりに完成したCDを1枚買わせてくれと言ってくれた。

欲しい。では無く買わせてくれって言えるのが格好良い。こんな男性になりたいなぁ。なんて思ってしまった。

CDプレスは流石に商店街内に無かったので外注となった。

CDとジュエルケースで1週間程で納入されると雷華から連絡が入った。届いたら印刷物の封入となる。これは全員手作業になるから、そうなると実際の販売はGW明けになるだろう。


暫しの自由な時間が生まれた。


勿論バイトはあるけど土日祝日は意外と高校生バイトが終日入ってるし、今の時期は閑散期だから少人数でも店は回る。

当たり前だけど実家に帰る予定も無い。昨日も一美ちゃんからメール来ていたけど「無理です」と返している。

そんな姉との攻防メール達の中に珍しい名前が埋もれていた。

「あれ。鳰君と…悠兎さんからだ。」

内容を見ると鳰君はご飯のお誘い、悠兎さんはGW後半に仕事でコッチに来るから会おうとの矢張りお誘いだった。

携帯のカレンダーと予定表を広げてみる。

明日だったら鳰君との予定が合うな。ただチャダはバイトか。

例の短期バイトの件以降、おケイさんから人員不足の時には呼ばれてチャダが出動する事が増えていた。

由紀恵の話だと巷ではチャダは偶にしか給仕に来ないスペシャルレアと呼ばれ、遭遇すると幸運が訪れる。そんな噂があるとか無いとか。確かに本当に困った時だけとの約束だし、まぁレアっちゃレアだな。

「まぁ、そんな噂も全部恵子さん自身が仕掛けたんだけどね。」と由紀恵が零してた。相変わらず商いが上手い人だ。

「チャダ。」

「なあに?」

「明日のお迎えだけど、鳰君と会った後に行くね。」

「うん!分かった!あの人気の人ね!」

そう。仲良くはして貰ってるけど、人気者で俺から見たらうんと高嶺の花である彼。でも彼からのお誘いは何時も相談事がある時なので何と無く察する。

どうしてかな。割と深刻な相談事も俺に話してくるから何時も俺で本当に大丈夫かなって思いながら話を聞いている。

彼なら俺よりも友達が多い気もするけど…まぁ俺が話を聞く事で鳰君の気持ちが纏まれば良いかな。そう思って鳰君へメールを返信した。

悠兎さん…関東での仕事って何だろう…?イメージ湧かない。

ゴリゴリのヘビメタスタイルの悠兎さんを思い出し、様々な想像を掻き立てていた。

商店街振興組合特別組合員・アカシャグマ

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